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 そういうこともある

何よりあなたが、この先、病気になったり、大きなケガをして演奏ができなくなってしまう可能性だってあるじゃないもし、そんなことになったらそれまであなたに掛けて来た費用が全てムダになってしまうのよ判る

 美樹さんの顔が、暗く沈む

だから、音楽家を目指している人の多くが家族からの支援に頼っているのよ家族の愛情でもなければなかなか、こういう夢に投資することは難しいのよ

そうねトリイ電子で奨学金を出している人たちも、奨学金だけでは足りなくて家族から援助してもらっている人がほとんどだって聞いているわ

 ミナホ姉さんの言葉に、まり子が補足する

つまり、これからずっと援助してもらうためには松下さんたちも、わたしたちの家族に加わらないといけないってことですよね

 ずっと姉の茉莉花の脇で静かにしていたエリカがそんなことを言い出す

そうね家族なら話は別よ

 ミナホ姉さんは、フフと笑う

でも、そういう話をする前に片付けておかないといけないことがあるはずよ

うちの家族は、公を要にして成立しているわだから、公が必要としていない子あるいは公を必要としていない子は入れないのよ

 オレが必要としている  オレを必要としている

さっき茉莉花さんが自分で言っていた通りに話の順番が違うのよ松下さん姉妹の話をする前にあたしは、茉莉花さんの再鑑定が必要だと思っているわ

 茉莉花の再鑑定

えっと、それってどういうことなのかなミナホ姉さん

 これまたずっと事態を眺めていた黒瀬安寿が手を上げる

わ、わたし昨日から、こちらに置いてもらっているので、まだよくは理解していないんですけれどそれでも、黒森家の特異性については、なんとなく判るようになってきました

 おどおどしながら15歳の警護役が話す

それであの思ったんですけれど

 黒瀬安寿は茉莉花を見る

あの黒森様の家族は同性愛の方でもオーケーなんですか

 へ同性愛  いやオレは、茉莉花とも何度もセックスしているぞ

高畑茉莉花さんは松下真樹さんのことがお好きなんですよね

 黒瀬安寿の言葉に、オレは改めて茉莉花と松下真樹さんを見る  茉莉花が、松下さんのお姉さんに対して感じているものは  ただのクラスメイトの友情を遙かに逸脱している  これは愛だ  確かに愛だ

それで松下真樹さんも高畑茉莉花さんがお好きなんですそういうことですよね

 さっきの2人の会話や表情を思い出してみると

今までお互いに何となく気になってた相手が今回のことで、さらに意識するようになってさっきのピアノの演奏で、お互いに愛してるってはっきり判っちゃったんですよね

 そうだ思い出してみると

2人ともあなたのピアノが好きずっと、あなたと演奏したいって言ってましたけれどあれってつまり愛の告白ですよね

ピアノの部分で、言葉がボカされているだけですピアノを抜けば、意味が判ります

 うんあなたのピアノが好きはあなたが好き  ずっとあなたと演奏したいはずっとあなたと一緒にいたいか

同性愛嗜好の人だと黒森様の家族に加わるのは、ちょっと難しいんじゃないですか

 黒瀬安寿は、そう言うが

あなた、何も判っていないのねっ

 まり子が黒瀬安寿を睨む

茉莉花さんに同性愛嗜好があるなんてことは、あなたに指摘されなくてももう、とっくにみんな判ってたことよ

 オレは友情にしては濃すぎるとは思っていたけれど  茉莉花が同性愛かもしれないというところまでは、発想が追いついていなかった  昨夜だって、オレは茉莉花とセックスしているし

でもねぇわたしたちの家族はみんな、多かれ少なかれ、同性愛の嗜好も持っているわよ

そうじゃなかったら、これだけ女の子ばっかりの集団が上手くやっていけてるはずがないでしょわたしだって、桃子お姉様のことは公と同じくらい好きだし、愛しているものそういう子はいっぱいいるわよ

 確かに美智だって、みすずが大好きだし  そのみすずだって、元は渚のペットだったし、可憐を自分のペットにしたがっていた  瑠璃子なんて、オレとはセックスするけれど世の中の他の男とは口をきくのも嫌だと言うし  ミタマとキヌカのありすや美里に対する思いも、同性愛的だし  素子とくるみの関係も

うちの家族で同性愛の嗜好が全く無いな子なんて、可奈ぐらいよだから、あたしはあの子が好きなのあの子とは、完全に女の友情だけて話が出来るから

 そうだなあ、可奈センパイは確かに女の子に対してはカラッとしている

だから、ジャスミンさんのことをあなたみたいな判っていない子が心配しなくていいのよっジャスミンさんだって、もう、あたしたちの大切な家族なんだから

 まり子は茉莉花のことも家族として愛してくれている

だけど、まり子同性愛の嗜好も持っているのと完全に同性愛嗜好の人は違うんじゃないかな

 オレには1つの疑問が湧いていた

ほら、茉莉花はもの凄く大人しい子だからさもしかしたら、本当は男が嫌いなのに嫌々、してくれていたのかもしれない

 長年、離れ離れだった妹のエリカと会えたということもあったし  エリカがオレのセックス奴隷になったから本心では男とセックスするのは嫌なのに、仕方なく自分もオレのセックス奴隷になったのでは  そう言えば、茉莉花とセックスするのはいつもエリカと同時だ  まあ、茉莉花には週末しかお屋敷に来られないという時間的な制約があるからなのかもしれないけれど  愛する妹と一緒に抱かれることで、オレとセックスする嫌悪感を誤魔化していたんじゃないのか

それは違いますわ

 月子が口を開く

茉莉花さんが、ご自分でお話になられるのは恥ずかしいでしょうしご自分でもよく判っておられない領域のことですから、わたくしがお話致します

 個人の性的嗜好のことは自分でも把握しきれていないことがある  心が読める月子の方が客観的に話せるか

茉莉花さんは、確かに同性愛嗜好が強い方ですしかし、公様のことを心より深く敬愛しておられますそして、公様との肉体の接触も楽しんでおられますご心配になられることは何もございません

 茉莉花は同性愛だけの嗜好ではない

そもそも、茉莉花さんが嫌々、公様と関係なさっていてそれを隠しておられたのなら、わたくしたちが気付いております

 月子たち、鷹倉神社の巫女はオレたちの精神状態を、常にチェックしてくれている

わたくしたちだけでなくキョーコ様も、わたくしたちのそういう問題に関しては、気にして下さる方ですし