緊縛と激しい絶頂で体力を奪われながらも、スピナがよろよろとOlの足に手を伸ばす。
その手の先で、マリーがご機嫌でOlのペニスを両手で抱え、先端をちゅうちゅうと吸っていた。
ああーっ!?
娘達が一斉にマリーの存在に気付き、叫び声をあげる。
こ、この子なんて抜け目ないっ!
ちょっと離れなよ! こらっ、って力強!? 何でこの子こんなに強いの!?
はっはっは! 人間の娘よ、この私の目を盗むとは天晴れ!
いや笑ってる場合じゃないんじゃないかなーエレンさん
Ol様の貴重な子種がぁぁぁね、ちょっとでいいから、ちょっとでいいから分けて? お願い
Shal、流石にそれはどうかと思うぞ
っていうか何かその子凄い強力な呪いかかってない?一応種別としては祝福だけど呪いとしか思えない強さなんだけど
マリーあなたは何度、私の前に立ち塞がれば気が済むというのです!
口々に声を上げる娘達に、Olはため息をついて覚悟を決めた。
ええい、全員まとめて抱いてやるから、そう騒ぐな
部屋の中に、一斉に嬌声が響き渡った。
その、部屋の外。部屋であると同時に一切の魔の立ち入りを禁じる結界である、その外で、彼は四本の腕で膝を抱えていた。部屋の中からはやがて、多数の娘達の喘ぎ声が上がり始める。
俺、憎しみで人が殺せるとしたら、一個師団くらい全滅させられる自信あるわ
ローガンのその呟きは、娘達の嬌声によってかき消され、迷宮の地下に融け、消えた。
第10.5話 ダンジョン解説
第10話終了時点でのダンジョン。
階層数:4階層
瘴気:10
悪名:20
貯蓄魔力:30(単位:万/日)
消費魔力:10(単位:万/日)
会議室
侵攻等の作戦を会議するための部屋。それなりの大きさと、四角形の巨大な卓、椅子、黒板と白墨などが用意されている。
ダンジョンコアLV3
部屋の大きさ程度にまで巨大化させたダンジョンコア。1000万程度までの魔力を貯蓄する事が出来る。
ボスの間
侵入者の行く手を遮る為につくられた、階層と階層の間に位置する部屋。この部屋を守る魔物を倒し、鍵を手に入れなければ次の階層へと進む事は出来ない。
独房
特に有望な侵入者を捕らえた際に入れておくための独房。簡素なベッドと排泄のための壷、食事の差し入れ口がある。
寝室LV2
巨大なベッドを用意したOlのための部屋。一度に数人の女を相手に出来るくらいに大きい。
キッチンLV2
専門の職人に作らせた使いやすいキッチン。主にOlの下へと生贄として送られた娘達が腕を振るう。
ミノタウロス
戦力:7
牛の頭と巨大な人の体躯を持つ魔獣。人より少し劣る程度の知能と人をはるかに超える身体能力を持ち、武器を自在に操って戦う。膂力は凄まじく、大斧による一撃は驚異的な破壊力を誇る。
ナジャ
戦力:6最大貯蓄魔力:0.5
Shal
戦力:6最大貯蓄魔力:2
ウィキア
戦力:6最大貯蓄魔力:3.5
冒険者三人娘。一流と呼んでいい腕前ではあるものの、超一流であるエレンやそれを更に越えるユニスと比べると見劣りする。とは言え、彼女達の真価はその連携にあり、互いに協力する事によって格上相手に勝利する事も可能となる。
デュラハン
戦力:8
怨念と憎悪によって戦い続ける不死の騎士。剣技と魔術を縦横に操り、己の損害を気にもせず全力を出せるので、戦力は生前よりも一回り高くなっている。瘴気の溢れる迷宮内では一度倒してもしばらくすると復活するという厄介極まりない魔物でもある。
街を攻めたことにより悪名が広まり、耳聡いものや付近の冒険者がその存在を知ることとなった。訪れる冒険者達や、それを迎撃する魔物達の血が流れた事により瘴気は強まり、簡単な魔術で亡霊を呼び出し、使役できる状況になっている。侵入者が増えた事により防衛形態自体も見直され、ますます侵入は困難なものとなった。
第11話魔王を始めましょう-1
アラン遊撃隊、地下8階を探索中に消息を絶つ、か
報告書に眼を通し、キャスは執務机の上で頬杖をついてため息をついた。そして、その報告書を処理済の山にぽいと捨てる。処理済の山も、処理前の山も、まさしく山の様に彼女の目の前に積みあがっていた。
それらは全て、Olの魔窟に挑み、散っていった冒険者の報告書だ。勿論、全員が全滅した訳ではなく、恐れをなして途中で逃げ帰ったもの、仲間を失って這う這うの体で戻ってきたもの、罠に引っかかって強制的に迷宮の外に排出されたものなど、様々だ。
消息不明はその中で、二割程度を占めていた。これは、迷宮に恐れをなしてひっそりと逃げ出したか迷宮の中で全滅したか。そのどちらかだろう。逃げ出したものについては調査をしていないので割合はわからないが、後者も決して少なくないはずだ。
動く死体となった変わり果てた知り合いに遭遇したという話も聞いている。そして、アラン遊撃隊は恐らく全滅した方だろう、とキャスは殆ど確信に近いものを抱いていた。
魔王Ol本当に厄介ね
次の報告書を取り、手の中で弄びながらキャスは考えた。
邪悪なる魔術師Olが、辺境の町アカニに宣戦布告したのが、3ヶ月ほど前の事。
身の程も知らぬ愚か者が増長した結果だ、あんな田舎町など捨て置けばよい。訓練を積んだ騎士団の常駐するような街に戦いを挑み自滅するだろう。
当時の王国首脳部の見解は概ねそのようなものだった。
キャスは王軍を派遣しすぐにでも討伐すべきだと進言したが、受け入れられなかった。それどころか、稀代の軍師と持て囃されようと所詮は女、惰弱で臆病な事よと面と向かって嘲りさえした。
それから三ヶ月。Olの侵攻は目覚しいものだった。大臣自慢の騎士団は常軌を逸した威力の超長距離魔術によって槍を振るう間もなく木っ端微塵に吹き飛ばされた。
そもそも、辺境の田舎町といえども町を丸々一つ占拠して殆ど無傷と言っていい程度の損害しか出さなかったのだ。それは相手が変わろうと、殆ど変わらなかった。
Olは瞬く間に、七つの町を占拠した。その活動が特異なのは、街を完全に攻め滅ぼすのではなく、自分の領地として奪っていく事だった。
魔物にしろ、山賊にしろ、それらを従えた魔術師にしろ、そんな事はしない。一方的に略奪し、去っていくのみだ。勿論街に居座って街の人間を奴隷の様に扱う事もあるが、その場合は他の街へと侵攻する事など稀だ。
Olのやり方はそれとは全く違う。最低限の監視として魔物を配し、自分に税を納めさせ、領地に問題があればそれを解決さえする。商人は関税を免除され、破壊された街の復興も相まって占拠される前より活気を持つ街さえあると言う。
これはまるで、他国の侵略を受けたのと殆ど同じだ。事実、街の人間の中にはそう感じるものも多く、治める王が変わっただけさと嘯くものさえ少なくない。