リョーコ、フレイルを預かるヨ
任せます
イーディは、木下さんから武器を受け取ってバンの後部ドアを開けて中にしまうとドアを閉める その間に、木下さんは運転席へ 月子は助手席に イーディが飛び乗って、スライドドアを閉めると同時にバンは発進した
ネイミキを隠すネDarlingたちは、頭を下げて隠れて
水道工事会社の作業員に化けているイーディたちは、生徒たちに見られても問題ないが他の学校の制服を着ているオレやイズミましてや、ここの中学の制服を着ている松下美樹さんや、中学の体育ジャージ姿の黒瀬安寿が車に乗っていることを知られるわけにはいかない 中学生を拉致・誘拐していると勘違いされたら大騒ぎになる オレたちを乗せたバンは不審に思われないように、ゆっくりと徐行して
オーケイ通り過ぎたヨ
でも、校門を出るまでは、そのまま隠れていて下さい
うんっさっきより、登校してきた生徒が増えてるよっ
この中学校に入り込んだ時はまだ時間が早いから、登校者は少なかったはずだけど ほんの数分で正門前に生徒が増えている
ちょうど中学の前のバス停に、バスが着いたみたいっ
正門はさっきのままですねこのまま出まーす
黒瀬安寿が手で押して、車が通れる幅に広げた正門はそのまま ガタンッと車が揺れる
はい、今、外に出ましたーっでも、もうちょっと、隠れていて下さーい
オレたちは、頭を低くしたまま車に揺られる
はいっもう、良いですよー
オレは頭を上げて、後ろを向く 美樹さんの中学校が遠くに小さく見える 隣を見るとオレの隣で、イズミが過呼吸になっている苦しそうだ
月子!
はいイズミさんもう話をしてもいいですよ
月子が巫女の力で騒がないようにイズミに暗示を掛けたまま慌てて行動させたから、体が混乱して、過呼吸状態に陥ってしまったんだろう
あああああー、ああーっ!
イズミはいきなり、大声を上げた
怖かったぁぁ、すっごく怖かったんだからぁぁ!!!
眼に涙を溜めて叫ぶ
騒ぐなそんなに怖くはなかったはずだぞ
オレも、寧も、イーディも、月子も、木下さんも平然としている
怖かったわよぉぉ、柔道部の男子たくさんいたし、あの顧問の先生だって、メチャクチャ壊そうだったじゃないっ!
オレは、あの先生より怖い人をいっぱい知ってるけど
なによりーっ、あなたが一番怖かったわよっ!
涙目のイズミが、オレを指さす
そうよっ、何であんな状況で他人のスマホをバキバキにできちゃうのよっ!
オレがサクラギたちのスマホをブン殴り棒で破砕したのが怖い
ヤッちゃんオレ、怖かった
オレは前のシートに座る寧に尋ねる 寧は、まだ松下美樹さんの背中を抱きしめていた
うんうんヨッちゃんは、いつも通り可愛かったよっ
Darlingは、いつも通り面白かったネ
わたくしなんて、大笑いしちゃいそうになりましたよー
イーディと木下さんもそう言う
そんなことないわよっわたしは、怖かったのよ!
イズミは、一度、大きな声でそう言ってからハッとして
いいえ怖かった怖かったですニャン
慌てて語尾にニャンを付ける
もう、逆らわないですニャン公くんさんには
そのまま大人しくなる
わたしも怖かったです
と寧に抱かれた松下美樹さんが口を開く
わたしもあなたがあなたたちが、こんなに怖い人たちだとは思っていませんでした
美樹さんは震えている
そんなに怖いことかな中学校に不法侵入して、柔道場に突撃して、スマホ取り上げて、ブッ壊して帰って来ただけだけど
オレには彼女たちが、そんなに怖がるようなことをしたつもりはない
そうですよねーわたくしなんてあのサクラギって子の両手両足の骨を折って、柔道場に放火して帰るぐらいはやると思ってたんでスマホを打ち壊したのは、正直、意外でもう、おかしくておかしくて笑っちゃってもいいですか
うひゃひゃひゃひゃひゃひゃサイコーにおかしかったですーさすが、ボスは面白いっ!
木下さんは、運転しながら笑っている
そういうことじゃなくってわたしが怖いと思ったのはニャン
公くんさんは美樹さんに見せるためだけに、こんな恐ろしいことをやったんですよねそういうことニャンですよね
美樹さんのエッチな画像を回収するだけなら公くんさんたちだけ、どうにでもできるのに美樹さんに見せるために、わざわざ、こんな朝早くから柔道場まで行ったんですニャン!
イズミの言葉に美樹さんが、オレの方を見る
そんなの当たり前じゃないかオレたちだけで月子の力があれば、放課後にでもサクラギが一人になったところを狙って、あいつのスマホを回収したりすることはできただろうけれどさそんなんじゃ、美樹さんにとって良くないじゃないか
美樹さんが、オレに尋ねる だが、オレが答える前に寧が美樹さんに
美樹ちゃんはさっもう一度、サクラギくんに会わないといけなかったんだよっサクラギくんとの交際関係を保ったまま
美樹さんは寧の言葉の意味が、判らないらしい
美樹さんはっサクラギくんのことが好きかどうかはっきりしないまま、サクラギくんに押し切られて、交際することを受け入れちゃったんだよねっ
大事なことだから、はっきり言ってあたしの言ってることはと違うかなっ
いえおっしゃる通りだと思います
美樹さんは小さくうなずく 彼女は父親の急死や、自分が音楽の勉強を続けられなくなるかもしれないということで、心が不安になっていた だから、サクラギの申し出を受け入れてしまった
でもっ美樹さんは、色々と忙しくて、サクラギくんと会ったり、デートしたりする時間が取れなくてっそれで、何となく彼に負い目を感じてしまってサクラギくんに求められた下着の画像を送ってしまったんだよねっ形式上はお付き合いしてるはずの交際相手だからっ
美樹さんは自分のしたことが、情けないと思ったのか、うつむいて答えた
そんな美樹さんだからヨッちゃんは美樹さんに、もう一度、サクラギくんと会わせないといけないって考えたんだよっ
優しい笑顔で寧は、美樹さんに言う
どうしてですわたしには、よく判らないです
寧を見る美樹さん
だーかーら、美樹さんはとりあえず形式的に交際関係を結んじゃっている以上は、一応、交際相手として相手のことを尊重しなくちゃいけないって頭の中だけで考えて、自分を縛り上げちゃうタイプなんだよねっ
交際することは了承したが美樹さんは、サクラギと具体的に恋人らしいことは何もしていない それなのにサクラギから求められたら、自分の恥ずかしい画像を送ってしまった 頭の中ではサクラギは、自分の交際相手だと認識していたから そうしなければ、サクラギに申し訳ないと思い込んでいた