オレは想像してみた きっと、先輩社員が新入社員に、間違ったお酒を買ってこないように厳しく注意するんだな うわ、メンドくさい 気を遣ったつもりで、色んなメーカーの色んな種類のビールを買って行ったらメチャクチャ怒られるんだ
そんなレベルじゃないのよ
渚は、オレを見てクスクス笑う
あの人たちはねプライベートの時に、普通の飲食店でお酒を飲む時だって、絶対に自分たちの会社で指定されているビールしか注文しないわよ
えそこまで
きちんと**ビールを下さいって、特定の会社のビールを名指しで注文するのよそれで、もしも間違った会社のビールが出て来たら、注文と違うって怒るわよ
いや、だけど普通の飲み屋さんとかって、そんなに何種類もビールを置いていないんじゃないの
オレは、そういうお店のことは、よく判らないけれど
だから、そういう人たちはお店に入る時によく確認するのよ自分の会社の指定のビールがあるかどうか
え、そんなのどうやって
あなた、見たこと無いよく町の飲み屋さんの前を通ると**ビールってノボリが立ってたり、女性タレントがビキニ姿でビールを片手に笑っているポスターが貼ってあったりするでしょ
ああ、そう言えば見たことがある
そういうお店を選んで入れば間違えることはないわよね
今のは、普通の社員さんたちの話だけれどもっと、お偉いさんたちが行くお店は違うわよ銀座のお高いお店なんかではホステスさんが、あらかじめお客様がどこの会社の人かチェックしていてお客様が何も言わなくても、必ず、そこの会社で指定されているビールを出すことになっていわ
客がわざわざ注意しなくても飲むべきビールが出て来るのか
高級な料亭や、ホテルのパーティなんかも全部そう絶対に、会社ごとに指定されているビールだけが出るわお店の方で間違えて違う会社のお酒を出したりしたら、大変なことになるわよ担当者は、始末書じゃ済まないわね
そんなに一部の大きな会社では、決まっているメーカーのお酒を飲むことが大切なんだ
あれ渚もしかして
そういうことなの判るでしょ
アニエスは超お嬢様校には、香月家の縁戚ということで通わせてもらっている 編入試験の保護者面談にはわざわざジッちゃんに行ってもらったし 登校初日には、みすずや瑠璃子たちがわざわざ、アニエスの教室まで挨拶に行ってくれた というか毎日、香月家の車で通学しているし つまり、超お嬢様校の人たちにとってアニエスは、香月家の人だと思っている
香月グループってやっぱり、お酒は決まっているんだよね
ええ、香月グループのパーティなら出されるお酒は、必ずセイラン・ビールよ
歌晏グループは
歌晏さんのところならベンテン・ビールよ
慶良間酒造のゼウス・ビールは飲まない
だから困るのよ香月様も歌晏様も慶良間酒造とは、まったくお付き合いが無いと思うわ
やっぱり、香月家の縁戚であるアニエスが、慶良間酒造のお嬢さんと仲良くなるのは難しいのかな
子供の世界のことだから、無理では無いでしょうけれど周りの人たちは、嫌な顔をするでしょうね
渚は、率直に答えた
香月グループが慶良間酒造のお酒を飲まないことは皆さん、ご存知なわけですから
慶良間酒造の人たちからすれば香月家と関わっても、お酒が売れるわけじゃないからメリットが無い 逆に、今、仲良くしている企業グループの人たちから、香月グループに擦り寄っているんじゃないかといらぬ疑いをかけられるだろうし 逆に香月グループが普段使っているというセイラン・ビールの人たちも、アニエスと慶良間酒造のお嬢さんの接触を快く思わないだろう
はいセイラン・ビールを造っている青嵐醸造のお嬢様もボクたちの学校に通っています
ルナが、オレの心を読んで答える
まだ5年生ですけれど
超お嬢様校の小等部に、両方の酒造会社のお嬢様が居るんじゃ動きにくい
ああ翔姉ちゃんからの報告が遅いのは、そういうことなんだ
翔姉ちゃんは何とかする方法を探してくれているんだ それこそ政財界レベルで、香月家と慶良間家が交際するための裏技を
うん、状況は判ったこの件は、しばらく様子を見よう
アニエスのためには、何とかしてやりたいんだけれど
それはそれとして話を戻すけれど、どうしてルナはこっちに来たんだ
改めてオレは尋ねる
それはねまずは、月子お姉様がお屋敷に戻っていらしたのと
ルナは答える ああ、月子は五十嵐イズミを連れて、無事にお屋敷に戻ったんだ 香月セキュリティ・サービスの木下さんが、車で連れて行ってくれたんだな
今の状況だとお屋敷に最低1人は、巫女がいないといけないから
うん東南アジアから来た13人の少女暗殺者たちは、大分、精神状態が安定してきたけれど 何が起きるか判らないから心のチェックと支配ができる巫女が近くに居た方が良い
で、月子お姉様と同時に渚お姉様もお仕事からお帰りになられたからそれで、月子お姉様がボクに兄さんの学校に行って問題の種を消して来るように言ったんです
問題の種
兄さんは以前、ここの学校の人たちの何人かに、マナお姉さんのことを自分の妹だって紹介したことがありますよね
あそういえば そういうことをした覚えがある
そういう記憶が残っている人を見つけてマナお姉さんでなく、ボクが兄さんの妹だと記憶をすり替えないといけないって
マナは、この半年で身長がグッと伸びたしビックリするぐらい綺麗になった そして今、オレたちのパン工房の手伝いをしてくれている 見た目は前とは全然変わっているけれど 今のマナを見て前にオレが妹だと紹介した子じゃないかと疑いを持つ人が出て来るかもしれない
この記憶のすり替えは、巫女の力を持っていないとできないですけれど人の心に触るのは、最低限度に留めておきたいじゃないですかだからすり替わるのは、ボクでないと
半年前のマナならルナが一番、背格好が似ている というか、月子は大人だし、コヨミちゃんは外見が幼すぎる そしてヨミはロリ巨乳だから、昔のマナとはタイプが全然違う
というのが表の理由です
正直、前に紹介された兄さんの妹のことを覚えている人なんて、ほとんどいないですよ
今のマナお姉さんを見て昔会った子だと気付くことなんて、まずあり得ません
それなら何故
でも、マナお姉さんは心の中で恐れていますから
マナは自分が、白坂舞夏であることを知られることを怖がっている