よくあるよな 悲しみを乗り越えた人間の方が、強いっていう展開
でも、それって嘘なんだよね個人的にどんなに辛い体験をしてきたとしても、それが強さや能力を引き立たせるなんてことは無いんだよ個人的な体験なんて、みんなそれぞれ違うんだからさ
画面の中では、イーディとグレースさん天才児少女と恵まれすぎの肉体を持つ女性の闘いが続いている 2人とも普通の人よりは、ずっと格闘の才能を持っている
才能がある人だって、ちゃんと努力しなければ能力が開花しないしどれだけ努力しても、もっと才能がある人に負けちゃったりするんだよね純粋に能力の問題で能力を磨くこと以外にどんな体験をしてきたかは関係無いんだよ
メンタル面を鍛えるということはあるが、個人的に悲しい体験を重ねたことでメンタルが強くなったということは無いものな
そうだよ、辛くて悲しいことを何度も経験したら心がどんどん麻痺していくだけだよ悲しいことに反応しにくくなるだけでそれは心が強くなったってことじゃない感覚がニブっているだけなんだ
今のグレース・マリンカがその状態なのだろうな
うん心が麻痺して、鈍っているんだよだから、イーディがああして心を呼び起こしているんだよ
また、スバーンッと、派手にグレースさんが投げ飛ばされる
ほらほら、こんなモノなのカネジュンの力は
くっそぉゃぉぉぉ、このぉぉぉぉ
飛び起きて、イーディに突進するグレースさん
遅い、鈍い、弱いノネ
イーディが、ススッとグレースさんの懐に入り込み投げ飛ばす
泣かないノカこれだけ負けて、ジュンはまだ泣かないノカ
泣くものかぁぁ
突進とマットへの投げ落としが、何度も繰り返される
グレース・マリンカさんは、体力お化けだけどイーディも、スタミナのあるタイプなんだよね
耐久力も持久力もある上に頭も良いだから、体力の消耗が極めて少ない
ミタマが、そう言った
うん、この2人がこうやって闘い続けてるけれど最後まで立っているのは、イーディだよね絶対に
5分後寧の言うとおりになった 柔道場のマットの上に、汗だくでへたり込んで居るのはグレースさんで イーディは、汗1つかかずに、ヘラヘラと笑ったままマットの上に立っている 21歳の長身の女子プロレスラーが、スクール水着でマットの上にグッタリと横たわったまま起き上がれないでいる
ジュン、まだ泣かないノカ
イーディが、笑顔で尋ねる
はぁ、はぁ、はぁわ、わたしが泣くわけがないだろう
グレースさんは、息も絶え絶えにそう言う
ソウカじゃあ、今日は引き分けネ
イーディは笑って、そう言う
このスク水柔道は、どっちかが泣くまで決着は着かないノネダカラ、アタシとジュンノ闘いは、これからもずーっと続くノネ10年でも20年でも
イーディはそうやって、グレースさんと友達になるのか 闘い続けるということが仲間でいつづけるということを意味する
そう考えるとこれからのことが楽しみなのネジュン
イーディの明るい声にグレースさんは
くぅちくしょおっ
グレース・マリンカの眼には涙が溢れていた
シミズクニオ先生の70年代の戯曲に泣かないのか1973年のためにというのがあるんですけれど
当時のアングラ演劇のタイトルは、格好いいものが多いんですよね
鴉よ、オレたちは弾を込めるとか火のようにさみしい姉がいてとか
誰の作品か忘れましたが夜の夜の夜というのも好きでした
1308.ネガティブ潰し / 5人目の戦士
アレ、どうしたのネジュン、顔が濡れているネ
イーディは、グレース・マリンカさんが泣いていることを認めない
ぐぅぅ、うぐぅぅ
グレースさんは、顔を手で覆って本格的に泣き始める
アレアレ、ジュンはちょっとお腹が痛くなってしまったみたいネしょうがないネミタマ、ちょっと手合わせしようネ
いいだろう
解説役だったミタマが柔道場の中央に出る
済まない、イーディとやるのならこれを脱ぐ
ミタマは、そう言って純白の学帽と学ランの上を脱ぐ 白いズボンに白のYシャツ胸元のボタンも、2つほど開けて動きやすくした
ブラジャーが見えるギリギリくらいまでにそれで、ミタマの胸の大きさが強調される
今のわたくしでは、イーディに勝てないことは判っている
ミタマは足の筋肉を伸ばして、準備運動を始める
しかし、勝てないとしても、常に本気で立ち向かわねば稽古にならぬからな
肩と両腕も大きく回して、闘いに備える
安城流拳法、安城ミタマ参るッッ
イーディも構えて、ニコッと微笑む
といやっ
ミタマが、素早くイーディに拳を打ち込んでいく いや、正拳突きから回し蹴りに続く連続技だ イーディは、ふわりとミタマの攻撃を躱していく
ウン前より、攻撃が正確になったネ軸がブレなくなったヨデモ
今度はイーディの方から、攻撃を仕掛ける 一撃目の蹴りをミタマは避けたが、二撃目の突きは
ホラネっ
イーディは打ち込む寸前に拳を開き、ミタマの胸をポンッと突き飛ばす
グッ相変わらす、死角から攻撃してくる
ああこれは、視界の死角ということじゃない 心の死角まさか、そんなころからという角度からイーディの拳が打ち込まれたことを意味する オレも工藤流古武術6級だから、良く判る
相変わらず、ミタマは自分の攻撃のイメージが強すぎるのネ自分がこう攻撃して、相手がこう反応するっていう脳内のイメージがハッキリし過ぎていて、そのイメージのままに攻撃してくるから想定外の攻撃を受けると、弱いのよ
イーデイは、そう言う
戦闘は、自分の思い通りに進むと思うのは大間違いネだから、心の隙ほ衝かれるノヨ
ご教授、かたじけないっ
と、言いながらミタマは次の連続蹴りを放つ イーディは、それも軽く躱して
今のは良かったけれどリズムが単調ネ
ミタマが今放った蹴りをイーディは、完璧にコピーして返す
ほら2発の蹴りが、タントンタン、タントンタンてどっちも3拍子のリズムになっているネ
オレの眼から見ても、コピーしたイーディの連続蹴りの方が素早く、正確で、鋭かった
アタシなら、2つの蹴りのリズムを変えるネこんな風にタントンタン、タントンタタタンッッ
改めてイーディが放った連続蹴りミタマは、2発目のキックが予想できずに軽く肩を蹴られる
ぐっな、なるほど
ミタマは肩を抑えながら、そう言った