んっ♡んっ♡んっ♡んぷっ、ちゅぷっ♡
それは百戦錬磨の魔王をして、魂が抜けそうなほどの快楽だった。腰にビリビリと痺れるような快楽がわだかまり、放出されるのを必死に堪える。
じゅぷっ♡ちゅっ、ちゅぅっ♡ちゅっじゅぷっじゅるるっ♡
しかしフローロはそれを察したかのように手と唇の動きを早め、強く先端を吸い上げた。
ぐ、う!出す、ぞ!
堪えきれず、Olはぎゅっとフローロの右胸と彼女の頭を鷲掴みにする。
んっんっんっんっ♡んーっ♡
だが彼女は嫌がるどころか目だけで微笑んで、口淫奉仕にラストスパートをかけた。
その喉奥めがけ、Olは快楽を解き放つ。それと同時に、ほとんど無意識にOlは彼女の頭を押さえて離れるのを防いだ。初体験を済ませたばかりの少女相手に、普段ならば絶対にしない動作だ。
しかしフローロは逃げる素振りも見せず、ぷっくりと頬を膨らませて口内に放たれた夥しい量の精液を受け止めた。
ん♡あは♡
それをそのままこくんと飲み下し、口の端から漏れ出た白濁も指で拭って丁寧に舐め取ると、更に精を求めるかのように肉槍の先端に口をつけてちゅうちゅうと残滓を吸い取る。
おいしいです♡
そしてそのまま、再びOlの男根を舐めしゃぶり始めた。
しゃがんだフローロの股の間は、愛液がとろりと滴り落ちて床に小さな湖を作る程に濡れている。口での奉仕だけでこれ以上ないほど発情しているのだ。にも関わらず、彼女は挿入をねだることもなく、心底嬉しそうにOlの肉槍をねぶっている。
まるで男の性器が何よりも好きだと言わんばかり。淫魔もかくやという淫らさであった。
フローロ
Olの方が耐えきれず、挿れてやるから尻を向けろと言いかけた、その時の事。部屋の片隅に設えられた木の板がカラコロと音を立てた。
Ol、これは
ああ侵入者だな
間の悪いことだ、と歯噛みするが仕方がない。
いました。下層に入ってきています!
未だに怒張しているOlのそこから手を離し、左目だけを見開いてフローロが言った。あいも変わらぬ凄まじい切り替えの早さだ。Olとて、気を静めて反り立ったそれをしまい込むのにはもう数秒の時を要した。
通路を進んであっ、かかりました、Olの作った罠に引っかかりました!
このダンジョンに足りないもの。いくらでも挙げられるが、Olが最初に足りないと感じたのは、罠の存在であった。
罠のないダンジョンなど、ただの地下街でしかない。地下迷宮(ダンジョン)の名が示す通り、迷わせ侵入を拒むことこそがダンジョンの本質だ。だがサルナークですら、己の住処に対する防衛機構を用意していなかった。物を作るスキルが希少だという事情もあるのだろう。
敵は何人いる?どんな連中で、どの罠にかかった
本来であれば魔術を用いて監視するところだが、今の乏しい魔力は出来る限り節約したい。故に、Olはフローロの支配者の瞳を利用していた。
サルナークに従っていた奴隷達の大半は、結局フローロに従う事に決めたらしい。何よりサルナーク自身がOlに従っているというのも大きいのだろう。実際は異なるが、フローロ→Ol→サルナークという支配構造である。
相手の狙いが何なのかはわからないが、いちいち無関係な最下層の住民と関わるとも考えづらい。そのためOlは、奴隷達をフローロの目として最下層の様々な場所に配置していた。
それが、その一人です。一人で、落とし穴に落ちました
一人だと?
相手はどのような手段を用いてかはわからないが、フローロの動向を掴んでいる。ならば、サルナークがその配下になったことも知っているだろう。
コートーの主人は鉄の腕の異名を持つラディコという男であるという。鋼の盾を持ちあらゆる攻撃を無効化するサルナークとは相性が悪いはずだ。ならば部下を用い集団で襲ってくるだろうという事を想定しての罠であった。
罠というのは侵入を完全に阻むものでも、一撃必殺を狙うものでもない。侵入者の勢いと戦力を削ぐためのものだ。
罠があれば人はそれを警戒する。疑心暗鬼は足を鈍らせ、精神を摩耗させる。小さな傷も積み重なれば大きな物となり、体力を奪っていく。
だが敵がたった一人であるならばあまり意味がない。直接打倒した方が手っ取り早いしコストもかからないからだ。
まあ、罠にかかったならいい。捕らえに行くぞ
落とし穴と言っても致死性のものではない。行動力を奪うためのものだ。一人であれば這い上がることも不可能だろう。
いえ穴の中から飛び出てきました
何せここは最下層だ。下の層に突き出る心配がないから、壁や床を操ることの出来るOlにとっては、深くする分にはいくらでも深い穴を掘ることが出来る。かなり深くした上に、すり鉢状の逆に下に行くほど広くなる穴を掘ったから壁面を伝って登ることも不可能なはず。
す、すごい勢いで走ってきまあっまた罠にかかった。吊るされてます
吊るされたということは引っかかったのはくくり罠(ワイヤートラップ)だろう。見づらく迷彩された紐に脚を引っ掛けると、輪にした紐が脚を締め付けそのまま中空に吊り下げるという罠だ。
森の中に張るならともかく、紐を隠すもののないダンジョン内では比較的発見が容易で避けやすい罠なのだが
あっ、紐を引きちぎって降りてすぐ落ちました!?
それを跨いで避けると、直後の落とし穴に落ちるように設置してあった。いわゆる二段構えの罠なのだが、ご丁寧にその両方に引っかかるとは、よほど注意力のない相手らしい。
あっでもまた出てきました!だいぶ頭に来てるみたいです!すごい速度で走ってあっ、捕捉範囲から抜けちゃいました
まあそうなるだろうな、とOlは額を押さえる。一つ目の落とし穴と深さにそう差はないのだから、抜け出すだろう。普通ならば冷静さを失った相手というのは罠にはめるのに最適なのだが、ラディコはそれを強引に突破するパワーを持っているらしい。
詳しい事情を探るため、罠の大半を非殺傷性にしておいたのが仇になった。部屋の外からドカバキと破砕音が聞こえてくる。ラディコはだいぶ近づいてきたようだ。
あっ、サルナークが戦闘に入りました。えっ嘘!?鋼の盾に物理攻撃は効かないはずじゃあ
フローロが驚きに目を見開くが、Olは驚かなかった。敵が一人であるという時点で半ば予想していたことだ。サルナークの能力を知った上で突撃してきたなら、それをどうにかする手段を持っているのは当たり前のことだ。
フローロ、来い
Olはフローロの肩をぐいと抱き寄せる。その次の瞬間、Olが設置しておいた扉が弾け飛んで、先程までフローロがいた空間を切り裂き、壁に当たって粉々に砕けた。