Выбрать главу

しぇりるさんがチャットから離脱しました。

まだ分からないが少しは前進したのかもしれない。

それにしても主語が無い子だったな。少し話していて大変だった。

どうでした?

二人が訊ねてくる。

当初より話の内容が変わっている。説明する必要があるな。

一応連絡は取れた。唯、もしかしたら製作から手伝う事になるかもしれない

どういう事でござる?

まあそこ等辺の出費は俺が出すから安心してくれ、重要なのはそっちじゃない

と、言いますと?

製作者に直接会う事になった。本人曰く俺以外にも硝子や闇影に会いたいらしい。一応会うかどうかは本人しだいって事にしたけどな

彼女もできれば』と口にしたので、可能なメンバーだけで行くのが無難だろう。何より彼女にそんな強制力はない。まあ俺個人としては全員で行きたいが。

それでは全員で参りましょうか

了解でござる

いいのか? 事後承諾みたいな感じになったけど

はい。行き詰っていた状況ですし、絆さんだけに苦労を強いる訳には参りません

自分は絆殿と函庭殿の影でござる。影は常に後ろに居る物でござる

喜べば良いんだろうが、最後のストーカー宣言についてはごめん被る。

ともかく俺達は徒歩で第一都市に向かう事にした。

仮に話が流れたとしても今日の所は多少効率が悪くても夜に常闇ノ森で狩る事になった。ケースバイケース、といった感じの流れだ。

マリンブルー

いた。あれだ

俺達三人は第一都市にある、一週間前俺が船を買った広場に来ていた。

露店には俺が購入した船と同じ物が並んでいる。

くすんだブルーグレーの髪にマリンブルーの宝石が胸に付いた晶人の無表情な少女。

オーバーオールを着ているしぇりるは一週間前と同じく暇そうに空を眺めていた。

あの方ですか? 女性の方だったんですね

絆殿は婦女子ばかりに目が行くのでござるな

なんか俺、責められてないか?

謎の追求を無難に避けつつ、露店の前に立つ。

するとしぇりるの視線が下がって俺を見詰めた。

何だ、そのセリフは。

挨拶か何かなのかもしれないが、どうも掴み所がない。

さっき連絡した絆だ。言われた通り仲間を連れてきた

初めまして、函庭硝子です

自分は闇影でござる。何ならダークシャドウでも良いでござるよ

二人としぇりるは各々に自己紹介を始めた。

しかし闇影さん。あんた、まだそのネタ使うのか。

わかった。闇子って呼ぶ

咄嗟に口元を押さえる。

な、何故その名称を知っているでござるか!?

別に?

このネタに持っていく発想は俺だけじゃなかった。

どうでもいいが、少ししぇりるに共感を抱いてしまった。

ともあれ商談だ。

あまりにも突飛な値段を請求されれば船所じゃないからな。

それで、船作りの商談にどうして二人が必要だったんだ?

どうして船が必要なのか、知りたかったから

? 船の必要性と人数は関係ないのではないですか?

そうでもない。一人で船は動かせないから

確かに小船程度ならどうにか戦えるが、大きな船となるとそれも難しそうだ。

聞きたい。どうして大きな船が必要なの?

嘘を吐く理由がないな。単純に経験値がおいしそうだと思ったからだ

しぇりるの無表情の中に若干気を落とした様な雰囲気を感じた。

パーティーとしての本音はここまでだが、俺個人としてはまだある。

後、俺は船を使って海に行った事があるんだが、気になったというのも強い

気になる?

ああ。船を作れるなら一度は海に出た事があるだろう?

妄想と言われればソレまでだけど、俺はあの水平線の先に何かあると考えている。なんというのか、風が呼んでいる様な、そんな気がするんだ

そう。わたしと同じ。あなたなら話しても、いい

どういう事だ? と顔で訴える。

置いていかれている二人も似た様な表情だ。

しかし我関せずといった態度でしぇりるは口を開く。

若干だが無表情の中に決意の様なモノが見える気がするのは気のせいだろうか。

自己調査になるけど、今海に注意を向けている人は少ない。皆、第二第三が目的で、無視されてる

そうなのでござるか?

言われてみれば、一週間位海にいたけど俺以外が船を使ってる所を見た事が無いな

その影響もあってタイやマグロは高く売れた。

仮にしぇりるの話が事実なら沖の魚が高く売れたのにも納得が行く。

何よりも俺は空き缶商法で金があったが4万セリンといえば結構な額だ。解体スキルを持っていない釣りスキル持ちが稼ぐには少々酷だろう。

そして金を持っているであろう前線組は今、第三都市発見に尽力している。

自然と第一にある海なんて無視されていく、という事か。

そもそもこのゲームは一人でできる限界がある。最初は泳いで沖にいったけど、途中から進めなくなってる。多分、個人の限界がある

まあ、MMOだしな

なんでも一人でできるなら他人が必要ないコンシューマーで十分だろう。

何よりも普通のネットゲームと違って、セカンドライフを謳っているこのゲームは一人で行動するのもありだとは思うが、やはり他人との交流にも重要な要素を割かれていると考えて何等不思議はない。それに攻略掲示板がないので、自分達で行動を起こさないと始まらない、というのもある。

だから海へ行こうと考える、強くてお金のある人、探してた

残念ながら、俺はそんなに強くない

だが、硝子は元前線組だ。プレイヤースキルは相当だぞ

私、ですか?

おう、間違いなくこの中じゃ一番強い

そ、そうでもありませんよ。上には上がいます

ほんのりと頬を染めて照れた表情を浮かべる硝子。下手に自分は強いという奴よりは何倍も強い。少なくとも俺はそう思っている。

ゲームでは昔から自称普通程信頼できない奴はいない。

良い意味でも、悪い意味でもな。

対戦ゲームで痛い程経験している。

わたしは海の向こうに行って見たい。皆気付いてないけど、何かある、はず

しぇりるは俺と同じ考えの奴だったのか。

いや、誰だってあの大海原を一度でも経験していれば、そう思うはずだ。

この先に何かあるって。

小船だと途中で海流が強くなって進めない。材料さえあれば船は作れるけど、モンスターも多いし強いから死んじゃう。ソロだと限界。力を貸して欲しい

個人的には協力したい。いや、協力する。

例え二人が反対しても協力しよう。

10万セリンは持っているので船を作成する分の足しにはなるだろう。

問題はあのモンスターを倒せる戦力だが、俺は半生産職なので難しい。そうなると最初に戻って二人の協力が必要になる。