この子たちは、普通の子たちではありませんから制御しにくいんですわ
人間としてのモラルが欠落していますし、わたくしたちとは違う常識で、今まで生きて来ていますから物事の優先順位がおかしいんですこの子たちの中では、人を殺すことは生業であって罪では無いんです人の物を盗むことは罪だと判っているのに
ありとあらゆることの基準が違う
命が安易に奪われる少女暗殺者の世界で生きてきた子たちだもんな
人としての感情を麻痺させなければ、人殺しなんてできない
ダカラまずは、アタシたちの方が、この子たちの常識に合わせるネ
Darlingが使命のために、人を殺したことを知ればこの子たちのDarlingを見る眼が変わるハズヨ
使命のためにって
Darlingハ、個人的な快楽や自分の利益のために、シザーリオ・ヴァイオラを殺したわけではないネあの男を殺さなければならないという使命があったヨ
ソレハ、この子たちの暗殺と同じネこの子たちだって生きていくために、組織の命じるままに人を殺すしかなかったのね個人の欲求で、やってたわけじゃないのネ
そうねイーディの考えは正しいと思うわ
アーニャもそう言う
わたくしもこの子たちには、正直に伝えるべきだと思いますわ
寧が、心配そうにオレを見た
うん判ったイーディの思った通りにやってみろよ
アリガトネ
イーディとアーニャがドリィとアナに、オレがシザーリオ・ヴァイオラを殺した顛末を話していく いや、オレには彼女たちの言葉は判らないから 多分、そうなんだろうと思うだけなんだけれど
ハーウッ
モイッ
ドリィとアナは、話を聞いて眼を丸くした そして改めてオレを見る ああ確かに、オレを見る眼が変わった オレが彼女たちと同じ、人殺し経験者だということが判ったからなのか それで、オレのことを仲間だと感じるようになったのか むしろ、グレース・マリンカさんはオレから少し、距離を取るようになった どんな理由があろうと人殺しというだけで避ける人もいる
アウアウッ
パーウ
オレの話をキッカケにしてそのまま、ドリル槍姉妹はイーディとアーニャと仲良く会話するようになった ああ、少しは心を開いてくれたみたいだ 2人ともドリル槍の起動スイッチから、指を離している 警戒レベルが、マックスから1段階下がったようだ 寧がオレに寄って来てオレの右手を握る
お姉ちゃんが、ついてるからねっ
月子も、オレの左手を握ってくれた オレたちは、そのまま普段は閉鎖されている学校の門へと到着した オレたちの学校の図書館裏は、崖のように切り立っている その崖下の誰もいない木々の中に オレたちの目的の門はあった
えこの門て
一目見てすぐに判った すっかり汚れているけれど頑丈そうな鉄の扉には
黒森寮寮生専用通用門 昭和41年製作
と、刻まれていた ああ、なるほどお屋敷からこの門まで、人に会わないように作られている理由が判った このルートは 今、オレたちが住んでいるお屋敷が黒森楼という娼館だった時代に 地方から売られて来た高校生の娼婦たちが毎日、学校に通った道なんだ
大昔のお姉さんたちがここから学校の中に入ってたんだねっ
黒森家の娼館から通う女生徒たちは一般生徒と同じ門からは、登下校できなかったんだな ミナホ姉さんのお祖父さんが、若い娼婦たちを学校に通わせたのは 娼館を女子学生寮としてカムフラージュするためだったって言っていたけれど 引退後のことを考えて、せめて高卒の学歴を持てるようにしてあげたかったからかもしれない あるいは、現役高校生という肩書きがある方が、娼婦の価値が高くなるからかもしれない 今となっては、真実はもう判らないだろうけれど オレは克子姉から預かった鍵を使って、扉を開く ギィィィィィ 重い扉を押し開けると中は、ジメジメしていて暗かった
あ、明かりのスイッチがあるよっ
寧が、電灯を点ける ああこれ、いつの電球だろう ずっと点灯させていなかったはずなのに、よく灯ったな 白坂創介が黒森楼を乗っ取って15年以上が経つ 白坂創介は、誘拐して来て娼婦に堕とした少女たちはお屋敷の中に閉じ込めていた 学校に通わせるようなことは、一切しなかった むしろ、克子姉や渚のようにオレたちの高校に入学して来た女の子を、拉致監禁して娼婦にして、家には帰さなかった だから、この高校生娼婦の通用門も15年は誰も使っていないはずだ ミナホ姉さんや克子姉が、時々、門のチェックやメンテナンスはしていたんだろうけれど
ヨッちゃんこっちに階段があるよっここから上に上れるみたいっ
寧が奥の通路を見つけた 階段を灯す、蛍光灯も何とか点いた オレはまず、外から入って来た門を閉めて‥鍵を掛ける うん、重い鉄の扉は、施錠したら‥全く動かなくなった オレたちは、階段を上に‥
階段上の扉は‥指紋認証式の新しい扉に変えられていた
オレの指紋を読み取らせると‥
暗証番号を押して下さい
と機械のアナウンスの声がする イーディが‥暗記してきた今日の暗証番号を扉のテン・キーに打ち込んでいく こういうところで使う暗証番号は、毎日変わる しかし、8桁の番号を毎日暗記できているのは‥警護役の子たちだけだ オレの頭では、とてもじゃないが覚えきれない
‥はい、OKネ
ピピッ‥ 電子音が鳴り、扉のロックが解除される‥
ヨイッショ
イーディが鉄扉を開けると そこは、どこかの建物の地下室のようだった 位置的に‥図書館だろう 何も家具を置いていない殺風景な部屋だった
部屋の中にホコリが溜まっているから‥さっさと外へ出よう
寧が、そう言うが‥ ああ、狭い階段を昇るのに‥ドリル槍が引っ掛かって、手間取っていたらしい ドリィとアナが来るまで‥待つ
この部屋も電子式の鍵か
ドアを開けて、外を覗くと 思った通り、高校の図書館の地下1階の端っこだった
私の住んでいる町が変なことになってしまっていて‥
元からある町内会に不正があったとかで‥
なぜか、1丁目と2丁目だけで、別の町内会を作る動きがあって‥
ところが、それが認められなくて‥
しかも別派運動も全然上手く行ってなく
元からの町内会は、そのまま存続しているのに
1丁目と2丁目の4分の3だけの自治会ができて
2丁目の残りの4分の1だけ‥2丁目町内会を名乗り
3丁目と4丁目は、また別に自治会を結成して
わけが判らないことになっている
しかも、元の町内会と、新しい自治会がどっちも会費を取りに来たりして