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ほい、では参りましょうっ

 全員が服を身に着けると元気よく、木下さんが言う  みすずやありすは髪を整えたりするのが、まだだけれど学校へ向かう車の出発時刻まで、まだ余裕があるから大丈夫だろう

えっと食堂へ行くんだっけ

 ペッドルームで、寧がスピーカーで話していたのは食堂へ来いだったけれど

それがボスには、先に食堂でご朝食を召し上がっていただく予定でしたがその時間がなくなりましたので、上のピアノのあるホールへお越し下さいとのことですご朝食は、そちらの方に持って行きますからと

 ピアノのホール  昨日、茉莉花と真樹が家族のみんなに、ペットのイズミを全裸紹介させた  そう言えば、さっきまでスピーカーから聞こえていた茉莉花と真樹のピアノの練習も  あの部屋でやっていたはずだ  お屋敷には、他にグランドピアノのある部屋は無い  食堂に置いてあるのは、エレクトーンだし

それではーっ、レッツゴーですっ!

 早歩きで廊下に出る木下さんにオレたちも、早足で付いていく

ほーら、遅いよっ、遅いよっ、遅いよっヨッちゃん、何やってんのっ

 2階のピアノのあるホールに着くと寧が、オレたちを待っていた  寧だけではない  昨夜と同じように家族のほぼ全員が集まって、椅子に座っていた  いや、昨夜は夜遅まて居なかった真緒ちゃんまで居る  居ないのは昨夜は駅前ホテルに泊まったミナホ姉さんと、香月セキュリティサービスの業務に戻った翔姉ちゃんとレイちゃんマルゴさんとキョーコさんもいない  それと雪乃も

はい、みんなせーのっ

 寧が音頭を取ると全員がオレに微笑んで  と朝の挨拶をしてくれた  もちろん端の方にアーニャと居る少女暗殺者たちも  おはようと言わなかったのは松下美樹さんだけだろう

う、うんみんな、おはよう

 オレも挨拶して、手を振る

ほらほら、ヨッちゃんの席はそこっサンドイッチとアイスティーがあるから、それで朝ゴハンにしてっ

 寧の指さす空席にはサイドテーブルがあって、朝食の用意がされていた  オレの席の周りは空席になっている  一緒に遅れて来た、みすずやメグたち用の席だろう

他の子は、テキトーに空いてる席に座って朝ゴハンは、ここが終わってからで間に合うからいいよねっ

 つまりオレだけは、このホールでのイベントが終わったら、次の仕事に入らないといけない

さあ、早く早くもう予定より、10分も押してるんだからっ

 寧に促されてオレが自分の席に座ると

ちょっと何なのよ今日は、学校が休みなんだから、朝寝坊できると思ってたのに

 部屋の入り口から遅れて来た雪乃が  ネグリジェ姿で、ボサボサ頭のまま枕を抱えたままの姿で、やって来て  とオレの隣にドカッと座って、オレ用に用意されたサンドイッチを摘まみ食いする

おい、それオレの

 と、オレが文句を言おうとすると

あたしじゃないわよお腹の中の子が食べたがってるんだから、あんたは我慢しなさいよ

 雪乃はさらに、オレのアイスティーも飲み始める

無理してこうやって起きて来たのだってお腹の赤ちゃんのためなんですからねっ

お腹の子のため

そうよ胎教よ、胎教

 雪乃はニッとオレに微笑んだ

ピアノの生演奏を聴いたりするのはお腹の子に良いって聞いたのよ、あっちの人がさあたしの部屋に内戦で連絡して来たのよだから、頑張って起きて来たのよ

 雪乃が指さす方向には同じく妊婦の渚が居た  真緒ちゃんと二人で、オレに微笑んで手を振ってくれる  オレも手を振り返している間に雪乃は、オレのサンドイッチをも一つ食っていた

おい、それ以上は勘弁してくれ

 全部喰われるとオレの朝食がなくなる

おはよ

 サンドイッチを食いながら、オレに言った

オハヨって言ったのよまだ言ってなかったでしょ

あ、ああおはよう

 オレが挨拶を返すと雪乃は笑って、次のサンドイッチを口に放り込んでいた  この朝食は諦めるしかない

はーい、それでは大変長らくお待たせ致しましたっヨッちゃんたちが到着したので第一回、チキチキ朝の音楽会っはっじまるよーんっ!

 寧が司会をすると音楽科高校の制服を着た茉莉花と真樹が、ピアノの前に現れる  オレたち全員に深く礼をしてそれから、二人並んで、ピアノに座る  さっきまで聞こえていたピアノはこのための練習  本気でピアノ奏者を目指している彼女たちは練習や音合わせ無しで、いきなり聴衆の前で演奏したりはしない  これから始まるのは二人の本気の演奏!!!  ピアノの鍵盤の上に手を出す二人  茉莉花と真樹の集中に部屋の中の全員が引き込まれ、静まる  そしてピアノ少女たちはおもむろに連弾演奏を開始する  昨日、二人がミナホ姉さんの前で演奏したモーツァルトの曲だった  昨日と同じ曲だけど、昨日と同じ演奏ではない  昨日の真樹の演奏も素晴らしかったけれど  昨日の真樹の演奏には明日への不安が感じられて、弱さが見えた  今日の演奏は自身に満ち溢れている力強い音が、透き通って響く  茉莉花の演奏もそんな真樹の音に、同じ力強さで溶け込んでいる  昨日よりも、ずっとずっとレベルアップした演奏がそこにはあった  音楽に詳しくないオレでも、はっきり違いが判る  二人のピアノにオレたちは、圧倒される  たった一晩で大きく成長した真樹も、茉莉花も  ほんのわずかな時間でわずかな切っ掛けで  人の才能が大きく飛躍することがあるということをオレは思い知らされた

ブラボーですのっ!

 演奏が終わると、アニエスが立ち上がって二人に拍手した  オレも部屋の全員も力いっぱい拍手する  拍手していないのは真樹の妹の美樹さんだけ  姉の演奏の変化に呆然としている

続きまして、もう一曲どうぞっ

 司会の寧がそう言うと  ピアノから、茉莉花だけが立ち上がって後ろに下がり  代わりに、ピアノの前にイズミがやって来て、オレたちに向かって一礼する  真樹の華やかな前奏が始まり

そしてイズミが歌い出す

 この曲はオレでも知っているさくらだ

さくら さくら やよいの空は 見わたす限り

 イズミの声も昨日、無理矢理スクール水着柔道大会の国歌斉唱をやらせた時とは違う  本気で歌っている美しい声だ  広い部屋全体に響く  イズミだって、音楽科高校の声楽部門ではトップ3の実力の持ち主だったもんな

いざや いざや 見にゆかん

 歌と演奏が終わると余韻を残した後に、イズミがさっと一礼する