相変わらず、メグのあたしなんか病は根が深い
でも、あたしは普通の子の上に、暗いし、機転が聞かないし、我が儘だしあたしなんかより、ヨシくんにとっての普通の子は可奈さんの方が良いんじゃないかって思うのよ
可奈さんは普通の人だけれど、明るいし、綺麗だし、人望もあるしあたしよりも、ずっと大人っぽくて、頼れる人だもの
オレたちのパン工房と女子テニス部の皆さんとのコラボ企画のカフェ・テラスは可奈センパイの力で実現した 外のお店の方は、完全に可奈センパイが仕切っていたし
パン工房の方は克子お姉さんと愛ちゃんが頑張ってくれていたし、マナまで助けに来てくれたわあたしはヨシくんの助けになってないと思うの
ああみすずや瑠璃子たちお嬢様へのコンプレックスが治まってきたら 今度は、同じ高校に居る可奈センパイや、克子姉や愛たちにコンプレックスを感じている メグは、本当に手の掛かる子だ
他の人がどうかっていうのは関係ないんだよオレとメグのことはさ
オレは、メグが必要だしメグじゃないと困ることもあるんだ
何が困るのよあたしは、他の人みたいな魅力は無いわ
メグが、またうつむくからオレは、メグの手を掴んで引き寄せる
いいから聞けメグ
オレは、メグに顔を接近させ瞳を見て、言う
今夜、学園祭が終わった後オレは黒い森の仕事をしなくちゃいけない
茉莉花が、持って来た案件だけれど茉莉花の友達のために、オレは月子を使ってまた1人の人間の心をねじ曲げることになる
兄さん月子お姉様でなく、ボクが行っても良いですよ
月子の妹で巫女の力を持つルナが、オレにそう言うが
ダメだ今夜の仕事は月子じゃないと、相手に怪しまれる
ルナやヨミでは、見た目からして若すぎる 月子は、もう18歳だから大人っぽい服装をさせれば、ミナホ姉さんの秘書に見えるだろう
それに、今夜の相手には、最低限度の心の操作しかできないんだだから、心の操作の経験が一番豊富な月子に頼むよ
オレたちの敵が相手なら心をブッ壊して、破滅させても構わないが 松下姉妹のお祖父さんは廃人にするわけにはいかない 松下真樹さんと美樹さんが音楽の勉強を続けることができるようにお祖父さんの心をちょっとだけ曲げる 松下老人には、今後もドラッグストア・チェーンの経営を続けてもらわないといけない だから、心の操作には細心の注意が必要だ ヨミは攻撃的な性格だから、壊し屋には向いているが繊細な操作は苦手だろう ルナやコヨミちゃんは、パワーの細やかなコントロールができるかどうか判らないしマイナスの感情が相手から逆流して、自分の精神を傷付けてしまう危険性もある
ああ、そうだねそういうことなら、ボクや夜見子お姉様より、月子お姉様の方が適していると思う
オレの心を読んでルナが納得する
実際に心の改変をするのは、月子だけれどそれはオレに命令されたからだオレに命令されたことをしているだけだから月子は、腹を括って力を使うことができるし月子自身の精神は、壊れない
多くの鷹倉神社の巫女が他人の心に手を加えることで、自分の心も壊してしまい自滅した
うんボクたちは兄さんのモノだから生きていく全てを兄さんに捧げて委ねているから、壊れないでいられるんだ
ルナがうなずく
そうだオレが月子にやらせているだけで全ての責任は、オレが背負うそして、もちろん勝手に人の心を操作するのは犯罪だ
そうね普通なら、人間として絶対にしてはいけない行為よね
渚が笑顔のまま言う
でも、あたしたちは黒い森は犯罪組織ですものね
ああ、オレたちはとっくの昔に犯罪者になっているだけど
だからといってオレは開き直らない犯罪を犯すことは悪いことなんだ罪深いことをしているってことを、オレは決して忘れない自分が犯罪者であることを開き直って肯定してしまえばオレは、白坂創介やシザーリオ・ヴァイオラと同じレベルの人間以下のクズに堕ちてしまう
5月に死んだ父親の名前を聞いて、メグの表情が変わる
オレは最低の人間だよ最低の人間だけどオレは、人間のままでいたいと思う
白坂創介のように、自分が特別な人間で他人を苦しめる、他人から幸福を奪い獲ることを当然だと思うような畜生にはなりたくない
だから、オレは自分が悪人で、してはならないことをする人間で、間違っているということ忘れない忘れないまま今夜も罪を犯すんだ
メグが、オレの手を強く握る
どうしてヨシくんが1人で背負わなくちゃいけないのよ
だってオレの家族のことだから
オレは茉莉花を家族として受け入れた 茉莉花を抱いたし茉莉花にも、オレの子を産ませる幸せにする その茉莉花が、松下真樹さんを求めるのなら オレは、茉莉花のために真樹さんを救わないといけない
別に1人で背負ってはいないわよあたしたちがいるもの、ね、真緒
渚が、真緒ちゃんに微笑む
うっしししそうだよっ
真緒ちゃんが、オレの腰にしがみついて来た
この人は、あたしたちのためなら犯罪でもパン屋さんでも、何でもやってくれるわだから、あたしたちもこの人のためなら、何でもするわよ
まあ、何でもするって言ってもそれぞれの持ち分で、それぞれのするべきことをねあたしは毎日、この人と高校に通うのは無理なんだからでも、あたしにはあたしのできることがあるから
真緒は、ずーっとパパとお風呂に入ります
ああ、さっきねうちのお店のお客様が、娘さんが小学生になったらお父様とお風呂に入らなくなったっていう話をしていて
渚が、慌てて説明する
真緒がその話を聞いていて
真緒は、小学生になっても、中学生になっても、高校生になってもずーっとパパとお風呂に入るからねっうししっ
真緒ちゃんが、オレに飛び付いてきた オレも真緒ちゃんの小さな身体を抱きしめる
恵美ちゃんは、どうするのっ
真緒ちゃんの問い掛けに、メグは また暗い表情に戻る
あたし何ができるんだろう
こういう話ができるだけでもメグが要るんだよ、オレは
こんなの可奈センパイには話せないよ
可奈センパイは犯罪組織黒い森のことは教えていない
オレたちの持つヤバい部分について、可奈センパイは気付いているけれどあの人は、あえて、そこには触れないでくれているだから、可奈センパイとは深刻な話はしないで済むから気楽な関係は保てるけれど
オレは、改めてメグを見る
逆に、深刻な話をする時は可奈センパイじゃダメなんだメグじゃないと