お昼近くなっても、男の子たちがずーっと座っていたら昼食にあたしたちのパンを買って下さるお客様が減ってしまうわ
カフェ・テラスに、オレたちのパンを食べる場所が空いていないのなら、お客さんたちは他のところで昼食を摂りに行ってしまう
お昼近くまでとかじゃなくてあの男の子たちこのまま、1日中学園祭が終わるまでずっとカフェ・テラスに居座る気かもしれないよ
ぽつりと愛が言う
そんなことあり得るのか
アリエルかもネ
アタシタチ昨日、ココで色んなイベントをやったカラネあのコらは、ココなら1日居ても飽きることはないと思っているカモシレナイネ
昨日の学園祭の初日はこのカフェ・テラスで、雪乃のテレビ番組に出演しているエリとリエや、レイちゃんとスペシャル番組で闘っているアーニャにトークショーなんかをやってもらった やり過ぎて、学園祭の実行委員からクレームが来たぐらいだ
うん当然、今日も何かやると思ってるよね
ていうかお昼にテレビ局が来るっていう情報も、もう知れ渡っているんじゃないの
そうだそれもあるんだ
それならテレビの人たちが帰るまでは、あそこから動かないんじゃないかしら
男子生徒たちもヤジウマとして、テレビの収録の様子を見たいのか いや、自分もテレビに映りたいと思っているのかもしれない
とにかくこのまま、あそこに居座られるのは困るよな
それでしたらわたくしとキヌカで、あそこに居る者どもを攪拌して参りましょうか
カクハン致しましょうか
ミタマとキヌカの安城姉妹が、オレに言う
攪拌分散させるじゃないの
まり子が尋ねると
いえ、攪拌ですこれを使いますから
ミタマは、チャキッと朱色の鞘の日本刀を取り出す
本日は家伝の銘刀を持参しております
いやいや、ちょっと待てミタマ、その日本刀で何をするつもりだ
わたくしが、火薬玉で敵を攪乱いたしますので姉上が浮き足だった敵を次から次にバッサバッサと刀で攪拌すれば
キヌカその案は却下だ店先で、男子高校生が切り刻まれると商売にならない
残念無念
無念でございまする
この姉妹は放っておこうでも、どうする
わたくしが参ります
休憩室から月子が現れる
寧さん、ミタマさんお付き合い下さいませ
月子たちがパン工房の外へ出る オレたちは、次のパンの作業をしながらモニターで月子たちの様子を見ていた まずは巫女の力の届く範囲まで、近付く
おっ、安城ミタマだぜ
ミタマは雪乃の番組のカバー・ガールだからヒマな男子学生たちは、みんな彼女のことを知っている
それと2年の奈島だろ相変わらず、トンデモねぇ美しさだよな
一緒に居る子も、なかなかの美人じゃねぇか
アレ誰だっけ
確か、この前なでしこ科に編入した3年生だよ
近付いただけでカフェ・テラスに居る男子生徒たちの半数以上が、3人の美少女に気付く
安城ミタマもなでしこ科だろ
なでしこ科って、美人揃いなのに授業はオレたちと別なんだよな
ちょっとは交流したいよな
そんな声がボソボソと聞こえる
全員注目ぅぅッッ
ミタマが腹の底からの大声で、男子生徒たちに叫ぶ ミタマは声に気を乗せて放っている カフェ・テラスに居た全員がミタマたちに注目した
刮目して静聴せよっ
ミタマがそう告げると月子が一歩、前に出る
皆さんわたくしの言葉を聞いて下さい
良く通る良い澄んだ声で月子が、男子生徒たち言う うん全員の心を、掴んでいる
これから、奈島寧さんと安城ミタマが、皆さんにお話を致します皆さんは、こちらのお二人のお話をよく聞いてそのお言葉の通りになって下さい約束ですよ
カフェ・テラスは、シーンと静まり返っている
では奈島寧さん、お願い致します
あのね今みたいに、男の子ばっかりでテーブルを占領しちゃったらさ女の子や、外から学園祭に遊びに来てくれた人が困るでしょ
寧の言葉を男子生徒たちは、ジッと聞いている
だからさぁ男の子たちは、席を女の子や他のお客さんに譲ってあげて欲しいんだよねっていうかできれば、男の子はそこの席は使わないで、もうちょっと向こうの30メートルぐらい向こうのあの辺に居てくれないかなっほら、男の子ばかり集まってるとさ女の子は怖いからさそっちへ行ってそっちへ
寧は空き地になっている場所を指差す
あたしたちのパンや飲み物を買ってくれるのは、とっても嬉しいしそれは感謝しているんだけれど、女の子たちも買えるように気を使ってあげてよっ外からのお客さんたちのことも
巫女の力の届かないところから観ると寧がマナーの悪い男子生徒たちを注意しているようにしか見えない
それからもう知っている人も多いと思うけれど、今日はこれからテレビ局がここに取材に来るのねでも、それはうちの高校のパン技能士コースのことと、女子テニス部のみんなのカフェ・テラスを取材しに来るんだからあなたたちは、撮影の邪魔とかはしないでよっむしろ、テレビカメラに興奮しちゃって、変な騒ぎを起こしそうな人がいたら、あなたたちが止めてお願いしたからねっ
最後にこれから、お土産用のパンっていうのを売り出すんだけれどそれはお土産用だからねっ家に帰ってから、家族にこれ、うちの高校の学園祭で買ったんだって報告をして家族と一緒に食べるパンなんだよっだからちゃんとお土産にするって約束できる人だけが買ってね
約束致しましたよ
月子が念を押す
ミタマさんお願いします
よーし注目終了っ全員、起立
テーブル席を占拠していた男子学生たちが、一斉に立ち上がる
全員持ち場に付けっ駆け足っ
男子生徒たちは店頭でパンを買っていた連中も、全員、寧が指差した空き地に小走りで向かって行く
全員、気を付けぇぇっ休め気を付けぇぇっ、休め
男子生徒たちは、ミタマの号令のままに動く
小さく前に習えっ直れ校歌斉唱
そして男子生徒たちはオレたちの高校の校歌を声高く歌い始める 男子生徒たちが、空き地に移動してくれたのでテーブル席に女子生徒たちが座れるようになった カフェの店頭でもパンや飲み物を買ってくれている ああ、段々外部からのお客さんも増えて来た
克子姉お土産用のパンを出すよ
とりあえず、幾つ出す
そうねじゃあ、まずパッド2つ分売りに出しましょう
オレは、パンのパッドを2つ重ねて、持ち上げてパン工房の外へ運ぶことにした
Darling、アタシ、1つ持つヨ
イーディが、手伝ってくれる
待って、公ドアを開けてあげるわ