だから、可奈センパイがパン工房に来た時にあんなに興奮していた理由が判らなかった
それってやっぱりあたしたちの感覚が、おかしくなってるのね
そうよほらあたしたち、一緒に暮らしている雪乃がテレビに出てるのをずーっと観てるし麗華お姉さんも、もうすっかりテレビの有名人だし、最近はエリちゃんやリエちゃんや、ミタマさん、キヌカちゃんまでテレビに出てるし
うん、うちの家族で雪乃の番組に出演している子は多い ありすも出たし、素子とくるみは槍の演武まで見せた
瑠璃子ちゃんも、香月家の本家の歴史的な建物を紹介する番組に出演したでしょ
そういうのもあった 今は第2弾で、瑠璃子が名家の国宝級の宝物を紹介する番組の準備をしている
あたし、すっかり家族がテレビに出ることに慣れちゃってたからテレビに出演するということが特別なことなんだっていう感覚が鈍くなっているんだと思うわ
そうかだからか テンションが高かった可奈センパイが変なんじゃない テレビ局が来るということに対して、テンションが低いままのオレが、おかしいんだ
だから、これで良いの
克子お姉さんに、テニス部の子たちのお化粧してもらったり、髪型を直してもらったりする方が良いの克子お姉さんも、普通の女子高生の気分に引っ張られて、気持ちが楽になるから
ホントそうだ オレたちが、パン屋を開くのは高校を卒業した後だから、最低でも後2年半は掛かる 今日、テレビにオレたちのパンを紹介してもらうことなんて実は大したことではない それなのに、オレも克子姉も自分たちのパンのことだけに、気持ちがいっぱいいっぱいになっていた
普通の女子高生ならテレビに映るかもしれないってことだけで、大騒ぎするもの
そういう女の子たちに触れることで、克子姉の心も女子高生たちに近付く 高校1年生で誘拐されて、楽しい高校生活を送ることのできなかった克子姉が
ミナホ姉さんは克子姉に青春を取り戻してあげたいんだな
そういうことなんだと思った
吉田くんもだよ
吉田くんも愛も恵美さんもだよあたしたちも、普通の子の感覚を取り戻さないとダメになっちゃうから特に吉田くんは
愛はふと作業する手を止めオレを見る
吉田くん、ここのところ大変なことばかりだったから
香月セキュリティ・サービスの反乱部隊の処置とか 石神瑞希のレイプとか 13人の少女暗殺者たちとか ちょっとハードなことが続いている
ドキドキする気持ちを忘れちゃダメ
うん、気を付けるよ
オレは、愛にそう誓った
うむキャラクターが勝手に成長している
自由に動くのはいいけれど、書くのが大変困る困らない
1383.学園祭2日目 / 株主優待
問題ナシヨ
イーディが、休憩室から出て来た
ありがとうどうだった
オレは焼き上がった最初のパンをオーブンから取り出しながら、尋ねる 愛とメグも、パン工房の中で自分の仕事をどんどんこなしていた
この学校の周囲には、不審な人物は居ないネアタシの見る限り
今日は学園祭だから、うちの高校の生徒たちはみんな普段よりも浮かれているし、模擬店とかバンド演奏とかで、制服姿で無い人も多い それでもイーディは、監視カメラで観た映像で人々の立ち振る舞いから、明らかに怪しい人物は居ないと判断した
監視システムの方は、引き続きアンジュにやらせるヨアノ子は、良い子ヨもうシステムの使い方を完全にマスターしているネ
石神瑞希の警護役だって、黒瀬安寿15歳 克子姉の記憶を読んだ月子と、イーディに監視の方法を教わってもう一人で使えるようになったんだ 丁寧な仕事をする子だから、任せておいて大丈夫だろう月子とミタマが休憩室に残って、黒瀬安寿を見ててくれるようだし
お屋敷の周りには、変なやつらが居たんだろなのにオレたちの学校には居ないということは
オレは、焼けたパンの状態を一つ一つ確認して問題無いパンだけをパッドに詰めていく
アイツラは敵ダケドアタシたちのコトは知らないノネ
お屋敷まで来たということは、敵は黒森家のことを知っている だけど今、黒森家にたくさんの人間が住んで居てそのうちの数人が、この学校に通っているということは知らない
敵は、どの程度のレベルまでオレたちのこと知っているんだろう
オレは、それが心配だ 古い情報なら黒森家は、政財界の重鎮専用の高級娼館だ しかし、敵がオレたちのことを詳しく知っていたら 名家・香月家との繋がりや、みすずや瑠璃子たち名家の令嬢たちがお屋敷で暮らしているこまで知られていたら
それによって、オレたちの対応を考えないといけない
下手に動いて、余計な情報を敵に教える結果になることだけは避けたい
大丈夫ヨ向こうは、アタシたちのFamilyのことは大して知らないと思うネ
知ってたらあんなにノコノコとやって来ないネ
ああ、そうか敵はお屋敷前の道にいつも居る公安警察と香月セキュリティ・サービスの人たちのことを知らなかったんだっけ
でも、オレたちの出方を見るためにわざと何も教えていない手下を送り込んで来たのかもしれないじゃないか
それなら、アタシたちが捕まえた連中の後ろに監視役が居るはずネそういう役目のニンゲンは居なかったヨ
イーディも、美智と同じで周囲の気を察知することができる子だ そのイーディが断言するのだから、この可能性はもう考えなくて良い
公安警察に引き渡す前に一通り、身体検査もシタカラスマート・フォンと普通の音声を記録するレコーダーは持ってたから、それはアタシとミタマで回収したヨデモ、電波を飛ばすタイプの録音機は、持ってナカッタから情報漏れは無いネ発信器とかも持ってナカッタヨ
回収したスマート・フォンとボイス・レコーダーは、今どこにある何かそいつらは録音していたのか
ソレは一回お屋敷に戻ってレイカに渡したヨ心配ナイヨ、ちゃんと電源切ってから、運んだカラソンナコトをしてたカラ、アタシたち学校に到着するのが遅くなったのネ
お屋敷には、レイちゃんと木下さんが居るし今日は、キョーコさんとアーニャも居るから、今頃、解析してくれているだろう レイちゃんは、もうすぐ寧たちとここに来るしこのパン工房ならお屋敷とは、いつでも通話ができる
判ったありがとうさすが、イーディだやることに抜かりは無い
オレは作業を続けながら、イーディを褒めた
当たり前ヨDarlingのイーディなのネ
イーディは、嬉しそうにそう言う それからイーディは、パン工房の壁の上部に設置されている外部監視モニターを操作する 学生食堂の中を映していた画面がパン工房の外、裏口の周辺を映す画像に切り替わった