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状況から理解している奴も多いだろうが、再三確認するのに越した事はない。

高速解体クレーバー!

二つのスキルを立て続けに使用する。

高速解体は身体が少し軽くなるからな。支援スキルとして使った。

自分達に少しでも有利にさせる為なら、なんでも使う。

少なくとも援軍が来るまでは。

絆さん、スキルの乱発は

敵からの経験値で元は取れる。今は一匹でも多く仕留めるのが先だ!

理に適っています。では私も乱舞二ノ型・広咲!

これが俺達スピリット最大の長所だ。

敵を倒して得られるエネルギーがマイナスになったとしても無限にスキルを使い続ける事ができる。例え一発の威力が種族的に低くても乱発すれば上回る。

次元ノ骨は倒したその場からぞろぞろと行軍してくるが、それでも倒しまくればいい。

弓持ちは撃って撃って、撃ちまくれ!

戦場内の誰かが言った。

あれだけの数だ。撃てば撃っただけ命中する。

後方をチラ見すると弓スキル持ちは徒党を組んでスキルを叫びまくっている。

以前姉さんが言っていた、パーティーでは味方に当たる様な範囲スキルでも俺達を飛び越え矢が大群の中に吸い込まれていく。

骸骨である奴等に突属性攻撃は効き辛いが、それでも効果は確実にある。

現に少し敵の進軍速度が減少した。

攻撃命中による移動速度減少って所だろうか。

彼等に負けていられない。

トグリング

しぇりるも半製造ながら戦っている。

スキルはこの一週間で出た二番目の攻撃スキル、トグリングを使った。

貫通属性であり、本来であれば魚系モンスターと相性の良いスキルだ。

それでも前方向に貫通のあるこのスキルは敵を三匹は貫ける。

自分は必殺忍法で行くでござる!

何が必殺忍法だ。どうせドレインだろ!

違うでござる

闇影と言えばドレインしか使わない事で有名だ。

俺達の中では火力を担っているが、きっと別のパーティーではゴミ扱いされそう。

そんな固定スキル使い。

その闇影が他のスキルを使うのか? エネルギー的に威力は高そうだぞ。

次元ノ骨をなぎ倒しながらワクワクしていると闇影の詠唱が完了する。

サークルドレインでござる!

どっちみちドレインじゃねーか!

地面に巨大な円が描かれ黒紫色のエフィクトが次元ノ骨に喰らい付く、そしてドレインと似た様な色の緑の玉普通のドレインより大きい玉が闇影に吸い込まれていった。

しかも微妙に範囲広くて一度に10匹程命中した。

ここ以外で使いそうにない、範囲吸収かよ。

まあいい。闇影のドレインはあれで性能が高いからな。

言いたい事はあるが、今は使いまくれ!

無論でござる!

それでも敵は一向に減らない。

単純にこちらの数が足りていない。

これはどう見ても多人数参加型大規模戦闘。当たり前といえば当たり前か。

ちいっ!

不用意にスキルを使いまくっていたら、隙を突かれて四回攻撃を受けた。

合計470ダメージ。

一発一発のダメージこそ少ないが、これは囲まれたらあっという間に削られる。

絆さん! 乱舞三ノ型・桜花!

助かる! クレーバー!

扇子のスキルは範囲攻撃が多い。

今みたいな大規模戦闘にはうってつけの状況だ。

現に硝子のスキルで敵五匹が一度に倒れた。

今まで使ったエネルギーが回復して、少し上回っている。

だが、それでも攻撃を受けたら意味がない。硝子の援護が入ってどうにか五回目の攻撃を受けずに済んだが、これは厳しい。

絆さん、少し後退しましょう。私達は孤立しかけています

くっ! 了解した

落ち着いて周囲を確認すると硝子の言葉通り、俺達は敵を防ぎ過ぎて孤立している。スキル使い放題なのは長所だが、前と横から一度に攻撃を受けたら防ぎようがない。

俺達は横の敵を攻撃しながら後退を始めた。

劣勢状態

皆の者。援軍がポツポツと来ておる。ここが正念場じゃ!』

あれから俺達は戦線を維持しながら少しずつ後退を重ね結局現在Dの4まで後退してしまっていた。

この辺りは道が狭くなっているので防衛には適しているが厳しい事実は変わらない。

更に敵の種類が増えた。

次元ノ骨。

次元ノ尖兵。

次元ノ弓兵。

これに伴って今まで魔法や弓で一方的に攻撃出来ていた状況が一遍した。

尖兵は槍を持っており、隙が少なく攻撃力が骨より高い。

弓兵は遠距離攻撃なので後衛に攻撃を当ててくる。

実に厳しい状況が続いている。

当然こっちだって一方的に押されている訳ではなく、援軍が少しずつ来ている。

そのおかげもあって戦線崩壊だけはどうにか免れていた。

MPが回復した奴からスキルを使い続けるんだ。特に弓と魔法は回復を重視してくれ!

俺達と同じくずっと防衛しているパーティーのリーダーが叫ぶ。

弓も魔法も範囲攻撃が有効打となるので戦線維持には欠かせない。

若干闇影が空気読めない奴っぽく見られているが、しょうがない。

あれでもドレインにだけスキルを振っている分、ドレインにしては威力が出るんだぞ。

ドレインにしてはな!

しかし、このままでは防衛線が崩壊するのも時間の問題だ。

既に何名か敵軍の餌食にあって死んでしまい復帰ポイントへ強制転移されてしまった。

おそらくDの4は右側最後の砦だ。

ここを落とされれば取り戻すのは容易ではなくなる。

絆さん。決定打を撃たれる前に対策を取りましょう

丁度俺もそれを考えていた所だ。だが、具体的な手段がない

それなら私が敵軍の先端を押し広げます

おいおい、無茶言うなよ

無茶ではありません。スキルの乱発の効く私達なら可能なはずです

確かに現状自軍がMP不足で困っている中、俺達スピリットは種族柄困っていない。

闇影が未だにサークルドレインを唱え続けられるのもスピリット故だろう。

現に今魔法スキル持ちの多くは安全地帯まで後退して回復している。

今回の戦いで気付いたがスピリットは持続力もある。

無論、エネルギーを回復させてくれる存在が自分から突っ込んでくるのも大きい。

言葉を待っている硝子の目を見る。瞳は決意で燃えていた。

硝子ならそう言うんじゃないかって何となく分かっていた自分が嬉しい。

エネルギー全損の可能性もあるんだぞ?

覚悟の上です

わかった。俺も行こう

絆さん?

さっき言った話、追加するな

硝子が間違えたら俺が間違いを正す

呆気に取られた表情をした硝子。

そんなに俺の言葉が意外だったのか、正直微妙な気分だ。

あの大軍に一人で行くとか、どう考えてもイカレテるからな