昨夜、みすずから聞いたんだけれど石上家とは、近いうちに会うことになっているから
黒瀬安寿は石上家との契約がそのままになっていることを気にしているのではないか この子は真面目過ぎる性格だから 石上家の名前を出した瞬間に、黒瀬安寿はハッとオレを見た
その時に石上家には、ちゃんと話をする問題ないようにするから心配するな
はいよろしくお願いいたします
何にしても、これは名家同士の話になるからお前が悩む必要はないんだ
石上家の息子と娘が悪い輩に騙されて、香月家の関係者であるオレに迷惑を掛けた
だから、罰として石上憲王と瑞希は、肉体的に屈辱を味わってもらったし
黒瀬安寿は奪い取った この後、どういう形で手打ちをするかは石上家と香月家の問題であって、黒瀬安寿が気にすることではない 黒瀬安寿は、何か不安を感じているように見えた
っていうかお前は、オレたちのところに居るのは不満なのか
いえわたしの様な者が、香月様の様な名家に関わりのあるお方にお仕えすることは、光栄だと感じています香月セキュリティサービスに入れていただけるということも
黒瀬安寿も代々、名家の警護役をしてきた家の生まれだ でも、親の代で仕える主家を失ってしまって それで、たまたま専任の警護役のいなかった石上家の瑞希に仕えることになった だが、黒瀬安寿は石上家ではあまり良い扱いをされていないように感じた 彼女の能力や才能がもったいないと思ったから、オレは黒瀬安寿を手に入れることにしたわけで 香月家は、名家のトップだから石上家に仕えるよりも警護役としての格がずっと上だし 黒瀬安寿にとっても、悪い話ではないはずだ
ですよねーご飯は美味しいし、任務は面白いし、お給料は良いしこんな良いとこはありませんよねー
その木下さんの言葉で オレは、我に返った あああああ黒瀬安寿と、給料の話をしていない!!! オレはイーディや、ミタマたちには給料なんて支払ってないから
お前の給料だけどお前が必要な分だけ出すから
黒瀬安寿が条件の厳しい石上家の警護役を務めていたのは 彼女が金を稼がなくてはいけない何かしらの理由があったからだとオレは直感で理解した だから幾ら払うというのでなく、黒瀬杏樹が必要としている金額を払ってやらないといけない
母と弟が2人いるんです
黒瀬安寿は、小さな声で言った
判った生活費と学費だなもし希望があるんなら、お母さんの仕事や住居も世話する
黒瀬安寿の家庭環境の調査をさせていない この数日忙しくて、そこまで頭が回らなかった
アレー、ボス関さんから聞いていないんですかー
木下さんが、キョトンとした顔でオレを見る
安寿ちゃんのその辺のことはもう全部、関さんが手配してますよっああ、関さんも一昨日、昨日と忙しかったから報告がまだなのかもしれませんねー
いや翔姉ちゃんは オレから、黒瀬安寿のことを尋ねてくるのを待っているんだ 全てを先に、問題ないように手配してくれていてその上で 香月セキュリティサービスのオーナーは、オレなんだから オレはすぐに携帯を取り出して翔姉ちゃんにコールする 翔姉ちゃんは、1コール目で電話に出た
黒瀬安寿の給料と家族のことなんだけれど
判りましたわたくしの方で全て手配して、報告致します
電話の向こうから優しい声が聞こえた
翔姉ちゃん愛してるよ
わたくしもよ昨夜は、素敵だったわ
オレは昨夜、翔姉ちゃんとセックスした
オレも最高だったよ
ええ後はわたくしに任せて
では今日も、スケジュールが詰まっているけれど、頑張ってね
ありがとう翔姉ちゃんも、気を付けて
はいでは、失礼します
またね翔姉ちゃん
電話は切れた
ねっ安寿ちゃんのことは、関さんが全部やってくれてますよねー
木下さんが、笑う
だーかーらー、安寿ちゃんは心配しなくてもいいんですよー
そうだ黒瀬安寿が不安になることはない 翔姉ちゃんの仕事は、常に完璧なのだから
心配なら、後で家族に連絡していいぞお屋敷に戻った後なら
オレは黒瀬安寿にそう言った
関さんから、具体的な話を聞いてからにした方がいいよっ家族と話すのはっ
それに家族には、あたしたちのこととか話しちゃダメだからねっ多分安寿ちゃんの家族の電話は、もう石上家の人に盗聴されてると思うんだよねっ
寧の言う通りだと思う
オレは石上家が、素直に非を認めてオレたちに謝って来るとは思わない手打ちの日までに、オレたちを攻撃するための材料を探そうと試みるはずだそのために、石上家はお前やお前の家族を利用しようとしてくると思う
だから、おそらく 翔姉ちゃんは、黒瀬安寿の家族を保護するはずだ 石上家から、守るために
でも、心配するな石上家がどう動こうと、香月セキュリティサービスには敵わないんだから
ショウに任せておけばイイのヨショウは凄いヨ
イーディも、黒瀬安寿にそう言ってくれた
判りましたお任せします
黒瀬安寿は、そう言うと
わたしも本当にもう、覚悟を決めないといけないんですね
美樹さんやイズミと同じ オレに見出されてしまった以上はもう逃げられない
そうですよー、往生しましょー、わたくしと一緒にー
木下さんの明るい声が車内に響く
しっかしパン2個食べたら、かえってお腹が減ってきましたよーボスはどうですー
木下さんは大食いらしい 確かに、もう少し何か食べたい気もする
ささっとお屋敷まで、戻りましょうかっ
木下さんが、そう提案するが
それだとヨッちゃんが、あんまり休めないよっお屋敷に戻ると、何だかんだってヨッちゃんに負担のかかる仕事が出て来るからっ
寧が反対した
トハ言うモノノこのメンバーだと、どこかお店に入るワケにもいかないノネ
イーディが、車内のみんなの顔を見て笑う 今日は月曜日 しかも、まだ朝の8時にもなっていない 作業ツナギ姿の木下さんや、月子や、寧や、イーディはともかく 学生服のオレや、制服姿のイズミやましてや中学の制服の美樹さんに、体育ジャージの黒瀬安寿じゃ 24時間営業のファミリーレストランやファーストフード店には、入れない
そんならさっミナホお姉ちゃんのところへ行こうよっ
寧が提案した ミナホ姉さんは昨夜は、駅前ホテルの地下の黒い森の施設に泊まった
どうせ、午後の件でミナホお姉ちゃんと、打ち合わせしなくちゃいけないしさっ
今日の午後はオレは、ミナホ姉さんや寧たちと、芸能プロを奪い取りに行くことになっている