ここには真緒の面倒を見てくれるお姉さんがいっぱいいるから助かるけれどでも、みんな年上の子だものねそろそろ、同じ年頃の子たちとも遊ばせないといけないって思ってるのよ
精神年齢が近かったアニエスもこれから学校に通うようになれば、年相応の女の子になるかもしれない 12歳の女の子は、すぐに大人になる
でも、うちの子は普通の幼稚園には、入れられないものね
うーん、この家はとにかく何もかもが、特殊過ぎるもんな
いっそのこと、来年の春からみすずたちの学校の幼稚部に入れるか
超お嬢様校ならセキュリティは万全だし 近くの校舎には、みすず、瑠璃子、美智、まり子、ヨミ、エリカ、ハイジ、アニエス、可憐、ルナ、コヨミちゃんとみんないる 来年の春じゃ、美子さんは卒業しちゃっているけれど とにかく送迎の問題も無い
うーん、良い家のお嬢様たちと一緒の学校に通わせるのは、どうかと思うんだけれどそれしかないのかしら
渚がそんなことを言っていると
渚お姉さん急いでセンパイたちが来る前に、練習の準備をしておかないといけないの
メグが、渚を急かす
あ、ごめんなさいじゃ、行ってくるわね
渚は笑って、メグを追って玄関へ向かう
じゃあ、また後でねヨシくん
廊下を走るメグの足のラインは綺麗だった 土曜、日曜と2日間ほど、日常から遠ざかっていたけれど 月曜の朝またオレの日常が戻って来た
オレたちも急ごう
オレも、小走りでお屋敷のパン工房へ向かう
できた
愛が、焼く前のパンが並んだパッドを確認して呟く
みんな手慣れてきたから、あっという間に終わったわね
克子姉が笑って、そう言う 朝のパン工房には、克子姉と愛の他にマナやアニエス、エリとリエの双子も手伝いに来てくれていた これにオレとありすと可憐が加わったのだから朝の仕事は、すぐに終わった
あなたたちも、どんどん上手になっているわね
克子姉が、双子に言う
パン作りなんて、苦手だって思ってましたけれどなぁリエちゃん
意外にハマッてしまいましたなあエリちゃん
双子は微笑む
さあ、車に積み込むのは家を出る直前でいいから朝ご飯にしましょう
はいですのっ朝ご飯は、瑠璃子ちゃんと美子ちゃんと月子ちゃんとルナとコヨミちゃんたちで用意してますのっ
マナたちがオレと克子姉の手伝いで瑠璃子たちが朝食作り 家事の分担は、事前に決めていたらしい
あなた、警護役の子たちが中庭でトレーニングをしているから呼んで来て
そして美智やイーディたちは朝の稽古 今朝は、昨夜のパーティからの流れで工藤遙花や天童乙女改め剣道マリア、それに女子プロレスラーのグレース・マリンカ(本名・尾上ジュン)さんまで居るし 例の栗宮さんたちも、きっとそっちだろう 朝から槍の稽古をやっているはずだ
判ったみんなを呼んで来るよ
アニエスも行きますのっ
アニエスが、オレの腰にしがみついてくる ああ、初登校を前にして緊張しているんだな いつも一緒のルナやコヨミちゃんと離れているのも これから揃って学校に行くメンバーを見ると
ついつい新しい環境へ行かなくてはいけないことを想像してしまうからなんだろう
アニエスはまだ、新しい制服に着替えていない
さあ、さあパパ
オレの腰を押して、パン工房の外へ ええっと、ここから中庭へ行くのはこっちの廊下から、テラスを抜けた方が早いな
あおはようございます旦那様
オレは、みすずとばったり出会った みすずは、大きな白いエプロンを付けて、口にはマスク両手にゴム手袋をして、青いバケツを下げている そのバケツの中にはトイレ掃除用の洗剤とブラシが入っていた
あたし、これから毎朝お屋敷の全てのおトイレ掃除をすることにしたんです
昨夜、克子お姉様や寧お姉様にご相談したんですけれどこういう場合はおトイレ掃除が一番だって、教えていただきましたから
香月家の令嬢が家族のためにトイレ掃除をする
この家は元・娼館だから風呂とトイレはたくさんあるのに
そうやって少しずつあたしが、香月みすずが特別な女の子でないことを判ってもらうしかないってだから、あたし
瑠璃子が、家事を引き受けることで他の家族が抱いていた香月家の娘に対する警戒心を解いたように みすずもトイレ掃除を続けることで、強大な力によって後押しされている、恐ろしい少女ではないことを、みんなに示していこうというのか
簡単に判ってもらえるとは思ってませんあたしは確かにこの半年、少しいい気になっていたと思いますからだから、皆さんに受け入れてもらえるようになるまでには半年の2倍、いえ、3倍の時間は必要なんだと思います
みすずの眼には、決意の光があった
うん、頑張れよみすず
オレはみすずに微笑む
みんな、絶対にいつかは判ってくれるから
みすずは、ニコッとオレに微笑んだ 強大な力を持っている者はそれだけで周囲の人たちから警戒される 怖がられる そういう状況から脱するためには、自分から腰を落として積極的に行動しなければいけない オレが香月セキュリティ・サービスを支配していることに、脅威を感じている人たちがいるのなら オレの方から、何かしらのアクションを起こさないといけない 理解され、警戒を解いて貰えるようになるまでには時間が掛かるだろうけれど それでも、オレがこのまま何も始めないというのは許されないことだ
オレはいつも試されているんだよな
そんな言葉が、口から出た
そんで試されていることに対してオレ自身が行動を起こして、何とか解決していかないといけないそのままにしておくことは、できないよな
だからアクションは起こさなきゃ
オレも頑張るよみすず
オレは窓の外を見る 栗宮さんたちは、あそこの茂みの向こうの中庭に居る みすずがトイレ掃除で運命と闘うのなら オレはオレで、運命と闘わなくてはいけない
行くぞ、アニエス
まずは改めて栗宮さんたちのことを知ろう オレが見逃していることが、絶対にあるはずだ 解決の糸口が オレたちは、中庭へと出る
栗宮さんが登場した頃にクリミヤ半島の問題が騒がれていたんだなぁ
時の流れるのは早いです
グレース・マリンカさんはナガイゴウ先生のバイオレンスジャックに、盲目の空手使いジム・マジンガことZという、マジンガーZの擬人化されたキャラクターが出て来るんですけれど(盲目なので、カブトコウジ少年を肩車して、その指示に従って闘う)
グレート・マジンガ→グレース・マリンカということで