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アルトは口元に手を当てて作った様な素振りを見せる。

解体武器人のいない場所経験値流通量スピリット

闇影が心配そうに俺の方を見た。

残念ながらその行動が既に答えを言った様なものだぞ。

まあ最初から知っていたんだけどね

って事は俺以外にも知っている奴が?

僕の知る限り絆を入れて三人かな。実際はもっといると思うけど、解体武器ってだけで外された子は多いからね

彼等を取り入れて秘密協定を結び、買い取り、必要としている人に高値で売る。

死の商人がしそうな手口だ。

しかし意外なのは解体武器の真実を公開して評価を上げなかった事か。

真実が公になれば解体武器はパーティーに一人は必要になる人員となる。

そうなれば日の目を見られるというのに誰も公表しないのには納得がいかない。

一つ、あるとすれば。

俺はアイテム欄に入っているケルベロススローターを思い出す。

ボスモンスターの死体を誰もいなくなってから解体すればあるいは。

仮にこの案を実践するとすれば俺なら潜伏スキルを取得する。もちろん、闇影が以前使っていた様な低レベルではなく、足音が立たない程度熟練度やレベルを上げた奴を。

なるほど、ケルベロススローターを手に入れた時、思ったからな。

これだから解体武器はやめられない。

まあ良い、ここまで知られている現状、隠す必要性がない。

しぇりる、どうする?

絆にまかせる

わかった

海の可能性について一度は断っておきたかった。

独断で決めると後々面倒だからな。

アルト、ある事無い事話すぞ

ある事ない事かい?

ああ。海はおそらく新大陸への航路だ。敵の強さから本来は第一大陸を攻略してから進むのが正規ルートだが、船を作れたから先に進んでいる。硝子がディメンションウェーブで活躍したのは手に入る経験値が陸より多いからだ。だから、海を越えれば良い装備が手に入る

半分以上都合の良い嘘を言った。

確実な情報ではないが、可能性としてはこんな所か。

当然ここまで都合の良い話だとは思っていない。

無論、何かあると睨んでいるのは確かだ。

夢やロマンで海を越えたいという欲求の方が強く、道楽で終わるかもしれない。

それでも投資するというのならアルトは信用できる。

例え他意があったとしてもな。

さて、商人アルトレーゼはこんな夢物語に投資するか、否か

もちろん、投資するよ

いやにあっさりだな

勘違いしないでほしい。僕は絆、君の空き缶を金に変えた目を信じているんだ

凄く期待されているみたいだが、アレは偶然に過ぎない。

まあ今更偶然だと言った所で無意味だろうし、異論は唱えない。

しかしアルト、この一ヶ月で少し世界に染まったんじゃないか?

まあ死の商人が投資してくれる事になったのは良いが、これからどうする?

誰が死の商人だい。ダメージキング

俺をダメージキングと呼ぶな!

喧嘩はいけません! 普段通りが良いのではないですか?

こんな感じでアルトを引き入れたまでは良かった。

というか、ここまでは何もかも上手く周っていた。

そう、東の空に浮かぶ黒い雨雲さえ除けば。

帰らずの海域

さて、これからどうするか、だ!

事が起こって翌日。

俺達全員は水浸しの濡れ鼠状態となりつつもどうにか船の上にいた。

要するに嵐に巻き込まれ命からがら生存した、という状況。

結果として船はどことも分からない地図上で、方向すら機能しないという最悪の状況にいる。更に沖から離れすぎているのか帰路ノ写本まで使えない。

地図表示で分かるのはこのマップが帰らずの海域』と表記されている事だけだ。

死に戻りするというのはどうだい?

アルト、貴様俺達がスピリットである事をわかって言っているな

そんな事はないよ

飄々とした顔で軽く流しやがった。

最悪の手段としてはしぇりる、紡、アルトは死に戻りは可能だ。

しかし俺達スピリットは少々厳しい。

死んじゃう位ならこのまま進もうよ! 戻ってデスペナ受けるより、進んでデスペナ受けた方が良いとあたしは思うな~

パーティーに加わってから常時機嫌の良い紡はニコニコ顔で言った。

持ち前の性格からか、闇影やしぇりるとも颯爽と打ち解けた紡。

話している内に、何故か誰よりも冒険心を刺激されて海、海、海と騒ぎ、毎朝就寝中の俺へのしかかりを掛けてくるに至っている。

この言動についてだが、元々紡はRPGがそこまで得意じゃない。

MMOなど、特にVRと付くゲームは結果としてアクションRPGになってしまうという弊害がある。

実際にゲームに入り込むのがVRの特徴であるが故に、どうしてもアクション要素が付く物が多い。そうなってくると紡は途端に上手くなるが家庭用RPGだと低レベルクリアでも目指しているのか、と思う程次へ次へと進む。

まあ後ろで見ている分には面白いのだけど元々好奇心が旺盛な所があるからな。

元々どっちが前か後ろか分からない

あれだな。迷いの森とか、無限砂漠とか、RPGだと定番だがそれに近い感じか?

しかし驚いたね

いや、僕はまだ何も言っていないんだけど

絆、彼女の翻訳を頼めるかい?

しぇりるのコレに俺達は慣れたが、初対面のアルトじゃ厳しいか。

どうでも良いが、なんで俺がまとめ役みたいなポジションになっているんだ。

それで何が驚いたって?

うん。僕は絆の言っていた海云々を半分七割方信じていなかったんだけどね。現状を見て考えを改めようと思ったんだ

それは何故でしょうか?

絆も話していたけど、迷いの森や砂漠みたいなフィールドって昔のRPGでは一般的だと僕も思うんだ。それで、大抵はそういう場所をクリアすると次のマップに行けるとか、伝説の剣とかが手に入ったりするじゃない。もしかしたら絆の話の何割かは本当かもしれないってね

概ね同意見だ。

俺の知っているゲームだと一度はプレイヤーを困らせる通過マップ、後半に物語を進める為のキーアイテムが眠っている、というパターンもある。

攻略本でもあれば良いんだが、生憎とディメンションウェーブはβテスターがいない。

そうなると手探りで帰らずの海域を探索せねばならない。

どちらにしても海を越える場合、行く事になるのだから。

そうして帰らずの海域を彷徨う事となった俺達だが。

紡さん、闇子さん!

ブレイドマーマンとスカイレイダーなる水系と鳥系の、どう見ても生態系が違うだろうってモンスター群が連携攻撃を仕掛けて来ていた。

それに対する我等が戦力。

扇子の派生武器である両手持ち左右の手に扇子を持った硝子。