そりゃあ、人間の娘っ子でこんなに酒が呑めるのも珍しいからなぁ!どうよ、魔術師さんも一杯!
では、頂こう
注がれた酒を飲むふりをして、Olは魔術でそれをただの水に変える。ドヴェルグ謹製の酒など、普通の人間がのめばその強さにたちまち酔いつぶれる。がぶがぶ飲めるユニスがどうかしているのだ。
しっかし勿体ねえなあ!ユニスちゃんも、もうちょい美人だったら、魔術師さんに喧嘩売ってでも
嫁にもらったかもしんねえのによ!
あっはっは、多分負けるからやめた方がいいよー
酔っ払いの戯言に、ユニスは生真面目に付き合う。それがまた、ドヴェルグ達には面白いのだろう。
ほんとなあ、背はまあちょっと高いがいいとして、もうちょい鼻が潰れてて、腹が出てて、足が短けりゃあ美人なのになあ!
ドヴェルグの美的感覚は人のそれとは随分違う。それを聞いてユニスは少々落ち込んだ。
Olぅ、Olも、鼻が潰れてお腹が出て、足が短いあたしがいいの?
いや、ユニスはそのままでそのままがいい
はっはっは! 流石魔術師さんは度量が深ぇな!
バンバンと背を叩かれ、Olは水を気管に入れてしまい、むせた。
所で、頼んでいたものは出来たか?
げほごほと咳き込みながら、話題を強引に変える。
ああ、扉と箱なら出来てるぞ
ドヴェルグが指差す方に、扉と大きな箱がいくつか積まれていた。乱雑に積み上げられてはいるが、その出来は非常に精巧で頑丈そうだ。
わかった。後でインプを寄越して、取り付けさせる
あー、駄目だ、駄目だ。アイツはちっこくて役にたたねえ。取り付けもやってやるよ、案内だけさせとくれ
今まで扉は、滅ぼした村の家屋から引っぺがしてきたり、インプに作らせたりして使っていたのだが、いずれもただの木の板に取っ手をつけただけのもので、通路の大きさにもあっておらず、隙間が空いていた。
耐久性にも問題があり、斧でも入れようものなら一撃でバラバラになり、そうでなくても使っているうちに壊れる事さえあった。ドヴェルグの手による扉なら、熟練の冒険者の攻撃でも十数分は時間を稼いでくれる事だろう。
箱の方は、いわゆる宝箱と言う奴だ。これに金貨や魔法のかかった道具なんかを入れ、罠を仕掛け、迷宮のあちこちにおいておく。欲に目が眩んだ冒険者達への餌であり、命を奪ったり捕縛したりする罠でもある。
それは助かる。後、弓を五張ほど作って欲しいんだが
弓ぃ?
Olがそう切り出すと、ドヴェルグは難色を示した。弓はアールヴの象徴の様な武器だ。男は近接武器で戦ってこそ、と言う気風もあいまって、ドヴェルグは弓にあまり良い印象を持っていない。
報酬は今年できたばかりの麦酒、10樽
よおし、乗った!
が、無骨でさっぱりしたドヴェルグは、アールヴほど彼らを嫌っている訳ではない。報酬をたっぷり用意してやると、二つ返事で了承した。
あー気持ちいー
Olの背で揺られながら、ユニスはそう呟いた。
流石に酔いつぶれ、眠ってしまった所を放っておく訳にも行かず、ドヴェルグ達に囃し立てられながらOlは彼女を背負っていった。
起きたか
目を覚ましたなら自分で歩いてもらおう、とユニスを下ろそうとするOlの気配を察知し、ユニスは彼にしがみついた。微細な筋肉の動きから相手の行動を察知し、先手を打つ。英雄として生まれたユニスの天性の戦闘センスが今、彼女が生まれてからもっとも無駄に使われた。
おい、どういうつもりだ
えへへ、Ol、久々に二人っきりだね
Olの言葉を無視し、ユニスは彼の背中に頬を擦り付けた。彼らがその主人であるとは言え、今やそこは多くの妖魔蔓延るダンジョンである。足元を小さなインプが走り、遠くからは魔獣の吼える声が響く。
しかし、ユニスはまるで恋人同士が静かな森の中でいるような面持ちだった。
ねぇ、あたしが今のままでいいって本当? もっと足短くなくていいの?
首筋から耳元に舌を這わせ、熱に浮かされたようにユニスは問うた。
それはドヴェルグの価値観だろうが。人間から見れば、お前は十分美しい
反吐を吐きそうな表情でOlは言った。
えへへへー、嬉しいなー
ユニスはぎゅっとOlを抱きしめる。
ねーOl、して?
容赦はしないぞ
Olは嘆息し、手頃な空き部屋を見繕って結界を張り、ユニスを地面に転がした。
手早く服を脱がしてそれを布団代わりに下に敷き、ユニスの股間に手をあてがう。
愛撫は必要なさそうだな
ん、でもキスはして
はい、と両手を伸ばすユニスを抱きしめ、唇を交わし舌を絡める。
そのまま、Olはユニスを貫いた。既にたっぷりと潤いを含んでいたそこは、何の抵抗もなくOlの物を飲み込む。
随分いやらしい身体になったもんだな
そうしたのは、Olでしょ~
無駄口を叩くな、とでも言わんばかりにユニスはOlの首を引き寄せ、唇を奪う。
そのままガッチリと腕は固定され、とてもOlの力では外せそうにない。仕方なく、Olは魔術師らしく搦め手で攻める事にした。
んっ、んんっ
恥骨を擦り付ける様にしてぐりぐりと円を描くように腰を動かす。こうするとクリが刺激され、快感が煽られるものの、中は殆ど動かない為に欲求ばかりが高まる。
しばらくそれを続けながら、更にユニスの胸に手を這わせた。形の良いそれは、大きくもなく、さりとて小さすぎる訳でもなく、Olの掌にすっぽりと包み込める程度の豊かさを持っていた。
もう、駄目ぇっ!
とうとうユニスも音をあげ、腕からOlを解放して叫んだ。艱難辛苦に耐えうる英雄の鉄の精神も、愛しい男から受ける快楽の前にはガラス細工の様なものだった。
あっ、ん、ねぇ、Ol。んんそれ、もっと、おっきい方がいい?
やわやわと胸をもみしだくOlに、ユニスは問い掛けた。
大きかろうと小さかろうと関係ない。お前は美しいと言ったろう
言うのが屈辱のきわみである、と言わんばかりの表情で、Olはそう答えた。最初は単に嫌々誉めているのだろう、と思っていたが、今ではユニスはそれが彼なりの照れ隠しであると考えるようになっていた。本人にそんな事を言えば、確実に否定されるだろうが。
ん、嬉しいね、もっと奥まで突いて、滅茶苦茶にして
今度は何も答えず、Olはその要望にたっぷりとこたえてやった。
第8話邪悪なる下僕どもを揃えましょう-4
調子はどうだ
Olが声をかけたとき、スピナは小刀で熱心に木に紋様を彫っているところだった。
ウッド・ゴーレム。様々な生き人形の中でも、もっとも基本的、かつ簡単なゴーレム。それを彼女は作っていた。