絆殿がおかしいでござる
センチメンタルが似合わなくて悪かったな。ほらよ
そう言いながら出来上がった焼き魚を渡す。
焼き魚を受け取る闇影を見ながら釣りを再開。
今日はそういう雰囲気の話が出来る日でござるか?
ん? まあ南の島でのサバイバルだし、月も綺麗だからそういう日があっても良いんじゃないか?
そうでござるか
オレの気分に触発されたのか、闇影も静かな雰囲気を纏い始めた。
正直、いつもテンションの高い忍者キャラだけに、この後どんな展開になるか想像も出来ない。
拙者、実はこのゲームを始めた時、機嫌が悪かったでござる
へーなんでだ?
一緒にやる相手が急用でこれなくなってしまったのでござる
あー、確かに良い気はしないだろうな
約束をすっぽかされたとかコミュ障なのはそこが関係しているんだろうか。
仮に友達とプレイするとして、土壇場で約束を破られたら嫌な気分になるだろうし。
しかしこのゲームはプレイするのに高い金が掛かる。
急用だからってキャンセルするとか、俺の金銭感覚だと考えられないな。
俺だったら死んでも参加するぞ。
でも、今は楽しいでござる
そうか、それはよかった
拙者、ゲームならファンタジーが好きでござるし、魔法があるのも良いでござる
気持ちはわかる
スピリットが弱種族と知った時は絶望したでござるが
まあとはいえ、スピリットにドレインのコンボは考えたよな
最初はドレインとかRPG的に雑魚魔法だろ、とか考えていたが案外強い。
もちろん他の属性魔法の方が単純な威力は高いらしいが、スピリットという種族と合わせると趣きが変わる。
実際、闇影は高いエネルギー量で能力を跳ね上げたドレインで火力を叩き出す型だ。
多分だけどエネルギー生産力よりもマナ生産力を重視して、やりくりしていたはず。
種族とスキル構成をよく考えないと出てこない発想だ。
テンプレから外れるのが難点でござるな
ネットゲームでは定番パーティーというのは必ず存在する。
役割が重視されるタイプだと尚更だ。
この職業はこのスキルと装備、ステータス~~みたいな感じ。
その構成じゃないと認めない、なんて事もよくある話だ。
ディメンションウェーブの場合はスキル構成だろうな。
まあこれも効率を重視すると、しょうがない部分もある。
その点で言えば俺も闇影もテンプレからは大きく外れている。
気にするな。俺が言うのもアレだが、ゲームなんて楽しんだ奴の勝ちだ。それに俺は闇影のプレイスタイルを気に入っているしな
ドレインというか闇魔法+潜伏系スキルの構成だ。
中二感があって見ていて楽しい。
ネタ感バリバリなのに実用性まであって、応援したくなるかっこよさだ。
絆殿のそういう所は良いと思うでござる
だろう?
ありがちな持論だが、間違っていないと思っている。
ガチガチな構成でゲームをするのだって楽しいし、ネタプレイに走るのだって楽しい。
色んなジャンルのゲームがあるんだから、楽しみ方も千差万別。
そういう意味では、このゲームは受け皿が広い。
作者の想定から外れる遊び方が発見されると即座に修正されるゲームも多いのにな。
ゲームの世界で誰かと生活するのも悪くないでござるな
まあなVR特有の感覚って聞いた事があるな
現実とは違う特殊な環境だから抱けるって奴だ。
更に言えばこのゲームはセカンドライフプロジェクトだからな。
長時間ログイン状態になるのも冒険感というか、そういう気分が出て良いと思う。
まあ高い金銭を使って稼動しているんだし、面白くてナンボだろう。
そんな訳で絆ちゃんと遊ぶのは楽しいよ
などと突然喋り方を変えた闇影。
普段ロールプレイしている奴が素の口調で喋るとドキッとするな。
こういうのを楽しむのもネトゲの醍醐味か。
そ、それでは拙者、忍びの世界に戻るでござる!
おい、言った本人が恥ずかしいのかよ
ど、ドロン!
闇影は潜伏スキルを使って姿を隠した。
寝付けなかったり、暇だったらまた来いよ。話し相手位にはなる
反応はなかった。
なんだかんだでアイツも気にしていたのかもしれない。
自称コミュ障だし、その辺り気にしそうな性格だしな。
ところで今更だけど闇影って頭の中で、俺の事を絆ちゃんって呼んでいるのか?
そういえば前にも言われた気がする。
俺はリアルでは男なんだと再三に渡って説明した方が良いかもしれない。
別に良いけどさ。
まあ釣りを再開するか。
そんな感じで夜は更けていくのであった。
対策委員会
さて、各々好き勝手に生活を続けて行った訳だがついに城の建設が終わった。
島の何処からも見える高台に建設された西洋建築の城。
見上げるほどの大きな建物現実世界でこれだけの建物を建てるのにはどれだけの時間と金銭を使うのか分からない程の出来栄えだったので、俺も完成した段階で思う所は多々ある。
まず城の門を潜ると大きな庭が待ち受け、その先にある城の中に入ると豪華なシャンデリアが天井から吊るされている広間が歓迎してくれる。
二階へと続く階段、客室へと続く廊下。
兵士や騎士が常駐しているであろう寄宿舎も併設してあり、食堂も完備。
更にカルミラ島は温泉も湧き出している様で日当たりの良い場所には大浴場と展望露天風呂が完備されている。
果ては大型プールまであるのだ。
何処の豪華ホテルかと言いたくなるほどの宿泊施設とも言えるだろう。
ついでにコレクションルームから動物園(ペックル)、図書室、武器庫、鍛冶工房と施設を探せばきりがない。
挙句、教会や用途不明の役場施設まである。
上の階には見晴らしの良いテラス、場内にある塔には円卓の会議場まである。
で、俺達は揃って玉座の間に来ていた。
玉座は二つある。
一つは人が座る用の玉座。
その隣には小さな玉座。
よくぞこの島を開拓してくれたペン!
サンタペックルが開拓が終わった事を宣言する為とばかりに、島中の者達を集めて宣言する。
人よりもペックルの方が多い。
これも全て、みんなのお陰ペン! 完成式典が催されるペン!
やっと開拓も終わりか
終わって見ればあっという間に感じられる。
やがてサンタペックルはサンタ帽を脱ぎあ、帽子を落としたぞ?
捨てるなよ。それはお前のアイデンティティだろう。
そう思っていると、何処からか取り出した王冠を被った。
ボクはここでクラスチェンジするペン!
ボク? お前の一人称はペックルじゃないのか?
それから小さい方の玉座に座る。