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嘘はついてないだろう

666の悪魔とか言いやがって、600匹以上インプじゃねえか!

正確には650匹だな。他は10匹ガーゴイル、5匹ヘルハウンド、1匹サキュバスだ

普通の魔術師は、インプなんて悪魔の数に数えたりしない。あんなものは下級も下級、最下級の存在だからだ。そもそも2,3匹呼べば事足りるような仕事しか出来ない悪魔を何百も呼び出す意味など普通はない。

それに処女の血! そりゃあ、マリーの血は滅茶苦茶美味かったけど週に1滴2滴ってどういうことだ!?

契約書にはちゃんと書いたはずだがな。見なかったのはお前だ

普通、悪魔に血を捧げるといえば生贄の血全部だ。つまり、魂は渡さないが、肉体一個丸々といっていい。

あああああ! 騙されたあああ!

時既に遅し。ガチガチに縛られた契約によって、ローガンはOlや女たちを襲う事さえ出来ない。

Olって本当、男には容赦ないよね私女で良かった

自分が辿る可能性もあった道を横目で見ながら、リルはほっと胸を撫で下ろしたのだった。

閑話部下と交流しましょう-1

いやぁ~、マリーは本当に可愛いな。影の中まで心地良いぜ

声をあげるな変態

Olは頭を抑えながら、傍らを歩くマリーに言った。彼女の影の中にはローガンが潜んでいる。

とりあえず戦闘以外に使う気のないこの悪魔を、Olはマリーの影の中に潜ませておく事にした。それなりに分別のあるスピナやユニスと違い、幼い彼女はフラフラとどこに行くかわからない。

その護衛兼お目付け役と言う意味もあるし、マリーの影に入っていれば不満を口にしないので、煩いローガンの口を封じるためと言う意味もある。

いいか、週に一度の血以外に絶対に手を出すなよ

分かってるって、旦那。俺だってこんな極上の人間を失いたくはないしな。イエスロリータ、ノータッチ!

のー、たっち!

その馬鹿の真似をするな、マリー

意外とマリーとの仲は良好なようだったが、用済みにになったら消し炭にして魔界に返してやる、とOlは心に誓った。

ミオ、調子はどうだ

あ、Olさん。はい、今ブラッシングが終わったところです

家畜部屋を覗くと、毛足の長いブラシを片手にミオが牛の背をぽんぽんと叩いた。

食料にする為の家畜だが、食料が余ってきた為に最近はすぐに締めるのではなく、しばらく生かすようになっていた。その世話を自ら買って出たのがミオだ。

元々村では牧場主の娘であった彼女は、Olたちの杜撰な管理に眉を吊り上げ怒った。自身を生贄として差し出されても、Olに悪魔の餌にされそうになっても怒らなかった彼女がいきなり怒鳴りだしたのにはOlも驚いたが、それ以来彼女は甲斐甲斐しく家畜達の世話をしている。

普段は自分の食べ物も慎ましい態度で受け取るのに、家畜の世話に必要なものは遠慮なくぽんぽんと要求してくる。お陰で家畜部屋はどんどん広くなり、施設や備品も充実の一途を辿っていた。

今から風呂にいくところだ。お前も来るか

あ、いいんですか? じゃあ、お言葉に甘えて

あまり見た目に頓着しないミオだったが、やはり女なので衛生には気を使った。家畜の世話をしていればどうしても身体も獣臭くなるし、汗もかく。自分からは言い出せなかったので、Olの申し出は嬉しかった。

風呂は常に沸いているから、入るのに許可は要らん。好きな時に浴びるがいい

は、はい

家畜小屋を離れると、ミオは緊張した面持ちで頷いた。家畜が関係しない事だと彼女は酷く気弱で控えめな少女になる。

ぶべ!?

並んで廊下を歩いていると、突然ローガンがくぐもった声をあげた。そのまま歩くマリーの影から、べりべりと引き剥がされるように実体化する。

お前は風呂など必要なかろう。結界を壊すなよ

Olがあらかじめ張って置いた悪魔よけの結界だ。と言っても、リルは影響を受けないので実質ローガン除けといっていい。

なっ!?ふざけんな、テメェマリーの柔肌を独り占めする気かぁ!?

お前と一緒にするな

とは言うものの、リルが仕込んだ口での奉仕は何度も受けているのでOlもあまり人の事はいえない。

あ、あの、Olさん、ちょっと可哀想じゃ?

結界に阻まれ叫ぶローガンが、屠殺場に連れて行かれる家畜たちに重なってミオは思わずOlに声をかけた。

おおっ、いい事言うなそこのババア!

気のせいでした、いきましょう

が、返ってきた言葉にすぐさま踵を返す。このダンジョンに何故か沢山いる美女たちに比べれば数段劣るとは言え、齢十六花盛り。ミオにも乙女心と呼べるような物はあるのだ。

おぉ、先に失礼しているぞ、主殿

扉の先に広がっていた光景に、驚くと共にミオは落ち込んだ。気持ち良さそうに湯に漬かっていたのはエレン達黒アールヴだ。リルやユニス、スピナといった美女達と並んだ時も惨めな気持ちになるのに、褐色の美女が五人も揃うと迫力が違う。

って、混浴なんですカッ!?

躊躇わず服を脱いで備え付けの籠に放り込むOlに、思わずミオの声は裏返った。

それはそうだ。今の所居住区に男は俺しかおらんしな。常時湯を沸かせるのにそれなりに魔力も使っておる。わざわざ別にする事もなかろう

Olは自然にローガンの存在を無視した。

綿密な計算の元でダンジョンの通路を引き、龍脈の形を整え、地熱を運ぶ事で作り上げたこの湯殿はOl自慢の一室だ。

部屋にはモザイクタイルが敷き詰められ、微妙に傾斜があって濡らしても自然と水がはけるようになっている。浴槽は床の上に設置するタイプではなく、床を掘り下げて湯を溜めてある。以前の様に焼けた石を放り込むまでもなく水は常に適温に温められ、好きな時に入る事ができる。いわば人工の温泉だ。

主殿、この前頂いた弓を試してみたのだが、あれは素晴らしいな!灰色熊を一撃だ。後で毛皮と肉は進呈差し上げる

エレンは湯殿の中から、若干砕けた口調でOlに笑いかけた。

堅苦しいのは相変わらずだが、以前の様な余所余所しさはない。どうやらこちらが地の様だ。

ドヴェルグが作り、Olが呪を封じ込めた弓は一級品の魔弓に仕上がった。

驚くほど軽く引くことが出来るのに、その強さは石弓以上。狙った場所でピタリと止まり、空に放てば地平線の彼方まで矢を飛ばす事ができた。これにアールヴ達の腕が加われば百発百中、5人で放てば矢は雨の様に降り注ぐ。

うむ、それは何よりだ。早く仲間が見つかると良いな

Olはマリーを抱えて、アールヴ達の輪の中に腰を下ろした。湯船はまだ幼いマリーの背には少し深い為、こうして抱えてやらないとおぼれてしまう。

ミオ、お前もさっさと入れ

入り口で顔を赤くしたり青くしたりと忙しなかったミオも、Olに促されて渋々服を脱ぎ、湯船の端の方におずおずと身を埋める。じんわりとした暖かさが身体を包み、その心地良さにミオは思わず息を吐いた。