良信くんたちは変わったメンバー構成だね
マルゴさんは、オレとまり子と月子と黒瀬安寿という組み合わせを見て微笑む
今日は学園祭だから、みんな忙しいんですよ
うん、あたしも懐かしいよ
ああ、マルゴさんも去年までは、オレたちの高校に通ってたんだっけ 学籍が偽物だった寧と違って、マルゴさんはアメリカからの留学生ということになっていたからちゃんと高校を卒業することができた 今もどこかの大学に籍だけはあるはずだ全然、通っていないみたいだけれど
とりあえず、外に立ったままなのもなんだから学生食堂に入ってお茶でも飲もうか
オレたちのカフェ・テラスでも良いけれど屋外だし女子テニス部の人たちに、オレが知らない女の子たちとお茶を飲んでいる姿を見られると説明するのが大変だし
それじゃあ、学生食堂に行きましょう
オレは、みんなを先導して学生食堂へ向かう オレたちのカフェ・テラスほどじゃないけれど 学園祭の最中の学生食堂は、ほどほど混んでいた 混んでいるはずなのに
さあね
オレたちが座ったテーブルの近くに居た生徒たちが全員、慌てて席を立った 逃げ遅れた下級生に
バカ、お前早く、こっちに来い
と、上級生の男子が声を掛けている
ほら、あたしはここの学校では、有名だったから
ああマルゴさんは今年の5月までは寧と組んで、街で不良学生やチンピラを潰し廻っていた伝説の不良少女だった
寧は金髪を黒く染め直して更生したってアピールできたけれどあたしは生まれた時からずっと金髪だからね
今でも上級生たちは特に、マルゴさんを恐ろしい人だと思っている 寧を襲った白坂創介の配下の教師をマルゴさんが再起不能にした現場を見た生徒たちも、まだ卒業していないし
はーい、ようこそマルゴお姉ちゃんこれ、みんなで食べて
パン工房に通じるドアから、寧がやって来てオレたちに焼きたてのパンを持ってきてくれた
ジャスミンちゃんとエリカちゃんは、もうお昼食べたっ
あ、はいお屋敷の方で、素子お姉様のお弁当をいただきました
寧の問いに、エリカが答えるやっぱり少し、元気がない
うん、とっても美味しいんだってねっあたしは今から食べるから、みんなとはお話できないんだよっだから、ヨッちゃん、あたしの分までこの子たちのお話を聞いてあげてねっ
寧は周囲の生徒たちにも聞こえるように、大きな声で言う
ああ、飲み物を持ってくるのを忘れてたよっヨッちゃん、悪いんだけれど、皆さんの飲み物は自販機で買ってくれる
うん、別にいいけれど
みんな、何がいい
パンなんだから、あたしは紅茶でいいわ冷たい方ねレモンティ月子さんは
わたくしは、砂糖無しの紅茶を冷たい方で構いません
まり子と月子は、すぐに答える
あたしはコーヒー温かい方微糖ねジャスミンちゃんたちは
マルゴさんが、茉莉花に尋ねる
わたしも冷たい紅茶をレモンティをいただきます
わたし、温かい方のミルクティあ、持って来るのを手伝います
エリカが席を立とうとするが
いいのよ、エリカさんも今はお客様なんだからっていうか、ここはあなたがお手伝いしますって立つところでしょ
まり子が、黒瀬安寿を睨む
は、はいぃぃ、そうでした
慌てて立ち上がる黒瀬安寿の様子がおかしかったのか、オレたちを眺めている生徒の中から笑いが起きた
そちらの皆さんは何にするの
すっかり、まり子がオレたちの側の女主人みたいになっている オレと黒瀬安寿はまるで下僕だ
松下さんいいのよ
茉莉花が、切れ長の眼の大人しそうな子に言う
わ、わたしは温かい紅茶をお砂糖の入ってないのをお願いします
美樹さんは
エリカが、大きな瞳のセーラー服の子に尋ねた エリカが中2だから、この子も同じぐらいなのかもしれない
わたし温かいカフェ・オレをいただきます
あたしはさブラックしか飲まないのよそうねあそこの自販機の中ならSコーヒーが良いわ温かい方のブラックだからね
革ジャンの目付きの悪い子は、聞かれもしないのに言う しかしまた、ことごとくバラバラだな オレは、黒瀬安寿を連れて自販機に向かう オレたちはミナホ姉さんに、万一の場合に備えてある程度の金額をチャージした鉄道のカードを持たされているから、それを使うことにした
おい、パン屋何なんだ、あの人たちは
と、オレに声を掛けて来た上級生も居たが
済みません、オレもまだ良く判らないんです
と、素直に答えておく とりあえず、注文通りの飲み物を買って オレは、黒瀬安寿にも尋ねる
あたしもいいんですか
なぜ、ダメだと考える
この子は真面目過ぎる上に、少し気の弱いところがある
じゃあ、あのオレンジジュースを
にもかかわらず、他の人とは違う飲み物を選択する辺りがこの子の面白いところだ
よし、そんじゃ持って行くぞ
オレと黒瀬安寿は、買った飲み物を抱えて元のテーブルに戻す
済みません、いただきます
お団子頭の高校生とボブカットの中学生は、オレに礼を言ったが 革ジャンの子は、オレを無視して飲み物を受け取る
じゃあ、座ってパンを摘まみながら、お話ししようか
マルゴさんに言われて、オレと黒瀬安寿も席に着く ああ、寧はいないもうパン工房に戻ったようだ
あのご紹介致しますこちらは、わたしの学校のクラスメイトで松下真樹さんです
茉莉花が隣に座っている、お団子髪で切れ長の眼の女の子をオレたちに紹介してくれた
松下です
松下さんは、小さく頭を下げる 茉莉花のクラスメイトということは高校1年生か
そしてそのお隣は、真樹さんの妹さんで美樹さん
美樹です
ボブカットの眼の大きい子も、ペコリと頭を下げる
ああ、この子たちは姉妹なんだ
お姉さんが高1なんだから、妹はやっぱり中学生だ
それから、そのお隣が
五十嵐イズミよっ
革ジャンの子が、不機嫌な態度で名乗る 何なんだろうこの子は
五十嵐さんは、わたしのお隣のクラスの方です
隣のクラス 革ジャンの下に着ているのは、茉莉花と同じ制服だから学校は同じだけどクラスは違う うーん茉莉花や松下姉妹とは、そんなに親しそうではないけれど 何より、この人は、どうしてこんなに態度が悪いんだ