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ディメンションウェーブ
次元の波。人々は度重なる災いに立ち向かっていく……。
というVRMMOをプレイする事になった主人公が竿を片手に向かったのは、海岸だった。
プロローグ
――異世界で第二の人生全うしてみませんか?
セカンドライフプロジェクト第二弾!
『ディメンションウェーブ』参加者募集中。締め切り迫る!
「どう?」
背景と人物が実写さながらに描かれている。
ゲーム雑誌に7ページも組まれている所を見るに相当人気はあるらしい。
「どう、と言われてもな……」
突然やってきた二人の女性……姉と妹なのだが、二人にゲームの雑誌をぐいっと押し付けられ、ドヤ顔で『どう?』と訊ねられた。
正直、この二人が何を伝えたいのかさっぱり分からない。
まあゲームみたいだから気にならないかと言われれば嘘になる。書かれているジャンルはMMORPG。俺はどちらかと言えば牧○物語とか、ワー○ドネバー○ンド系みたいな淡々と日々を繰り返すゲームの方が好きなんだけどな。
「もう~ノリが悪いったら~!」
「ね~!」
「…………」
何だ、このテンションの高さは。
自分で口にするのはアレだが、兄弟仲は良い方だと思っている。
この前も一緒にゲームをやったし、姉も妹も大のゲーム好きだ。
まあ三兄弟の仲で唯一男の俺が原因なのは認めるけれど。
「ねぇねぇ。このゲームどう思う?」
マイシスター(妹)が猫撫で声で尋ねてくる。やはりテンションが高い。
あまりのテンションの高さに若干引いたが血を分けた兄弟なので、例えようも無い衝動を飲み込み渡された雑誌に目を向ける。
ディメンションウェーブ。
どうやらネットゲームのようだ。
プレイヤーはゲームの世界で次元の波と呼ばれる敵対者に沢山の仲間達と協力して立ち向かうという内容らしい。流し見る限り、様々な武器や魔法を駆使してモンスターを倒すという典型的なネットゲームだ。
お、釣りとかもできるのか。
こう言うの好きなんだよな。じっくりのんびりやる様なプレイスタイル。
選べる種族も何個かある。
お? 普通とは違う感じの説明がある。
なになに?
――大好評を博した第一弾と同じくプレイヤーにはゲームの中で第二の人生を体験してもらうべく、ゲーム終了までログアウトが出来ません。しかしゲーム内において現実とは違う時間で進行します。
ゲームクリアまでの時間は数年でございますが、現実の時間に換算すると24時間となり、時間の足りない社会人の方でもお楽しみ頂ける内容となります。現在参加者募集中なので奮って参加をお待ちしています! 参加希望者は下記のアドレスにアクセス!
だそうだ。
そういえば、一年位前に騒がれていた覚えがある。
VRMMOの人気会社が出した第二人生計画という奴だったか。
雑誌にも書かれている通りゲーム内では数ヶ月、あるいは数年を現実では数時間としたシステム。
主に社会人を中心に人気があり、ゲーム終了までログアウトできないという内容を兼ねてセカンドライフって名称らしい。
ゲーム内容の関係で一月に一度の頻度で開催され、どれも一部の声を除いて大多数が納得の出来だと賞賛したって話だ。ネットの情報サイトで見た。
というのも俺の友人もプレイして絶賛していたから、相当面白かったのだろう。
社会問題としてはプレイ後、少し言動が変わった……というか恥ずかしい奴になっていたが体感時間数年もゲームをしていると人格形成に多少の影響があるのかもしれない。
尚、そいつはゲーム内で彼女が出来たのか、リアルでも付き合っている。
ケッ! リア充が!
……補足だが、ゲームの参加費が結構高額だったはず。
専用の機材が必要とかで、ゲームコストも高く、そもそも会社も商売でやっているのだからしょうがない。要するに、少なくとも学生がやるには少々お高いゲームだ。
「で、これがどうしたんだ?」
正直、父さんや母さんにおねだりしても、真っ赤な顔でダメの声しか出ない類の品なのだが……。
「ふふ~ん!」
相変わらずのテンションのまま姉が一枚の封筒を取り出した。
宛先がセカンドライフプロジェクトと記入されている。
「ま、まさか……」
「その通り、ゲーム参加権よ!」
「どこでそれを手に入れた。まさか犯罪では――」
「この前ゲームの大会で優勝したんだ! その景品だよ!」
俺の冗談を完全に無視して妹が楽しそうにネタバレした。
この参加資格が賞品になっている大会というと、同じ傘下の系列会社が先日開催した対戦格闘アーケードゲームだったか。凄く賑わったと情報サイトで見た。
なんでもこの参加権目当てに参加した奴が殺到したとか。
家族がその中に含まれていたとは……微妙な気分だ。
「一枚で三人まで参加できるのよ!」
ドヤ顔の姉。高揚した気分からか今にもどこかへ飛び出して行きそうな妹。
「三人って……なんか微妙な人数だな」
普通二名か四名じゃないか?
聞いた話では恋人同士が夫婦感覚で参加し、関係を深めたという話を耳にした。
中にはゲームの中で関係をこじらせて別れたという話もあるのが微妙な所か。
ともあれ俺も参加出来るのか。
……いや、ちょっと待て。
「なあ、これオークションで売らな――ぐはっ!」
言い終わる前に妹の拳が右頬にめり込んでいた。
「売る訳ないじゃない! お兄ちゃんのバカ!」
「いや、これ一枚売って儲けた金で家族旅行でも――ぐはっ!」
今度は左頬に姉の拳がめり込んでいた。
「私、お父さんとお母さんへの親孝行は、社会人になってからで良いと思うの」
なんて欲望に忠実な奴等だ。
まあ元々俺の物でも無いし、ああだこうだ言える立場では無いが。
「それで、後一人は誰か友達でも誘うのか?」
「「え?」」
「ん?」
二人が不可思議な物を見る目で俺を見つめてくる。
「お兄ちゃんやりたくないの?」
「いや、別に?」
面白そうだと思うがVRゲームだと思うと気が引ける。
「俺はVRゲーム機と相性悪いしな」