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そうね美樹さんのバイオリンの才能は、素晴らしいわあなたと同じ年齢で、あそこまで弾ける子はまずいないと思うもの日本では

 そうなんだ学年1位のお姉さんのピアノよりも、中学生の妹さんのバイオリンの方が凄いんだ

家に美樹のバイオリンを置いておくと祖父が、勝手に持ち出して処分してしまいかねませんので今は、わたしが預かって、高校の寮の個室で保管しています

今日は姉さんに、お父様のバイオリンを持って来ていただきました

祖父でも高校の女子寮には立ち入りできませんからしかし、わたしが今の高校を退学することになれば寮からも出なければなりません

お祖父様の家に引き取られることになったらお父様のバイオリンは売られてしまいますわたしは、それだけは嫌なんです

 姉妹の悲痛な思いが伝わって来る

わたしの父が亡くなったことは、寮の皆さんはご存知ですしわたしが学校を辞めなくてはいけないかもしれないということも、何人かの友人にはお話ししましたからそれで、高畑茉莉花さんがわたしにお声を掛けて下さったんです

 松下さんの窮乏を見かねて茉莉花から声を掛けたんだ

それで高畑さんご自身も、黒森様という方からご援助をいただいてそれで学校を続けることができるようになったと、お話下さいましたそして、あの大変、厚かましい申し出であることは、重々承知しておりますがわたしたち姉妹のことも、ご援助いただけるようお話して下さると

始めは信じられないお話だったんですけれどわたしも、高畑さんにお会いして、お話をうかがって

とにかく、他には何もお助けいただくツテがないんですから高畑さんのお話に縋ってみようと覚悟を決めて今日は、こちらに参りました

 茉莉花だって黒森家のことは、松下さんたちに詳細には説明できないことは判っている  政財界の大物相手の高級娼館の経営をしていることなんて、言いようか無いし  香月家みたいな名家との繋がりも話せない  とりあえず、お金持ちと交流があるとか色々なビジネスを広く手掛けているとか言葉を選んで、ぼやかして話したんだろう  そんな説明では信用してもらうのは難しい  それでも松下姉妹は茉莉花を信じて、今日、ここに来てくれた

わたしたちのことは今、お話ししたことが全てです

 松下真樹さんはそう言う

そうかしら本当に、それで全部なの

松下真樹さんが、茉莉花さんの言葉を信じたのは他に何も援助してもらえるかもしれないツテが無かったからそして

 ミナホ姉さんは、茉莉花を見る

茉莉花さんが、公に松下さんたちを紹介しようとしたのはクラスメイトが困っていたからだけなの

あなたたち一番大事なことを、話していないわよね

 一番大事なこと

あっ、そうか判ったわ

 まり子が、パンと手を叩く

何が判ったんだまり子

 すぐにオレが尋ねると

わたしずっと引っ掛かっていたのよジャスミンさんが、公に相談する前に何が何でも、松下さんの演奏を聴かせようとしていたことに

それは変な先入観が入る前に、オレに松下さんたちの音楽の才能を理解して欲しかったからだろ

本当にそうだって、わたしたち学生食堂で松下さんたちと話した時から、このご姉妹は何かに困っていてそれは多分、金銭的な問題だろうって薄々感じてたじゃない

 ていうか茉莉花が、あれだけ暗い顔をした姉妹をオレのところに連れて来ただけで  何かオレに助けて欲しいことがあるんだなって判っていた

そういうことじゃないのよジャスミンさんの思いは

 まり子は黒瀬安寿を見る

ね、黒瀬さん例えば、あなたに大ファンのプロのサッカーの選手がいるとして

 黒瀬安寿の恋人がプロサッカーの選手だった場合

親しい友達に、そのサッカー選手のことを話す時にはどうする

 黒瀬安寿は

ええっと、わたくしは誰かのファンになったことが無いのであまり参考になるかどうか判りませんが

いいから答えなさい

は、はい自分の好きなプロサッカー選手のことを友達に話す時にはその人が出ている試合を観せるとか録画とかでもいいから、活躍している姿を見てもらいます

 黒瀬安寿はそう言う

やっぱり好きな人のカッコ良い姿を知ってもらいたいですから

そうよねそうなのよ

 まり子は茉莉花を見る

つまり、ジャスミンさんがどうしても、公に松下さんのピアノを聴かせたかったのは

ジャスミンさんて松下真樹さんのことが、好きなんでしょ

あけましておめでとうございます

2017年はユリ展開からスタートです

今年こそは、何としてもこの物語を完結させたいです

でも先は長い

1397.学園祭2日目 / 協奏曲

・黒森御名穂/28歳黒森家当主犯罪組織黒い森のリーダー家族の長姉公あるいは良信

 まり子が茉莉花に言う

あ、あのわたしは

 恥ずかしそうに、頬を赤らめる茉莉花

そして松下真樹さんも、ジャスミンさんのことが気になっていたのよ

 まり子の視線が、松下真樹さんに向かう

だからでしょイチかバチか、ジャスミンさんの話に乗ってみようと思ったのは

 改めて考えてみるといくら自分と妹が、祖父に音楽の勉強を諦めさせられるという危機に直面してたとしても  クラスメイトの女の子の提案に乗ってよく知らない人に援助を頼みに行くというのは、普通ではなかなかできないことだよな

とっても気になっているジャスミンさんがしてくれたお話だから信じようと思ったううん、信じたいって思って今日、ここまで来たのよね

 松下真樹さんは  穏やかにまり子の言葉を認めた

わたしは以前から、高畑さんの演奏を聴いて仲良くなりたいって思っていました好きなんです高畑さんのピアノが、わたし

わたしも大好きです松下さんの演奏が

 茉莉花と松下真樹さんが、笑顔で見つめ合う

ちょっと待って待ちなさいよあなたたち

 黒革ジャンの五十嵐イズミが、割り込もうとするが

あなたのことは後でするから今は、ちょっと黙ってて

 まり子が、キッと睨んで黙らせる  茉莉花が、改まった様子でオレを見る

あ、あのお話しなくちゃいけなかった順番が、違ってしまっているのかもしれないけれどそうだったら、ごめんなさいだけど、聞いて下さい

 あの大人しすぎる茉莉花が、懸命にオレに話そうとしている

だから、そのわたし本当に心から、松下さんにピアノを続けて欲しいと思っています松下さんと妹さんの美樹さんもです2人とも、わたしなんかより、ずっとずっと音楽の才能のある人で続けるべきなんです今、音楽を辞めてしまうのは、もったいないですホントにホントに、絶対そうなんです