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変換数が増えればランクⅡとか出るだろうし、定期的にやっているが未だ現れず。

ふ、ふふ、船が見えてきたでござる!? 怖くて驚いたでござる

それ以前にお前が未だに夜目を取得している事の方が驚きなんだが

お前夜は寝ているじゃねーか。

俺なんか随分前に未取得に戻しているぞ。

そんな事は置いておいて闇影が指差した方を眺める。

青白い不気味な光を煌々と放ち、VR特有の臨場感溢れるホラー映像が展開されている。

船の全長は超デカイ。

俺達の船ですら20メートルはある小型船だというのに、それを遥かに上回る巨大さ。

クルーザーが25フィート(約7、6メートル)以上の船を指す言葉だと以前しぇりるが言っていた。

なんでもクルーザーと言っても大きさはまちまちで居住空間と居住施設を備えたレジャー用のヨットやボートを差す言葉というのが現代の考えだそうだ。

そんな船の何倍? 何十倍か? は有ろう巨大なボロ船が前方に浮かんでいる。

帆は破け、木々はボロボロ、青白く発光していなければボロ船扱いされそうな幽霊船。

なんかひゅーどろどろ』とか流れて来そうな雰囲気だな。

闇影

ぎゃああー!

いや話し掛けただけで悲鳴はさすがに

そして面白そうなのでアルトの方を眺めると後ろを眺めている。

現実逃避か?

反応いいな、こいつ等。やっぱ仲間に一人はこういう人材が必要だよな!

絆、僕は君の評価を少し下げる事にするよ

なんで幽霊船一つでそこまで

君は今自分がしている顔を自覚した方が良い

ははっ!

まあ良い。今は幽霊船だよ。

取り敢えず戦闘準備をするぞ。さすがに幽霊船に敵がいないとかありえないだろ

元気に返事をした三人。

残り二人は相変わらず怖そうにしている。

特に闇影。お前ビビリ過ぎ。

アルトの場合は商人やっていたのでレベル的問題があるのでわかるが、闇影は俺達の中で一番スペックは高い。

ドレインが基本なのでステータスだけは硝子を上回る程だ。

まあ性格的に幽霊が苦手なのだと言われればそれまでだが。

そんなに怖いなら、お前等二人だけで残るか?

残る? ここに?

自分、絶対に付いていくでござる!

いや、船で待っていた方が安全だろう?

誰も居ない所の方が怖いものなんだよ!

そういうもんか? 俺ホラーとか昔から見慣れているから良くわからん

兄弟が多いとホラー映画とかレンタルでよく借りてくるんだよな。

しかも何故か一緒に見させられる。

最近だとVR機を映画に取り入れた主人公と同じ目線で見られるVR映画なんかもあったか。

ジャンルとしては好きでもないし嫌いでもない、という微妙なラインだがな。

そうこうしている内に船が幽霊船へ突撃する。

ピキンッ!

何かにヒビが入る様な音が響く。

これはほんの二週間前位に聞いた事がある。

あれは。

強い閃光が発生し、空間が歪む

リミテッドディメンションウェーブ。

リーダー   1 絆†エクシード。

サブリーダー 2 函庭硝子。

メンバー   3 闇影。

4 しぇりる。

5 紡†エクシード

6 アルトレーゼ。

メニュー画面が表示され、こう表記された。

光が晴れると船は幽霊船内で降りられる形となっており、如何にもダンジョンと言った形相を示していた。

地図を表示させると俺達がいる場所が映っているのみで、他の場所は黒く塗りつぶされている。おそらくゲームにありがちな探索すれば表示されるという奴だろう。

リミテッドディメンションウェーブ?

思わず俺が呟くと周りには事態を把握できていない仲間達が各々な反応を示している。

硝子は武器を構えていた。あの閃光の一瞬に武器に手を伸ばしたとか、どこの武人だよ。

しぇりるは無表情でキョロキョロと周囲を見回しただけで特に反応なし。

紡は両手で戦鎌を持って、足腰を震わせ、ケモノ耳を興奮気味に動かしている。

アルトは相変わらず現実逃避を繰り返している。

ぎゃああぁぁーー! 怖いよー! 助けてええぇぇー!?

約一名、周りがドン引きする位驚いている人物が。

というか口癖が無い。本気で怖いのだろう。

幽霊云々で驚かそうと思ったがなんだろう、凄い罪悪感が襲ってくる。

闇影、落ち着け!

絆ちゃん?

絆、ちゃん!?

言い直した闇影に若干思う所はあるが良いだろう。心の中で俺をどう思っていようが気にしない。

それにしても闇影の奴、どんな奴なんだ?

長い事一緒に生活をしていればその人がどんな立場か、ある程度推測する事ができる。

性格云々ではなく、現実でどんな人物なのか、だ。

無論、それを訊ねるのは本人が自分から話す以外ではノーマナーだ。

オンラインゲームでの常識とも言える。

あくまで俺の勝手な予想だが、硝子は旧家みたいな金持ちのお嬢、しぇりるは情報不足で不明、紡は論外、アルトは多分年上。

こんな認識だ。まあゲームでそれを考えるのは無粋か。

闇影、これはゲームだ。幽霊がいても、あくまでゲームなんだ。わかるか?

わかったでござる

目を見て、俺が見上げる形だが落ち着かせる様に話すと闇影は素直に頷いた。

さて、闇影も落ち着いた事だし、事態の把握をしよう。

俺の服の裾をダークシャドウさんが引っ張っているとか、そういう事は気にしない。

リミテッドってなんだ?

限られた、有限。日本だと制限ともいう

つまり直訳すると制限された次元の波ってなるのか

パーティーが表示されたという事は人数が制限されているのではないですか?

ありえるな

オンラインゲームでは度々見られるシステムだ。

インスタントダンジョンとか、パーティークエストとか、そんな感じ。

紡が以前やっていた奴だとパーティーメンバー全員で協力してクリアするって奴か。

お約束になるが、ダンジョン攻略後にボスがいて、そいつを倒すとクリア。

クエスト報酬やボスドロップが手に入るというパターンだ。

一日何回とか、週一回とか制限が付いていたりするんだよな。

なるほど。だから制限された次元の波、なのか。

まあ、このまま立ち止っていてもしょうがない。進んでみるか?

トラップ

闇影、本当大丈夫か?

全員で船内の探索を始めたのは良いが、明らかに怖がっている。

アルトですら闇影を心配する程なのだから相当だろう。

まあ気持ちは分からなくもない。

幽霊船の船内は視界が悪いというのに見える範囲は青白い不気味な色をしている。

しかも木製の壁に触れると冷たくヌルッとしていて、船というよりはおばけ屋敷だ。