そう言って楽しげに微笑んだ硝子。
別に好き好んであんなのと遭遇している訳ではないんだが。
ともあれ俺達は食料庫まで走り、襲撃しているカルマーペングーに戦いを挑んだ。
ここまでの道で扇子を帯から抜いていた硝子は道中スキルをチャージしていた。
和服と扇子が幽霊船の頃より高価な物に変わっており、俺がいない間、色々あった事がうかがえる。先程俺を探す間、経験値が入ったと話していたので強くなったのだろう。
俺の方はカルミラ島で開拓をしていただけなので、何か置いて行かれた様な気がする。
よし、俺も負けていられないな
漂流して伝える事が叶わなかったが、硝子に強くなる方法を教えてもらう予定だった。
俺だってただ島で漂流生活をしていた訳じゃない。立派に生きていたんだ。
エネルギー/138630。
マナ/49070。
スキル/エネルギー生産力ⅩⅣ。
マナ生産力ⅩⅠ。
フィッシングマスタリーⅩ。
解体マスタリーⅦ。
破壊マスタリーⅢ。
ファームマスタリーⅠ。
クッキングマスタリーⅣ。
俺の生活生産系だ。わかっていたけどな。
ともかく俺は硝子から返してもらったエネルギーブレイドとケルベロススローターを握る。やはり俺の臨戦態勢と言えばこの装備だ。
いや、俺はこのままで良いのか?
本当にこの戦い方で硝子に今までがんばったと胸を張って瞳を交わす事ができるのか?
エネルギーブレイドの様な、ゴリ押しで満足して良いのか?
違うだろう。
俺が目指すのはもっと強く、突飛に敵を倒す事だろう。
なんか違う気もするが、俺にはもっと違う戦い方があるはずだ。
そこでアイテム欄に入っている開拓者の七つ道具が目に入った。
こ、これだ!
輪舞三ノ型・霞!
カルマーペングーに霧の様な演出の四段打撃攻撃を硝子が命中させると同時に俺は突撃する。
鋭いモーター音を鳴らしながらカルマーペングーの脇腹をドリルで貫く。
なに、レベル4だ。多少はダメージだって期待できるはず。
それにドリルはまだ事実上未実装装備だぞ。俺の使う装備の中では威力がある。
おお、カルマーピングーが少しひるんだ。
その隙に硝子が二つの扇子を使って、左右上下から攻撃を仕掛ける。以前よりも強くなった硝子の攻撃で後ろずさったカルマーペングーに再度ドリルを当てる。
やや卑怯な気もするが、今までの俺は常に卑怯だった気もするのでコレで良いと思う。
ともあれ、さすがは破壊武器に属する装備だ。
カルマーペングーのフリッパーに螺旋が巻き込まれて羽が抜け落ちる。
ダメージとしては期待して良いのではなかろうか。
簡単に表現するなら、波平おじさんの最後の希望にドリルを巻き込む様な物だ。
そんな感じの嫌がらせでは無く、鋭い攻撃を繰り返すと意外にもあっさりカルマーペングーは大きな断末魔を上げて倒れた。
攻撃は重いのですが、思いのほか行けましたね
そうだな。攻撃を受けなかったのは硝子のおかげだ
なんだかんで俺は横からドリルで攻撃していただけだからな。
硝子はカルマーペングーの攻撃はスレスレの所で避けていた。
俺は避けられないが、一発一発の攻撃が重い代わりにスピードが硝子よりは遅かった。
そういう意味でこの勝利は必然と言える。
さてデブ鳥、解体の時間だ。開拓の邪魔をしたケジメを取ってもらう
鳥系モンスターっぽいので、シルバーガラスキでカルマーペングーを解体する。
鶏肉、羽根、羽、クチバシ、羽毛などが取れた。
そして解体が大体済んだ頃。
ん? なんだ?
カルマーペングーの死体がモゴモゴと動き出した。
え~っと
嫌な沈黙が支配するが、率直に起きた事実だけを口にするならこうだ。
カルマーペングーの体内から3匹のペックルが飛び出してきた。
なんとなく起こりそうだとは思っていたが、ペンギンの腹からペンギンが出てくる光景はちょっとどういえば言いか、シュールだ。
ペックルは頭に兜、インディアンハット、口にスカーフを付けた3匹。他のペックルと違い、兜は剣、インディアンハットは弓、スカーフは短剣を手に持っている。
なんだ、こいつ等。
ペックルはストレスが溜まると不良化しちゃうんだペン
振り返るとサンタ帽子のペックルが説明を始めている。
カルマーペングーはやっぱりペックルの派生だったのか?
というか、不良化って次元じゃないだろ。あれはどちらかと言えば進化だろう。
ペックルカウンターを見てほしいペン
言われて隣にいた硝子とペックルカウンターを見る。
すると今まで存在しなかったストレス』なる項目が追加されていた。
ペックルはストレスが100%になるとカルマーペングーになってしまうペン。これからは気を付けてほしいペン
何が気を付けろだ。そんな物があるなら最初から教えろ。
しかもこれまで昼夜問わず働かせていた影響か、全個体が90%を超えている。
サンタ帽子は特別仕様なのか0%だ。
尚、新たに加わった3匹は低い。暴れた後だからだろうか。
どうしたんですか?
他にも項目が増えている
ペックルの従事できる仕事の中にダンジョン』と採掘』が追加されている。
採掘はわかる。確かヘルメットを付けたペックルがいたのでそれが該当するはず。
ダンジョンは今目の前にいる兜、インディアンハット、スカーフだろう。
ともあれ、ストレスが等しく高いので全員を待機状態に変更した。
一応、ある程度の仕事は完了しているはずだからだ。
明日からはローテーションを組んで仕事をさせれば、やる気とストレスを管理できる。
一応食料庫をカルマーペングーから防衛できたので餌を食べてやる気を回復させた後、この3匹をダンジョンに従事させた。
すると3匹のペックルは山を登って中腹地点にやってきた。
カルマーペングーを倒す前は岩が塞がっていた場所に、丁度ペックルが一匹通れるか通れないか微妙な大きさの、小さな穴があった。
そこに3匹は順番に入っていくと3匹の項目に探索中』と表示された。
良く解らないが、ダンジョンを探索しているみたいだ。
と、ともかく一度家に行こうか。硝子
ともかく、俺はこんな感じで磯女ではなく硝子の活躍によって開拓が進んだ。
師弟関係
では絆さん。どこからでも良いので来てください
俺は現在硝子と対峙していた。
別に喧嘩している訳じゃない。以前心に決めていたプレイヤースキルを学ぶ為だ。
カルミラ島での生活は時間を作ろうと思えば思いの外作れるので、朝昼晩と一日三回手合いを取ってくれる事になっている。