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 祖父の言葉に松下姉妹は、またビクッと震える

だから音楽を止めて、松下さんたちに薬屋の仕事をしろって言うんですか

 まり子がムッとして言う

ああ、薬屋なら日銭が入る確実に食っていくことはできる

へえ薬屋さんて、そんなにチョロイ商売なんですか

 煽るまり子

チョロイだとどんな商売だって、チョロイはずがないだろ君は、額に汗して働くということを馬鹿にしているのか

 松下老人は、激怒するが

薬屋さんだって、経営していくのは大変なんですよね必ず成功する仕事なんて、ありませんよねだったら松下さんたちが、音楽科を目指すのと変わらないじゃないですか

会社経営に失敗した経営者くずれだって、世の中にはいっぱいいると思いますし

小娘が、聞いたようなことを言うなッ

あなたのドラッグストア・チェーンだって失敗して倒産することだってありえるんですよ判ってます

私が失敗するわけがないだろう私は40年以上、薬屋をやって来たんだぞ

これから先は判らないでしょ少なくてもわたくしは、あなたの会社には絶対に投資しないわ

 まり子は歌晏桃子姉ちゃんの影響で、日頃から株の売買をしている

君のような小娘に投資など、私の会社は必要としていない

 松下老人は、怒りに任せて、まり子を怒鳴りつけるが

あなた、自分の会社を株式市場に上場してるんでしょ馬鹿なこと言わないで

 まり子は、少しも動じないで反撃する

企業の創業者は多分、あなたぐらいバイタリティがあって、何でも独善的に自分の意志を通していかないと、小さな会社を大きく発展させることなんてできないんでしょうけれど会社のトップがそんな狭量な性格の人じゃ、これから先の発展は無いわよ

私が間違っているというのか私は70過ぎだぞ1代で会社を育てた経営者だぞ君のような娘に何が判る

過去のことは、過去のことでしょわたくしが言っているのは、これから先の未来のことよ

 これからのこと

わたくしのお祖父様が、以前おっしゃっていたわ創業者が一代で成長させた企業は、その創業者が高齢になってもトップで居続けることで危うくなるって特にカリスマ創業者がトップダウンで何でも1人で決めているような会社は、老害かした経営者が判断を間違うと一気に崩壊することもあるそうよあなたみたいに、70歳過ぎなのに、自分の感覚が時代にそぐわなくなってることに気付いていない創業者社長が一番危険だってそう、おっしゃっていたわ

馬鹿にするなっ小娘がっ

だって、あなた人の意見に耳を傾ける気が全然無いじゃない偉そうに喚いてるだけで、今自分がどんな立場にいるのかも理解していないこんな失礼な人間は、経営者として失格だと思うわ

失礼なのは君の方だ君は私を誰だと思っているんだッ

あなたこそわたくしを誰だと思っているのわたくしは、鳥居まり子最初にご挨拶したはずよつまり、あなたは今、トリイ電子にケンカを売っているの判ってるの

香月グループとも敵対なさってますよ

 まり子の言葉に翔姉ちゃんが、付け加える

香月瑠璃子様のいらっしゃる席で醜態を晒されているわけですから

 ハッとなる、松下老人  まり子は、世界的電気機器メーカーのトリイ電子の社長令嬢瑠璃子は、名家を束ねる大名家、香月家本家の娘  瑠璃子は無言のまま、冷ややかに、松下老人を見つめていた

瑠璃子様はあなたのこの醜態を、香月閣下にご報告なさるでしょうしわたくしも、もちろん父に話しますわたくしが親しくさせていただいている様々な企業の方たちにも、お話しします

そ、それで私を脅しているつもりなのかね

 松下老人は、それでも虚勢を張るが

わたくしは、事実を申し上げるだけですわあなたの態度や言葉でわたくしや瑠璃子様に不快な思いをしていることは事実ですし

 静まり返る室内  松下姉妹は、動揺して震えているそろそろ限界だな

まり子ストップだ

 オレはまり子を止める

よくやってくれたまり子のお陰で、松下さんのことが大体判った

松下さんがそういう人の意見を聞かないで、何でも自分のやりたいようにしたがる人だから松下さんの息子さんは、家を出て独立するしかなかったんだな

 オレは松下姉妹を見る  真樹さんと美樹さんの父親は祖父とは別に、自分で小さな貿易会社をやっていたと聞いた  そして病気でつい最近、亡くなったという

息子さんとも、何年も何十年もきちんと話し合いをしたことは無かったんでしょう

 父親の下で、ドラッグストア・チェーンを継ぐことを息子さんは望まなかった  松下老人に人生を支配されることを拒んだんだろう

だったら、何だと言うんだ

 松下老人は、オレを睨み付ける

ということは孫娘の真樹さんや美樹さんとも、きちんと話をしたことはないんでしょ真樹さんたちから、直接、将来の夢のことを話してもらったこともないしそれどころか

真樹さんや美樹さんの音楽の演奏も聞いたことがないんじゃないですか

 松下姉妹が顔を上げて、オレを見る

一度も無いがだから、どうだと言うんだ必要がないことだから、聞かなかっただけだ孫娘の演奏会に行く時間があるんなら、私はその時間をビジネスに費やす私は、そうやって今の地位を築いてきたんだ

じゃあ、聞いてみましょうミナホ姉さん

 オレはミナホ姉さんを見ると

ええもう、用意してあるわよここはホテルですから

 ホテルならピアノぐらいある

では、皆さんお隣の部屋にどうぞ

 松下老人は、拒否しようとしたが

あら戦わずして、負けるつもり

ここで真樹さん、美樹さんの演奏を聴かなければあなたの負けよ人間としても、経営者としてもね

経営は関係ないだろう

経営者ならばこれ以上、わたくしや瑠璃子様を不快にさせるべきではないと思いますけれど

 まり子の言葉に、瑠璃子が

わたくしと一緒にお孫様たちの演奏を聴いていただけませんか

短い時間で済むことですから

すぐに終わるのなら我慢しよう

 そうしてオレたちは、翔姉ちゃんに先導されて  隣の部屋へ移動する  隣の部屋も、ホテルの宴会用の部屋だったが今まで居た部屋よりも、ずっと広い大規模のパーティ用の部屋だった  そして、その部屋には  大きなグランドピアノが2台並べて置いてあった

茉莉花あなたも、松下さんたちと一緒に演奏なさい

 ミナホ姉さんが茉莉花に命じる  茉莉花は驚き真樹さんを見るが

真樹さんたちだけじゃ、緊張して上手く弾けないかもしれない茉莉花、助けてやれ

 オレもそう命じる  真樹さんと美樹さんの姉妹にとって松下老人は、怖い存在だ  ひたすら自分たちを圧迫してくるだけの理解できない人  だけど、自分たちの祖父であるのだから心の底では、理解されたいとも願っている  祖父の前で演奏するこのチャンスを緊張のし過ぎで台無しにしてはいけない