息を保つ術は自分にしかかけられぬと言っただろう。口移しに俺の肺腑で生まれた新鮮な空気を送っただけだ。不要だったか?
不要なはずがない。目に見えない毒素が溜まっていき、いつ死ぬとも限らない環境に身を置きたいはずがなかった。
どうやらお前には荒療治が必要なようだな
ヒリヒリと痛む頬を擦りながら、Olはユウェロイを軽く睨む。
今から、俺はお前が頼んだことしかしない。良いか。命ずるのではなく、対等の立場で頼んだことだけだ
な何だと!?
別にそのまま死にたいのであれば、好きにしていいが
素気なく言い放ち腕を組むOlに、彼が本気であることをユウェロイは悟る。
ぐっわかった。私を、抱いてくれ
とは言え先程も言った言葉だ。二度目ともなればそこまでの抵抗もなく、ユウェロイはそれを口にする。
構わんが、具体的にどうして欲しいのだ?
だがそんな事を言い出すOlに、危うくもう一度拳を振るうところだった。
具体的にだと!? どういうことだ!?
そうだな。まずは前戯をした方がよかろう。そのままでは痛みを伴う
それはつまり、前戯をしてくれと頼まなければならない、ということだった。そんな屈辱的なことができるか、とユウェロイは内心吐き捨てる。
いらん。さっさと終わらせろ終わらせて、くれ
ふむ、そうか?
命令ではなく頼むと心の中でつぶやきながらユウェロイがいうと、そんな葛藤などどこ吹く風でOlは頷く。
そして、既に硬く膨れ上がったものを取り出してみせた。
なな、何だそれは!?
どうした。男の性器を見るのは初めてか?
それはそうだがいや、違う、そういう問題じゃない!
それは、ユウェロイの知識にあるものよりも明らかに巨大だった。
そんなものが入るわけないだろう!
だから、前戯を行わなければ痛いと言っているだろう
そういう問題じゃない、とユウェロイは首を振る。股間からもう一本腕が生えているのではないかと思うほどの太さと長さ。あんな物を入れれば身体が裂けてしまうとしか思えなかった。
ならば、頼めばいいだろう
完全に腰の引けたユウェロイに対し、Olは何でもないことのように言う。
頼む? 何をだ?
痛くしないようにとだ。言っただろう。お前が望むのであればそれを叶えてやると
そんなこと不可能だろう、とユウェロイは思う。だが、どのみちあれを入れなければ死ぬしかないのだ。槍で腹を裂かれるようなものと我慢するしかない。武人として、その程度の怪我には耐えたことがある。
事が終われば我が槍でそれ以上の苦痛を与えてやる、と誓いつつ、ユウェロイは頷く。
わかったなるべく、痛くしないでくれ
心得た。では、ここに横になれ
Olは羽織っていたローブを脱ぐと、それを床の上に広げた。ローブには物理的な衝撃を防ぐ魔術がかかっているため、下に敷けばちょうどよいクッションにもなるのだ。
ローブの上に身を横たえたユウェロイの服を脱がし、彼女の肌に触れる。途端にユウェロイは身体を震わせたが、これは純粋な嫌悪感によるものだろう。
声を我慢する必要はないぞ。どうせ外には伝わらん
だがあえてOlはそう伝えた。
ふん、無用な心配だ。汚らわしい男に触れられて快楽を感じるわけがない
言葉とは裏腹に、声を出すまいと言う意識を発生させるためだ。
Olはゆっくりと、焦らすように彼女の秘裂を指でなぞる。膣内に指を入れることなく、表面を撫でるように。声を出すまいと堪えるほどに、ユウェロイはその愛撫を無視できず、むしろ強く意識してしまう。Olの愛撫に抵抗するように、ユウェロイの身体が小刻みに震えるのが指先から伝わってきた。
無駄なことはするな、さっさとあぁっ!
耐えきれなくなったユウェロイが言うのと同時に指をつぷりと侵入させる。じっと口を噤んでいる間ならばともかく、喋っている瞬間に刺激されては人は声を堪えることができない。
済ませろっ
案ずるな。ちゃんとよくしてやる
そして一度嬌声を上げてしまえば、もはや止められない。Olの指がユウェロイの膣内で蠢くたびに彼女は小さく声を漏らした。男のゴツゴツした指先が、その作りとはまるで裏腹の繊細さでユウェロイの中を撫でる。
弱い部分を的確に、無意識に欲してしまう絶妙な強さで刺激してくる様は、まるで心でも読めるかのようだった。
感じることなどないとっ、言っているだろうっ!
その割には随分良い音を立てているようだな
頑なに否定するユウェロイにも聞こえるように、Olはわざと音を立てて彼女を責め立てる。
肌に触れればわかる。ユウェロイは間違いなく男を知らぬ生娘だ。だがそれにしては膣内は随分と開発されていた。処女であれば媚薬も魔術も無しにここまで感じることなどない。そして何より、他者に身体を委ねることに慣れきっている。
は、ぁっ私は、感じてなどっあぁっ!
ぐちゅぐちゅと音を立てる秘所からは大量の愛液が漏れ出し、ヒクヒクと震える膣壁を撫でる度にきゅうきゅうと締め付けた。頬は上気して何度も喘ぎ声を漏らし、肌は汗ばんで額に髪がしっとりと張り付いている。それでもユウェロイは快楽を感じていると認めない。
あっ、ダメッ、やめっあぁっ、くぅっ! あぁっ! はぁぁっっ!
そしてとうとう、ユウェロイは絶頂に達した。
ま、待てっ! あっ、んんっ! やめろ!
だがそれでも愛撫の手を止めようとしないOlを、ユウェロイは大きく息をしながら制止する。
やめろ?
ややめてくれ、頼む
命令口調を見咎められ、ユウェロイが慌てて言い直すとようやく手が止まった。激しく喘ぎ呼吸を繰り返したせいか、先程までよりも呼吸が苦しく、軽いめまいさえ覚える。
息息が、できない空気をくれ、頼む
先程のように口づけて欲しい、ということか?
とぼけるように問い返すOlに、ユウェロイは一も二もなく頷く。
口づけていい口づけてくれ
頷いても、許可を与えても動こうとしないOlに、頼む形で告げるとようやく肺の中に新鮮な空気が入り込んできた。こちらが死にかけていようと、本当に頼まなければ何もしないつもりなのだ、とユウェロイは悟る。
それで、次は?
前戯とやらは、もういいだろうしてくれ抱いて
これ以上されてはおかしくなりそうだった。それなら、あの太い槍で貫かれた方がまだマシだ。激しい痛みに襲われれば、快楽を感じる余裕もなくなる。ユウェロイはそう考えた。
だが、初めて男に押し入られる感覚は、想像していたものとは全く違った。
ひっあぁっ!
太く硬いものが、己の中に入ってくる感覚。巨大なものが腹を圧迫し押しつぶされるかのよう。
ふぐっうっ、は、あっ!