まり子が、手の塞がっているオレの代わりにドアを開けてくれた 外では
取り出しましたる、1枚の紙この1枚が
ミタマがカフェのお客さんたちの前で例の日本刀を抜いて、白い半紙をスパッと切る キヌカも姉の横に立っていた
1枚が2枚に2枚が4枚に
さらに半紙を細かく分断していく
4枚が8枚、8枚が16枚、16枚が32枚32枚が64枚64枚が128枚
どんどん刀で切っていく
あれ、何をやっているんだろう
知らないノカ、Darling
知ってるのか、イーディ
アレはガマの油売りの口上なのネ
ホントミタマは芸達者なのネ
というか安城流拳法って何なんだろう
芸に使うために、あの日本刀を持って来たんだな
まあ、人を襲ったりするのに使わなければそれで良いか
普通のお客さんの客寄せには、丁度良いヨ
確かにうちの高校の生徒ではないお客さんたち 特に、子供やお年寄りが、ミタマとキヌカの周りに集まって来ている カフェの店頭もさっきのおかしな混雑でなく、良い感じに賑わってきた このままの雰囲気でお昼のテレビ中継まで行きたい
可奈センパイお土産用のパンだよ
こっちに持って来てそれは、ここで売るわ
可奈センパイの指示する方へ、運ぶ ああ、飲み物を売るテントの中で美里たち娼婦候補生の子たちも、元気に働いている 明るい笑顔で楽しそうだな
可奈センパイどのパンが売れてる
ああだいたい、満遍なく、どのパンも売れているな それでも、多少は差があるか この減り方だと、補充を急がないといけない
取りあえずは順調なスタートねちょっとしたゴタゴタもあったけれど、寧さんたちが片付けてくれたし
ああ、多少のトラブルは、何とかするよみんなでさ
ええ、頼りにしてるわノブ
可奈センパイが、オレに微笑む イーディと一緒にパン工房の中に戻ると
ええ、こっちは問題なしよそうね最初の予定通りの数でいいわはい、また後で連絡します頼むわね、瑠璃子ちゃん
克子姉が、内線電話で話していた お屋敷の瑠璃子に次に作るお土産用のパンのことを話したんだ 克子姉は、電話を切ると
あなたが居ない間に国営放送の取材班の人からも、電話があったわ11時にここへ到着するって
ああお昼のニュースでの放送だけど、カメラや中継の準備があるんだよな
そうしたら、あたし打ち合わせに行かなきゃいけないのよここ、あたしが抜けても平気よね
平気
オレと愛が、同時に返事をした
あたしとマナも居ますから
メグも、克子姉にそう言う
ええお願いするわ
さっき校長の前で宣言した通り克子姉がパン技能士コースの責任者なんだから、国営放送の担当の人との打ち合わせは、克子姉がやらなくてはいけない
美味しいパンを作っているだけじゃダメなのねこういうことも、あたしの仕事なのよね
克子姉はこの学園祭を通じて、少し変わった 視野が広くなった 前よりも頼もしくなった
それから校長先生のことだけど、春まではガマンして
春
年度の途中だと、なかなか適任者が見つからないのよもうちょっと、まともな人を探すわ
まあ今の校長も、前の校長が居なくなったので慌てて探してきた人だからなあ
少し様子を見ようよさっきのことで懲りて、少しはマシになったら春以降も校長を続けてもらえばいいじゃないか
そうねでも、ああいうタイプの人は懲りないと思うのよ
克子姉は苦笑いを浮かべる
敵を攪拌するの元ネタは、岩明均先生の雪の峠・剣の舞です
私は高校は男子校なので学園祭は楽しくなかったです
部活の展示があったので、ほとんど部室になってた教室に居ましたが
クラブに入っていなくて、クラスでも何も企画の無い友人は
自分の高校の学園祭に来ないで他校の学園祭に入り浸ってました
1387.学園祭2日目 / テレビ中継
ねぇ、ノブ悪いんだけれど、お昼過ぎまではうちの部の子はお店の方の仕事だけにしても良い
可奈センパイがパン工房に飛び込んで来る
お客さんが、次から次へとスゴイ勢いで来るから接客で精一杯なのよ
オレたちも外部モニターの様子を見て、理解している カフェ・テラスの座席を占領していたヒマな男子生徒たちの集団が、少し離れた場所に移動してくれたおかげで他の生徒たちや学園祭に遊びに来てくれた外部のお客さんがオレたちのカフェ・テラスに集まって来てくれている その人数は、昨日よりもずっと多い
こっちも大変だっていうことは、判っているけれど
昨日は、女子テニス部の人たちにも順番で、パン作りを手伝ってもらった 今日は、朝の開店前の仕事はオレたちだけでやって 女子テニス部の人たちには、10時過ぎてからパン工房に来て貰うことになっていた
昨日のお客さんが口コミで、あたしたちのパンは美味しかったって広めてくれたらしいのよ
うん、昨日感じた手応えは正しかった
こっちは大丈夫だマナが居るし、ヤっちゃんも居るメグも午後までは陸上部の方へ戻らなくて良いそうだから
克子姉は国営放送のスタッフの人との打ち合わせがあるから、一旦、パン工房から抜けなくてはいけないけれどパン技能士コースのオレと愛が、ここで踏ん張る 今日は、昨日と違ってこの学校の中では、変なことは起きないとミナホ姉さんが約束してくれているから オレがパン工房を離れなくてはいけなくなるような事態は起こらないだろう そして何より家族だけの方が、チームワーク良くパンが焼ける 女子テニス部の人たちだと、どうしても教えながら作ることになってしまうから
じゃあ頼むわねお昼さえ何とかできれば、お店の方も楽になると思うから
うん、可奈センパイよろしく頼むよ
はーい、じゃ、また後でね
可奈センパイは、パン工房の外へ急いで出て行く
そろそろ、あたしも行ってくるわ
時計を見て、克子姉が言う ああ、そろそろ高校の正門に国営放送の人たちが来る時刻だ
お店に出す前のパンの最終チェックは、あなたと愛ちゃんで、きっちりやってね
判ってる良くないパンは、店に出さないから
頑張る
克子姉に、オレと愛は即答する
イーディ、克子姉の警護に付いてくれ
アタシも行くノカ
イーディが、オレに振り向く
ああ、オレたちの高校は大丈夫だって話だけれどミナホ姉さんのこともあるから
今朝、最強のフリー警護人を雇って出掛けたミナホ姉さんは何らかの問題と闘っているはずだ それが、ミナホ姉さんの予想を越えてオレたちの方へ飛び火して来る可能性がある