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ニシンか、京都料理に確かニシンを使ったのがあった覚えがあるな

道具屋に鍋とかフライパンがあった。

もしかしたら料理スキルで魚料理を作れたりするのかもしれない。

ニシンがいるという事はアジとか、イワシとか、サバもいるかもな。

ランクが上がればマグロとかタイも釣れるかも。

ちなみにマグロはどのマグロなんだろうか、ビンチョウマグロかクロマグロか、そもそもマグロは複数種類がいるのか。日本人的にマグロの種類は譲れないんだが。

そんな事を考えているとまた竿の先端がちょんちょんと揺れた。

またニシンか。

どうでも良いがニシンばっかり見ていたらニシンが食べたくなってきた。

今日の晩御飯はニシンにしよう。母さんにねだってみるか。

今日は会場に宿泊か、現実時間での話だがな。

ゲーム内だと後どれ位でゲーム終了になるのかね。まあ少なくとも今日明日で終わる訳は無いが。

ニシン数の子、身欠きニシン、にしんそば、塩漬け、燻製。

あ、そういえばシュールストレミングもニシンだったか。

シュールストレミング。

テレビでは見た事があるけれど、実物は食った事が無いな。

臭いが付くらしいから進んで食いたいとも思わんが。

料理スキルは取れたら取れば良いか。

しかし何で俺、ゲームの世界でニシンの事ばっかり考えているんだ?

釣れるまで何度も考えたが、結局答えは出なかった。

思ったよりも入れ食いだな

あれから二時間。

何故かニシンの事を考えていたという結末は伏せておくとして、結果は上々だ。

ニシン7匹、イワシ3匹、アジ1匹。

ゲームと現実を混濁するつもりは無いが、これが現実だったら中々の戦果だろう。

どれも食べられる魚だしな。

しかし大きさに差があるな

アジは一匹しか釣っていないので分からないがニシン7匹は大きさに差がある。

太いのと長いの。

これはニシンのレア度とか、品質値とか、そういう基準でもあるんだろうか。

同じ線で道具屋に銅が売っていたと思う。

あれも採掘して手に入れた奴は同じ理由で純度なんかがある可能性がある。

純度が高い鉱石を使った方が武器防具には良いんだろうな。多分。

そういえば解体用ナイフとか言うのがあったな。

この流れだと魚を解体できるかもしれない。

俺は腰に鞘と一緒に納められた解体用初心者ナイフを抜くとニシンに向かい合った。

どうやるんだっけ?

現実で魚なんて捌いた事が無いので適当だ。

確か鱗から落とすんだったか。

解体用初心者ナイフの峰の部分でニシンを削ってみる。

ゴリゴリという感触と共に鱗が何枚か剥がれ落ちる。

小魚の鱗を4個獲得。

おお、解体用ナイフ便利じゃないか。気に入った。

この流れだと肉や骨にもなりそうだな。

よーし!

あ!

気合が入って力が入り過ぎた。思いっきり解体用初心者ナイフがニシンの胴の辺りにメリ込んだ。すると肉にも、骨にもならずニシンが消滅した。

どうやら一応ここはゲームの世界らしい。

何か今まで現実とあまりに差が無いもんで、内心動揺している。

ともかく獲得したアイテムを全部解体してみるか。

結果、小魚の鱗27個、小魚の骨8個、ニシンの肉4個、ニシンのお頭1個、アジの肉1個、イワシの肉1個、という戦績だ。

なんか釣った量と肉の量が噛み合ってない様な気がしないでもないが良しとしよう。

単純なアイテム量では四倍近い。

ちなみに解体も結構集中が必要だ。ちょっとミスると消滅する。慎重にやった所為でほんの11匹捌いただけで三十分近く経っている。

まあそこ等辺はスキルを覚えると補正でも掛かるに違いない。

スキルといえば振ってなかった。ステータス画面を表示する。

エネルギー/1300。

マナ/65。

セリン/0。

おや、エネルギーとマナが何もしていないのに増えている。

なんでだ? ああ、スキルにエネルギー生産力とかなんとかあったな。それか。

マナ生産力Ⅰ

エネルギー生産力Ⅰ→エネルギー生産力Ⅱ。

毎時間100エネルギーを生産する→毎時間200エネルギーを生産する。

ランクアップに必要なマナ10。

マナ生産力Ⅰ→マナ生産力Ⅱ。

毎時間5マナを生産する→毎時間10マナを生産する。

毎時間エネルギーを0消費する→毎時間エネルギーを150消費する。

ランクアップに必要なマナ25。

これを見て思った。

うわ! 三時間分無駄にしてる!

俺は直に二つのスキルをⅡにランクアップさせる。エネルギーが1150になり、マナが30になった。どうやらスキルのエネルギー消耗はランクアップした直後から発生する様だ。

しかし良く考えると一時間毎にエネルギーとマナが増えるのは良くないか?

でも、通常の種族でモンスター狩ってレベルを上げた方が早いのか? どっちなんだ。

まあいい。どうせ俺はスピリットなのだから、これでやっていくしかない。

そこでスキル欄を見ていて、薄暗い文字でスキルの中にフィッシングマスタリーⅠという物が増えている事に気付く。一応この三時間は無駄では無かった様だ。ちなみにあの程度の量、魚を捌いた程度では解体マスタリーは出現していない。

フィッシングマスタリーⅠを取得しようと説明文を覗く。

フィッシングマスタリーⅠ。

釣竿を使った全ての行動に10%の補正を発生させる。

毎時間エネルギー100を消費する。

取得に必要なマナは30。

取得条件、釣竿によるアイテムの獲得数が10個を超える。

ランクアップ条件、釣竿によるアイテムの獲得数が100個を超える。

ギリギリ取得できるが、取得するとエネルギー効率が毎時間マイナス50になる。

これはダメだ。

下手をすると何もしていないのに死亡って事も考えられる。

フィッシングマスタリーはエネルギー生産力のランクが上がってから取得する事にしよう。そんな風に考えながら、もう一度糸を垂らす。

竿を垂らした瞬間、とんでも無い力で引っ張られた。

うわっうわわっ!

いきなりの事で竿を強く握っていた為、俺の身体、今は女の子の身体が引っ張られる。

単純なSTR、スピリットの場合エネルギーが足りていないのか、一応に踏ん張ってみた、がそのまま落ちた。

バシャーン、ブクブクブクという泡沫の音と共に身体が海水に浸かる。

一瞬、大きな魚が見えたが、直に視界から消えて行った。

くっ! フィッシングマスタリーを取得していたら釣れていたかもしれないのに。

逃がした魚は大きいというがともかく上に上がらないとな。