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良かったね、ラーちゃん

良かった──の、だろうか?本当に?そんな疑問が、頭の片隅をふとよぎる。

だがそんな微かな疑問は、Olが抽送を始めた途端に弾けて消えた。

うっあぁぁっ!

ぐいと、身体の中を蹂躙される感覚。それは紛れもなく、苦痛以外の何者でもなく。

あぁっ!ひあぁっ!

なのに。なんで。

あぁぁぁっ!ひぐっ!あぁぁぁっ!

己の声は、こんなに甘く蕩けているのか。

あっ、あっ、あっ、あぁっ!

ずんと奥を突かれる度に、身体がバラバラになりそうな衝撃が全身を走っていく。マリーに身体を抱えられ、幼児が放尿するときのような格好で男に脚を開かされ、男の欲望のままに支配され蹂躙されて。

いぃっ!いぃ、よぉっ!

──ラーメスの身体は、悦んでいた。

ひぐぅっ!ひ、ぐぅぅっ!

男であったウセルマートは童貞でこそあったものの、女の味はよく知っていた。その口で、手で、胸で奉仕させたことは数え切れぬほど。

だが。今感じている快楽は、まったくの別物であった。

痛いのに、苦しいのに、それそのものが快感なのだ。

もっともっとぉっ!

もっと痛めつけて欲しい。もっと刻み込んで欲しい。

自分の奥を貫く男に自らしがみつき、ラーメスは懇願した。

そうねだらずともちゃんと、くれてやる!

Olはラーメスの両胸を鷲掴みにしながら、その唇を自らの口と舌とで塞ぎ、最奥にぐりぐりと突き入れる。

このまま、一番奥で、びゅびゅ~って射精してもらおうね

ラーメスを抱えながら、マリーは一切の悪意なく、無邪気にそう囁いた。

子宮の奥で好きな人の精液を受け止めて、赤ちゃんのお部屋に種付けしてもらって。女の子に生まれてよかったって、一番思う瞬間なんだよ

ラーメスの頭の中でチカチカと、警告の光が瞬く。それはあるいは、ウセルマートとしての、最後の抵抗だったのかも知れない。

けれど。

どくどくと流し込まれる大量の白濁に、それはすぐさま消え去った。

あぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁ!

彼女に残されたのは、己の内側が洗い流されていくような激しい快感と──

射精を終えたばかりの男根が眼前に突き出され、ラーメスはうっとりとしながらそれを舐め清める。

ちゅう、とその尿道に残った精液を吸い上げながら、彼女は己の股間を弄る。注がれたばかりの精液がくちゅりと音を立てて指先に絡みつき。

もっと注いで沢山、欲しい

男の精を受け止める。その為に己は生まれたのだという、確信だけだった。

第21話全知全能の神を斃しましょう-1

こんな時、どんな顔したらいいのかしらね

数刻後。門の前で合流したザナは、Olにぴっとりと張り付くようにその腕を抱きしめて歩くラーメスに、全てを察して天を仰いだ。

こんな時とは?

自分の妹を攫っていった憎らしくも惹かれていた男が、性転換して今好きな男にべったり張り付いてメス顔晒してる時

ホスセリの問いに、ザナは虚無を表情に貼り付けて答える。

笑うしかないんじゃないかな

あはは、と明るく笑うマリーは、ザナの鋭い目つきに睨まれてOlの背にさっと隠れた。

余の今までの行為、頭を下げたとて許されることではなかろう。誹りは甘んじて受ける。──すまなかった

しかし頭を下げるラーメスに、ザナのその目は丸く見開かれた。

そんな彼女に、イェルダーヴが一歩歩み出る。

ラーメス、さん

イェルダーヴいや、イヴか。そなたには特に、申し訳ない事をした

今までのラーメスは人を、人としてみていなかった。そうしなければ己の価値がないと思っていたのだ。

今なら、あなたとお友達に、なれる気がします

かすかに微笑んで、イェルダーヴ。

それにイェルダーヴというサハラ風の名前は、そんなに、嫌いではありませんから

本来の名を無視し勝手な名前で呼ぶその行為は、人を支配し所有する為の示威行為だったのかも知れない。

ま、良かったんじゃないの

細く長く息を吐き、ザナはぽんとラーメスの頭を叩く。男だった頃は見上げていた彼女の頭は、今は見下ろす位置にあった。

よくない

しかし、それに異を唱えるものがいた。ホスセリである。

そう言えば、因縁を持つのはイェルダーヴとザナだけではない。ホスセリもまた、唆され利用された挙げ句、太陽神に身体を乗っ取られると散々な目にあっていたのだ。

いかな咎でも受けよう

神妙な表情で向き合うラーメスの横をすり抜けて、ホスセリはOlにしなだれかかる。

御館様。私だけまだ抱いて貰ってない。私も抱いて欲しい

それは構わんが。いいのか、あれは

固まるラーメスを指して問うOlに、ホスセリは首を傾げる。

?別に興味ない

ふふふふふ、ふふふふふふ

スパリと言い放つホスセリに、ラーメスは不気味な笑みを漏らす。

貴様ら人が下手に出ていればいい気になりおって!良いか、Olは余の物だ!魔王の正妻、妻の中の妻たるこの余を差し置いて精液を貰えると思うな!

はあ!?あんたお情けで一回抱いてもらったくらいで何嫁面してんの!?

ラーメスがOlの右腕を抱きしめれば、対抗するようにザナは左腕を抱きしめて怒鳴り返す。

ほら人はそう簡単に変わらない

呟くホスセリはいつも通りの無表情だが、その声色にはどこか呆れが滲んでいた。

そうでしょうか

けれどイェルダーヴは楽しそうに笑んで、怒鳴り合う元氷の女王と元砂の王を見やって、言った。

随分、変わったと思いますよ

マリーの振るう剣撃が豪快な音を立てて、ピラミッドの天井を吹き飛ばす。

ううむ余のピラミッドが三度に渡り破壊されるのを見るのは、流石に複雑な気分だな

いいからさっさと登りなさいよ、後がつかえてんだから!

ぼやきながらマリーが降ろした縄梯子を登るラーメスのむっちりとした尻を、ザナは平手でぺしぺしと叩いた。

ピラミッドを抜け出した先、遥か彼方に聳える山に、ホスセリは目を見開いた。

姫様の山だ!

見間違えようもない、均整の取れた美しい火山。ヤマト一の名峰と讃えられた不尽の山が、遠くに見えた。

今度は走り出してくれるなよ

そう警告しながらも、Olは縄梯子を登って山を見据える。そここそが、目的地。太陽神が待ち受けているであろう、最後のダンジョンだ。

それは、いいんだけどさ

ザナはその手前。火山まで続く空中回廊を指差す。

あそこ、どうやって渡るの?壁ないわよ

それはフウロの国にあった風のダンジョンだ。谷を吹き抜ける風が壁となり、通路のみが連なる空中の迷宮。

宙に氷の壁を作れば風で消し飛ばされてしまうだろうし、かといって通路の上に壁を立てるにはあまりに狭すぎる。今までのようにOlの領域を確保しながら進むのは不可能に思えた。