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頭の中では、どう思っていたとしても実際に会ってみたら、ハッキリすることってあるんだよな

 オレは美樹さんに、言う

さっき生のサクラギ本人に会ってみて、どう思ったオレたちと一緒に、柔道場に入り込んでサクラギの顔を見た時にどう感じた

あたしたちよりもっ、サクラギくんの方が親しく感じられたっ

 オレに続いて、寧も尋ねる  美樹さんにとってオレたちは、昨日の午後に知り合ったばかりだし正直、姉の真樹と違って、美樹さんはまだオレたちのことを信用していないはすだ  美樹さんの頭の中の認識が正しいのなら前からの知り合いで、交際相手のサクラギの顔を見たら、ホッとするはずだ  オレたちよりもずっと親しく感じられるはずだ

わたしは変な気持ちでした何だか知らない人を見ているようでした

 美樹さんは答える

サクラギくんを一目見たら、それだけで判っちゃったでしょっ美樹さんは、サクラギくんのことを愛してないってことがさっ

そしてサクラギもミキのことを愛してはいなかったノネ

そーですよねー愛してたら美樹さんの下着の画像を、仲間に見せびらかしたりしないですよねー

 木下さんも、会話に加わる

美樹さんはっサクラギくんが、自分の画像を友達に見せてたことを知ってどう思ったっ

 再び寧が尋ねる

大っ嫌いって思いましたどうして、あたしこんな人と付き合うことになっちゃったんだろうって恥ずかしくて、情けなくて、頭にきて

じゃあヨッちゃんが、サクラギくんのスマホを粉々にしちゃったのを見てどう思ったっ

それは正直、やり過ぎだと思ったしスマホを壊している時の様子が、本当に怖かったんですけれど

 やっぱりオレは怖い顔をしていたのか

でもっ嬉しい気持ちもあったでしょっヨッちゃんが、美樹さんのために怒ってくれてあんなことまでしてくれたことはっ

それははいそうだと思います

 美樹さんはうつむいたまま答えた

じゃあ、これで美樹さんの心の中のサクラギくんは消えたよねっもう、彼に対して何の負い目も無いよねっ美樹さんはサクラギくんに恋してなかったしサクラギくんも美樹さんに恋してなかった恋愛関係が成立してないんだから、交際もしてなかったんだよっだからサクラギくんとの関係は、これでオシマイっ!

 寧が美樹さんを抱きしめて、髪を撫でる

はいそれはそれは、そうなんですけれど

わたしサクラギくんに、もう、あなたとは交際できないから、別れるってきちんと連絡した方がいいですよね

 寧を見上げてそう言うが

ないないなーいっその必要はなーしっ!

 寧は、大きな声でそう言った

あんなやつには、そんなことさえする必要はないんだよっもう、これでキッチリ全部オシマイでいいのっ

だいたいさどうやって、サクラギくんに連絡するのっサクラギくん、もうスマホ持ってないんだよっ!

 オレが完全に粉砕してきたから  SIMカードもペコバコにブッ叩いてきたから他のスマホに差し替えることもできない

そうっすよねーっぎゃははははっ、おっかしー

 運転席で木下さんが爆笑する

あの子、ゼッタイに美樹さんのアドレスとかメモしてないと思いますよースマホがないと何もできないタイプだと思うんでもう、あっちから連絡はできませーんぎゃはははは

 オレもサクラギはそういう男だと思う

ですけどサクラギくんとは、これからも学校で会うことになりますしあっ!

 美樹さんが、大きな声を上げる

わたし今日、学校!!!

 美樹さんは後ろを振り向くが彼女の中学校はすでに、はるか彼方だ  今日は月曜日本来なら、美樹さんは授業に出なければいけない  なのに彼女はオレたちと一緒に、中学校から脱出してしまった

それも、もういいんだ美樹さんには、転校してもらうことになるから

高校からは茉莉花や真樹と同じ、音楽科高校へ行けばいいけれど中学の残り1年半は、違う学校に行ってもらう

オレたちの家族になるならオレたちには味方も多いけれど、敵もいるだから、警護しやすい学校に通ってもらわないと困る美樹さんのためだけに、さっきの中学に警護員を派遣するわけにはいかないからだ

マナちゃんたちと同じ中学校に転校してもらうんだよねっ

 寧がオレに聞く

いや、思い切ってみすずたちの学校でも良いんじゃないか美樹さんが、これからヴァイオリンを続けていくんなら

 1年半だけでも、名家のお嬢様たちが通う超お嬢様校に在籍していた方が美樹さんにとって、プラスになるんじゃないかと思った

いいかもっでも、今から押し込むのは大変じゃないっ

 寧が言う通り超お嬢様校には、少し前にアニエスや鷹倉神社の巫女たちを押し込んだばかりだ  元々、名家とそれに準じる良家の娘とそのお付きしか入学できない学校だし

誰かのお付きってことにして、入学できないかみすずに、相談してみるよ

 それからまだ不安な表情のままの美樹さんを見て

納得できないなら、こういうことにするよオレが命令する美樹さんは二度とサクラギと会ってはいけないオレの強制命令だから美樹さんが、悩むことはないそうするしかないんだよ美樹さんは

そうそう、ヨッちゃんのご命令だからっサクラギくんのことは、忘れちゃっていいんだからねっ

 オレと寧の言葉に  美樹さんは了承する

そうするしかないんですよねだから、そうします

 突然イズミが、大きく溜め息を吐く

わたし真樹お姉さまがおっしゃっていたこと、やっと分りましたニャン

昨夜、真樹お姉さまが公くんさんまことを、こうおっしゃってましたニャンこんなに面倒見の良い人はいないって

 そう言えばそんなことを真樹が言っていたような気がする

もういいです判りましたわたしも、脱帽ですニャン公くんさんには、敵いませんニャン

 イズミは言う

もう好きにして下さいあきらめましたニャンわたし

 そして、もう一度溜息を吐いた

だってさヨッちゃん

 イーディも、笑っていた

わたくしたちも、そろそろあきらめて、ボスの好きにしていただきましょうねっ、安寿ちゃん

 運転席から楽しそうにバンの最後尾で後方警戒している黒瀬安寿に言った

往生際が悪いのはダメですよー往生せいやー

 黒瀬安寿も一昨日から、雰囲気に流されるようにオレの警護役になっているが  彼女もまだ心の奥底では、納得していない  そろそろ黒瀬安寿のことも、決着を付けてやらないと  しかし、今は美樹さんの方が先だ