とりあえず転校の手続きとかは、オレたちの方で上手くやるから学校に残っている美樹さんの私物なんかも、回収させる美樹さんは、もうあの学校には行かなくていい
つまりサクラギとは、もう会わなくていい
親しい女の子の友達なんかと判れるのはつらいだろうけれど納得してくれそういう子たちは、いずれ美樹さんのヴァイオリンの演奏会に招待できるようにするから
オレの言葉を聞いてイズミが呟く
ホント面倒見が良すぎるですニャン!
美樹の朝のエピソード終わり
ワンクッション置いて、次は芸能界編の予定
終戦記念日
盆休みだけれど猛暑過ぎてどこにも行けない
日が暮れて気温が下がったら、晩御飯の買い物に行きます
1466.アンパン2つ
イズミの言葉にオレは
違うよそういうことじゃない
イズミや美樹さんが、オレを見る
それだってオレが、そうしたいから勝手にやっていることでしかないオレが自分のやっていることに納得したいって、だけのことでイズミが思っているようなことじゃないんだ
オレはただの高校生なのに 黒い森とか、香月セキュリティサービスとか、巫女の力とか 普通の高校生では持つことができない力を、預けられている そうオレは力を預かっているだけで それらは、オレ自身の力ではない だから、オレは力を自由気ままに使うことは許されないし 何をどう、どこまで制限するかは、自分で決めなくてはいけない
オレは、オレ自身がちゃんとしたいだけだよオレ自身も、オレの家族たちにとって相応しい人間になりたいと思っているだからどんなことでも、どれだけ手間が掛かっても、自分の目で見届けたいし、自分がきちんと責任を負いたいだけなんだ
だから人任せにせずオレ自身が、常に最前線の現場に赴かないといけない
それはオレ自身の勝手な思いであって面倒見が良いとかじゃないんだ
オレの言葉にバンの車内は、静かになる 沈黙を破ったのは
Darling、お腹空いてないノカ
イーディだった
アイのパン、食べナイカ
そうだった出かける時に、愛が試作品のパンをくれたっけ 美樹さんの中学校潜入のことで頭がいっぱいだったからまだ食べていなかった
そういえば、オレ、朝飯食ってなかったんだよな
オレの朝食として用意されていたサンドイッチは全て雪乃に喰われた
一つ問題が片付いたからオレは、自分が空腹なことに気付いた
みんなで食おうか木下さん、どこか停められるところへ車を停めて下さい
かしこまりーっ
木下さんは、川沿いの道から土手に上がって業務用バンを停車させた
さっ、食べよっ、食べよヨッちゃんはどれがいい
寧が愛が渡してくれた紙袋を開ける 色んな菓子パンが、入っていた
えーと1人2個だな
オレはパンを数えて、車内の人数で割る
えー、いいよっあたしたちは、朝ゴハン食べてきているからヨッちゃんが、3つでも4つでも食べてよっ
いや、愛はみんなで食べてって言ってたんだから1人2個だよ
オレは運転席を見て
木下さんどれが良いですか先に選んで下さい
こういう時は、やはり年齢順だろう 木下さんは見掛けは女子高生に見えるぐらい若いけれど実際は、大人だし
そーですねーそんじゃあ、そっちのパイと手前のクリームパンをいただきまーす
わたくしはこれとこれを
あたしはヨッちゃんの後でいいよっ
いいから先に選んでよ
じゃあこれとこれにするっ
アタシは、コレとコレネ
年齢順で行くとイズミが高1で、美樹さんが中3、黒瀬安寿はスイスで中学を卒業しているけれど美樹さんと同い年
美樹さん、選んで下さい
まだ、オレの女でない美樹さんを先にする
じゃあ、これとこれにします
安寿選べ
律儀に車外の監視を続けていた黒瀬安寿がパンのところへ来る
ではこれとこれにします
そして残ったパンはアンパン2つとパイが一つとチョコクロワッサンが一つ
イズミ選べよ
えー、わたしはペットですから余り物でいいですニャン
いいから残り4つなんだから、好きなの2つ選べよ
そうですかーそれでは、これとこれをいただきますニャン
イズミはパイとチョコクロワッサンを選んだ というわけでオレの食うパンは、アンパン2つに決定
イズミちゃんそれはないでしょうっ!
アンタはアホなのカ
寧とイーディが、イズミを叱る
こういう場合普通は、アンパン2つ残さないですよね
美樹さんも呆れた顔で、イズミを見る
ぎゃはははっイズミちゃん、おっかしー
木下さんは、大爆笑していた
いやあのわたし、アンコ苦手なんですニャン
イズミは小さくなって、そう言う
もういいよっヨッちゃん、あたしのパンと交換しよっ
寧がアンパンを一つ引き取ってくれた
お茶を配りますわ
その間に月子が、パンと一緒に渡された水筒のお茶を紙コップに注いで、みんなに配ってくれた
じゃあ、食おう
満面の笑顔の木下さんの声でオレたちは、車内でパンを食う
しっかし美味いっすねこれ
愛ちゃん、ホント、パン作りがどんどん上手になっているからっ
才能あるヨアイは
木下さん、寧、イーディが言う
昨日もいただきましたけれど高校生の作るパンじゃないですね
わたしも、そう思いますニャン
美樹さんとイズミは昨日の学園祭でも、オレたちのパンを食べている
パンもですけれど黒森のお屋敷は、ご飯が美味しくて幸せですっねっ、安寿ちゃんもそう思いますよねー
木下さんが、黒瀬安寿に言う
やっぱりね働き先は、ご飯が良いところが一番ですっ
明るく笑う木下さんと暗い顔の黒瀬安寿
どうかしたのか
オレは黒瀬安寿に尋ねてみた
いえ、あの何と言うかわたし、気が付いたら黒森様のところの警護役になっていますけれど本当にこれでいいのかなと
黒瀬安寿は一昨日、オレが石上瑞希から奪い取った
いいんだよっあたしたち、みんな、安寿ちゃんのこと気に入ってるし
アンジュは、鍛えれば良い警護役になる素質を持っているネ
寧とイーディはもうすぐ、マルゴさんとアメリカに行く それまでに黒瀬安寿をオレの警護役として、育てたいと思っている
そーですよっ、安寿ちゃんはマジメだし、カワイイし警護役としては最高の人材ですよねー、ボス
木下さんが、オレを見る オレは黒瀬安寿は、別のことを心配しているのだと感じていた