判った松下さんは、茉莉花の親友なんだな
あくまでも、まずは茉莉花の友達として松下さんと知り合うべきなんだ お金のことは、その後だ
はいわたしの、とっても大切なお友達です
茉莉花は、オレの眼にそう告げる
高畑さんありがとうございます
オレたちの会話を聞いて、松下真樹さんは眼を潤ませていた 妹の美樹さんも、ペコリと茉莉花に頭を下げる
それで、松下さんのことは判ったけれど
オレは、一番後でムスッとした顔で付いて来る五十嵐イズミを見る
五十嵐さんはどういう関係の人なんだ
さっきからの様子を見ていると茉莉花と親しいようには、全然見えない
五十嵐さんはわたしも、よく知らない人なんです
ええ茉莉花
わたしが、今日、松下さんを公くんに紹介するという話を聞いて付いて来たんです
五十嵐イズミは茉莉花の友達でもないのに、勝手に付いて来ているのか
ごめんなさいわたしが、今日のことをお話ししたら一緒に行くとおっしゃって
松下真樹さんが、うつむいて言う
ああ、茉莉花の友達じゃないけれど松下さんとは友達なんだ
いえ、わたしもあんまり、お話したことはないです
寮の談話室で、わたしと高畑さんが話しているのを聞いていたみたいで高畑さんが自分のお部屋に戻られた後で今、話していたことを詳しく教えろとかお前は高畑さんにダマされているとか世の中、そんなにうまい話は無いとか、おっしゃってそれで今日、無理矢理、付いていらして
メチャクチャじゃないか はぁぁ、さっき学生食堂で騒いだ理由が判った とにかく、五十嵐イズミは茉莉花が、松下さん姉妹をオレに紹介するのを妨害したいんだ
ち、違うそ、そういうことではなくって
五十嵐イズミが、慌ててオレたちのところまで走って来る
あ、あたしはあたしはただ高畑さんが本当に藤宮麗華の親戚なのかどうかを確かめたくて
そんなの確かめてどうするんだよ
オレはズバリと尋ねる
そ、それはふ、藤宮麗華はて、テレビに出ている人だろだ、だったら芸能関係の知り合いとかも居るんじゃないかって
芸能関係
あ、あたしは親に言われて、ずっと声楽をやって来たけれど本当はクラッシックじゃなくっても、もっと、て、テレビに出るような歌が歌いたいんだっ
五十嵐イズミはそんなことを言い出す
だから藤宮麗華と知り合いになって、芸能界の人を紹介してもらってそれで、そっちの世界に進むことはできないかってそ、そうだよそう思って、付いて来たんだよ
額に汗を浮かべながら、五十嵐イズミはそう言うけれど 怪しいメチャメチャ怪しい
本当にそうだとしたらお前、相当、どうかしているぞ
オレは五十嵐イズミの姿を見て、そう言う
あたしのどこが、どうかしてるんだよっ
だから全身、どうかしているよ
茉莉花たちとお揃いの清楚なブレザーの制服の上に黒の革ジャン 髪の毛は振り乱した状態で口紅が赤すぎる、下手くそな化粧
それが芸能関係の人を紹介して欲しいっていう女子高生のする格好か
今の五十嵐イズミのありのままを見て感想を述べればバカの一言に尽きる 五十嵐イズミは、急にモジモジして黙り込んでしまった どういう子なんだろうこいつは
公さんあの
茉莉花が、オレに話し掛ける
公くんはそのどうして月子さんが、いらっしゃるのに月子さんにお尋ねにならないんですか
茉莉花も月子には人の心と記憶無を読み取る力があることは、知っている
茉莉花お姉様は、まだ判っていらっしゃらないんですね
ずっと茉莉花の脇でオレたちの様子を見ていたエリカが口を開いた
そういうズルをしないから公さんは素敵なんだよっ
そう言うとエリカは、松下さんの妹の美樹さんのところへ行き
美樹さん何も心配はいらないからわたしたちは、ただ見ていればいいんだからねっ
明るく優しく話し掛ける
大丈夫だよっ最終的には、わたしたちの公さんが全部良いようにしてくれるからっわたしと茉莉花お姉様の時も、そうだったものっ
そんな心配そうな顔しないのっ大船に乗った気持ちでリラックスそうでないと、公さんの前で良い演奏ができないよっ
そうだオレは、この姉妹の演奏を聴かないといけないんだ この子たちが音楽をやっている少女である以上ありのままの松下姉妹を理解するためには、欠かせないことなんだな
わたしも茉莉花お姉様も応援しているんだからねっ
超お嬢様校の中等部のスターと評せられる微笑みでエリカは美樹さんに優しく言った そう答える美樹さんこの中学生の子も、とても性格の良い子なんだと感じた
五十嵐さんのことは、応援してあげませんけれどねっ
な、何よふんっ
エリカの言葉に、五十嵐イズミはまたプイと横を向く オレたちは校舎と体育館の間を抜けて校庭に出た 正門が真正面に見える校庭のド真ん中に 格闘技のリングができている いや、それだけでなくリングの周辺には、金属の枠で組み立てた高さ4メートルぐらいの大きな台が4つも建っていた 他にも周りを完全に覆った、大きめの白いテントが3つ ああ、これらを運んで来たんだと思うけれど大型トラックが4台も校庭の隅に駐められている さらにテレビ局の車も数台駐まっていた
Darlingマルゴここヨ
ジャージ姿でリングの上に居たイーディが、オレたちに手を振る さすがにまだスクール水着柔道の格好にはなっていない
今、降りるカラ
イーディは、リングのロープの間を抜けてコーナーポストにある白い金属製の階段を降りて、オレたちの方へ走って来た
そこの台はイントレって言うラシイネテレビカメラを乗せるんダッテ
イーディは、リングの周りの4つの高い台を指してそう言う
テレビの人に何でイントレって呼ぶノカって聞いたら、判らないって答えたヨオカシイネ
ホントは、理由を知っているんだろイーディ
イントレは、イントレランスの略ネ百年前のアメリカ映画にイントレランスっていうのがあったノヨ
100年前
その映画で、ムチャクチャに大きいバビロニアの城門のセットを作ったのヨ当時は人件費が安いから、平気でトンデモない大きなモノを作ってたノヨトコロガあんまり大きすぎて、カメラで撮影するのがムズカシクなったノネ
カメラで撮れないほど、大きいセット
ダッテ、100年前ヨレンズとかも、今みたいに専用のモノは無いネ大きな城門を撮ろうと思ったら充分に離れたところから、しかも高い位置からでないと全体が撮れないノヨ
ソレデ最初は、気球にカメラを乗せて上空から撮ろうとしたんダケド、当時の気球じゃ風に流されて安定しないネソレデ、ついにはもうショーガナイからって大きな城門と同じ高さの、カメラを乗せるためだけの台を向かいに作ってそこから撮影したノネ