身長は169くらい。
魔弾
英霊。年齢不詳。一発射れば矢は百の弾に分かれ、どんな小さな的だろうと確実に命中させる能力を持つ。
無明
英霊。年齢不詳。あらゆる幻を看破し、どのような障壁も透視する千里眼の能力を持つ。
跳ね駒
英霊。年齢不詳。距離も結界も何もかも無視し、どのような場所にでも自由自在に転移する能力を持つ。
炎髪
英霊。年齢不詳。本来燃えないものや、魂といった形のないものまで、どのようなものでも燃やし尽くす能力を持つ。
鉛
英霊。年齢不詳。どのような魔術も打ち消し、無効化する能力を持つ。
竜殺し
英霊。年齢不詳。距離や数に関係なく、どのような竜であれ一撃で殺す能力を持つ。
ラズ
Olの師。故人。享年22歳。琥珀色の髪に茶の瞳、伸ばすと腰くらいまでの髪をひっつめにしている。見た目はクールビューティ。
その実はかなりズボラで適当。興味の無いことにはとことん無頓着だが、興味のあることには究極まで拘る学者肌。部屋が汚いのには耐えられないが、掃除をするのは大嫌いと言う困った性格。
魔力の色は黄褐色。胸は推定Cカップ。身長は163くらい。
身長比較
書籍版
コミカライズ版
プロローグ
暗く深い、日の光など射しようもない地の底で、男はつるはしを振るっていた。
それは狭く暗い地下道に相応しい、みすぼらしい男だった。
齢は相当な高齢らしく、顔はしわに覆われていない箇所はなく、背は曲がりに曲がっている。身に着けているのもボロボロの灰色のローブで、それも狭い地下道の埃と土にまみれ、その惨めな様相をいっそうみすぼらしくしている。腰につけたランタンもかなりの年代物で、辛うじて男とその周囲を照らしている。
全身は汗にまみれ、つるはしを振るう腕にはもはや力は無い。
息も絶え絶えで、いつ絶命してもおかしくないほど男は疲弊しきっていた。
見た目も中身も疲れきり、磨耗しきったその男の中で、目だけがぎらぎらと強い光を放っていた。
男は何かに取り憑かれたかのように、必死につるはしを振るう。振るう。振るう。
そして、ついに。
不意にごとりと音がして、土壁の一部が崩れた。
男は目を見開き、その向こうを見る。
ふハハッ、アハハハハハ!
そして、今までにも勝る熱心さで腕を振るい始めた。
土壁は見る見るその亀裂を増していき、やがて人が通れるほどの大きさになる。
男はつるはしを放り投げると、哄笑と共にその中に踊りこんだ。
ハハハハハ! やった、ついにやったぞ! この、味わいさえ感じるほどの芳醇な魔力の香り!ついに見つけ出したのだ!
男は自身の胸元を探ると、首にかけていた首飾りを強引に引きちぎった。乞食よりもみすぼらしい男が身に着けていた唯一の装飾品であるそれには、小指の先ほどの大きさのガラスで出来た瓶がつながれていた。
その瓶を男は地下道の先にあった空洞の中心に掲げる。すると辺りの空気が渦巻き、ゆっくりと瓶に集中していく。それと同時に、瓶の中には琥珀色の液体が湧き出てきた。
視認さえ出来る高濃度の魔力の結晶!素晴らしい、これだけあれば!
男は瓶を地面に置くと、低い声で呪文を唱え始める。半刻(1時間)ほどもそうしていただろうか。
長い長い呪文は徐々に熱を帯び、弱弱しく呟くように紡がれていたそれはいつの間にか朗々と、力強い声によって唱えられる。
最後には半ば叫ぶようにして呪文は終わりを告げ、それと同時に男の身体は強い光に包まれた。
力が、溢れてくるこれが若い肉体と言う物か!
光が消えた後には、若く逞しい青年が立っていた。
腰が曲がり、皺に覆われた老人の面影は微塵もない。真っ直ぐ剣の様に伸びた長身に端正な顔立ち。四肢は力に溢れ、肌は絹の様に滑らか。ただ一つ、ぎらぎらと光る双眸だけが元の老人と共通していた。
おっと、もう一杯になるか
瓶になみなみと湧き出てきた液体は、早くも瓶の9割ほどを満たしていた。
男が若返ったときに僅かにその量を減じさせたものの、溜まる速度の方が圧倒的に早い。
男は呪文を紡ぎながら腕を振るう。その指先から琥珀色の魔力が溢れ、瓶を貫く。
瓶は見る間に大きく膨れ上がり、ひと一人が入れるほどの大きさになった。
これで当分は持つだろう。さて
男は短く呪文を呟き魔法の光を灯し、次いで少し長めの呪文を唱えた。男の指先が放った光を浴びて、天然の空洞だった洞窟は見る間に煉瓦で造られた殺風景な地下の一室へと姿を変える。
そして指の先に歯を突きたて、石畳の床に血で魔法陣を書き始める。
書きあがった魔法陣を軽く撫でてその出来を確かめると、男は更に呪文を唱え始めた。
若返ったときよりも更に長く、複雑な呪文だ。
男の額には珠のような汗が噴出し、苦痛に顔が歪んだ。
空気が震え、部屋の外に置いてあったままのランタンの炎がふっと掻き消えた。
それまで静寂を保っていた空間に、弓の弦を絞るような音がギリギリと鳴る。
炎の消えた空間を支配していた闇が、まるで意思を持つかのように蠢き、ゆっくりと形をとり始める。
その影は明かり一つ無い暗闇の中でなお暗く、はっきりとした輪郭をとり
そして、鈴の音の様な声をあげた。
わたしを呼んだのは、あなた?
男の前に現れたのは、申し訳程度の衣服に身を包んだ妖艶な美女だった。
黒々とした髪は長く艶やかで、白い肌を包むように伸びている。
ほっそりとした手足はすらりと伸び、しかし出る所はしっかりとその存在を主張していた。
そうだ
女の問いに、男は頷く。
そうじゃあ、呼んでくれた御礼にとびきりの夢を見せてあげる。この魔法陣を消してもらえる? このままじゃ、その素敵な唇にキスする事もできないわ
すがるような弱弱しさで、女は甘い声を出した。それを男は冷笑する。
それはできないな。その魔法陣を消してしまえば、お前は自由に行動することができる。お前はすぐさま俺の魂を奪って魔界に戻るだろう。魔法陣を消すのは、契約を結んでからだ
男がそういった瞬間、女の表情が一変する。
哀れみを誘う弱弱しい少女のものから、ふてぶてしく経験豊富な娼婦のそれへと。
つまんないの、ちょっとした冗談じゃない。これだけの魔力を用意できる魔術師がそんな初歩的な失敗をするわけがないんだから
女悪魔は空中に椅子でもあるかのように虚空に腰掛け、足を組む。
意識するとしないとに関わらず、その動作は扇情的で艶かしい。
で? 私は何をすればいいわけ? 愚かな男達から精を吸い上げる?それとも、あなたの敵に無限の悪夢を見せてやる?あなた自身に最高の夜を見せてあげるのもいいけど