麦わら帽子とカウボーイハットを付けたペックルだ。
あれだ。個体によって付けている帽子に差があるのかもしれない。
ペックルはこの島を開拓するんだペン
そ、そうかがんばれよ
だからご主人には命令して欲しいんだペン
誰が主人だ
あなただペン。これをあげるペン
なんか肯定も否定もする前に変なアイテムを渡された。
一昔前のPDAみたいな情報端末でペックルカウンターという名称だ。
ペックルカウンターには三匹のペックルが描かれており待機』と表示されている。
待機のボタンを押すと従事させる仕事を選べるみたいだ。
そしてペックルには一匹一匹やる気』とやらがある。
サンタ帽子のペックルが100%で他二匹が70%だが、どういう意味だろうか。
あれか、空腹度とかそんな感じのゲージか。
まあペンギンだし魚でも食べれば回復するのだろう。
良く考えたら俺が押したボタンは魚だったな。
餌の事かよ
そうなると他のボタンを押したらどうなったんだ。
憶測だがそれに該当した生物が現れるに違いない。
そっちの二匹
麦わら帽子とカウボーイハットを呼び、アイテム欄に入っているイカを渡してみる。
イカを手に取った二匹のペックルはイカを食べた。
するとペックルカウンターのやる気ゲージが30%上昇した。
全個体が100%になった訳だがどうすれば良いんだ?
これはアレだよ。サポートキャラクターだよな。
条件はハーベンブルグ伯爵の屋敷に辿り着く、とかで以降開拓を手伝ってくれる。
まあシステム要素なら使わせてもらうが。
個体によって能力差あるよな。多分。
麦わらが畑仕事で、カウボーイが狩りだな。サンタ帽子何が得意なんだこいつ。
取り敢えず当てはまりそうな項目を探す。
農業、狩猟、畜産、漁業、伐採、建設、開拓、指揮の八項目だ。
指揮ってなんだ? リーダーっぽいし、これと相性が良いのかも。
でも既に俺が命令を出している様な気がするしな。ともかく、開拓という動作が何を意味しているのか確かめる為、サンタ帽子には開拓を命令させておこう。
仕事を始めるペン
そう言ってペックル達は走り去っていった。
きっと命令した仕事をやってくれるのだろう。
取り敢えず村に戻ろう。
村に戻ると俺は唖然とした。
サンタ帽子を付けたペックルが両手でハンマーを握って家屋を破壊していたからだ。
まだ始めたばかりなのか倒壊こそしていないが、今にも崩れそうだ。
なにやってんだよ!?
これはご主人。ペックルは開拓作業をしているんだペン
それは破壊って言うんだ! なんで家、壊しているんだ
新しい家を建てる為だペン
意味は理解できるがこの廃墟、壊されると俺の寝場所が無くなるんだが。
新しい家とか言っているし、後々建設とやらで家を作ってはくれると思う。
だがそれまでどうするべきか。
まあ小回りが利かないのがサポートキャラのお約束か。
わかった。お前は建設に回れ
わかったペン
そう言って帽子にハンマーを入れると今度はノコギリを取り出して立ち去っていった。
どんな構造なんだ? アイテム欄と同じ原理なのだろうか。
気になってノコギリを持ったサンタ帽子ペックルに付いていくとハーベンブルグ伯爵の屋敷跡地に着いた。
そして帽子から木材を取り出し、ノコギリを当て始める。
あの木材、どこから取り出したんだ?
嫌な予感がしてアイテム欄を眺めるとちゃっかり減っている。
あの帽子、俺のアイテム欄と繋がってないか?
いや、ノコギリなんて持ってなかったけどさ。
まあ良い。気にしたら負けだ。
他の奴は何やっているんだ?
ペックルカウンターを覗いて見る。
カルミラ島を簡易表現した地図が表示され、三匹のペックルがデフォルメされたマークで動いている。もはや別のゲームだな。
俺が耕した畑の辺りにいるペックルと森の中にいるペックル。
こっちは予想通りの行動だ。確かめる必要も無いだろう。
ともあれ便利なサポートキャラが現れ、作業は楽になった。
まあ開拓とやらをしておくか
その日は夕方まで今夜の寝所を残し、ハンマーで廃墟と化した村を破壊して回った。
家を破壊するのがちょっと気持ちよかった。
ペックルライフ
陽が落ちた。
夜目を取得すれば夜でも続けられるが精神的に疲れたので今日の作業を終了する。
そして取り出したるは開拓者の七つ道具を変化させた釣竿。
ペックルの餌というのもそうだが、釣りはゆっくりできるし、俺のソウルライフ。
俺は一週間の間硝子達を待ちつつ釣りをしていた岩礁へやってきた。
フィッシングマスタリーの影響で程々に釣れるが、まだ竿のレベルが低い。
まあ一週間続けて使っていたのでレベル3にはなったが。
釣れる魚はレベルが増える毎に増えている。
最初はニシンなどの安めの魚だった。
早く良い物を釣りたいが、この手のレベルアップ系装備は日々の鍛錬が物を言う。これからはどんなに忙しい日でも、一日一時間は釣りに割くとしよう。
お、早速引いている
個人的にはリールにもっと慣れたいが、七つ道具には付いていないのだからしょうがない。そんな風に考えながら、いつもの調子で竿を引いた。
なんかペックルが釣れた。
例え様もない怒りが込み上げて来て自然に言葉を紡ぐ。
サボるな! てお前、誰だ?
ペックルだペン
知っとるわ。
釣れたペックルは三匹のペックルと違いバンダナを頭に巻いている。無論、三匹が別の帽子を付けている可能性はあるが、個体表示だと考えると別のペックルだろう。
ペックルカウンターを見ると三匹は別々の場所で働いており、新しく四匹目の項目が追加されている。もちろん待機状態だ。
やる気は30%。
アイテム欄からイカを投げ渡すとパクッと二匹食べた。
家が早く完成してほしいので建設の手伝いをさせよう。
俺は新しく加わったバンダナのペックルをサンタ帽子と同じ建設と命令した。するとイカを食べていたペックルはバンダナからノコギリを取り出すとハーベンブルグ伯爵の屋敷跡地へと去っていった。
増えた?
あれか、ペックルは何か条件を満たすと増えるのか?
今回の場合、釣りで新しいペックルが加わった。
確かにデフォルメされているとはいえ、ペンギンだから海に居てもおかしくはない。
ま、まあ良い。
釣りは俺のソウルライフ。
これからはどんな事があっても一日一時間は続けるんだ。
そう自分を納得させながら釣りを続けた。