その間、本人は後宮で何人もの美女とお楽しみだ。こんなにも美しい妻を放っておいてそれで、よき夫であったといえるのか?
しかしそれは、仕方がないことであるとも言える。王であったカルスにとって最も大事なことは、世継ぎを作ることだ。二回連続で娘を産んだオリヴィアは女腹と断ぜられ、プリシラを産んでからは閨に呼ばれる事さえなくなった。
なるほど王とはそういったものかも知れぬ。王として相応しかったかどうかは、民草や後の世の歴史家にでも判断を任せればよい。だが、夫として、父としてはどうだ? カルスはお前達を慮ってくれたか?愛し、省みてはくれたか?
図星を指され、パトリシアは俯く。世継ぎの男児を熱望し、そしてついには叶わなかった父は、娘達を省みることは殆どなかった。大国グランディエラや宗教国家ラファニスに囲まれた小国であるフィグリアにとって、世継ぎはそれほど大事な物であったのだ。
しかし、それと父としての愛は別物なのではないだろうか。王と父を分けて話すOlの前に、パトリシアは初めてそう思った。
どうだ、オリヴィア?久々に男に弄ばれ、求められる感覚は
Olの巧みな指使いに、オリヴィアの頬は上気し、身体の芯は男を求めて疼いていた。
はっきり言ってやろうか。お前達の王、カルスは、王としても、夫としても、父としても
嫌ぁぁぁっ!!
パトリシアが床の短剣を取り、Olの腕に振り下ろした。細腕で振った剣は骨を断つ事が出来ずOlの腕に食い込んで止まるが、今度は幻術などではなくしっかりとOlの身体に傷をつける。
Olは内心その気の強さに感心したが、そんな事を億尾にも出さず剣を掴んでパトリシアから奪った。すぐに彼の腕の傷が癒えると共に、視線が外れてオリヴィアの身体が自由になる。
しかし、自由を取り戻した彼女が出来たのは、Olの怒りに触れた(ように見える)パトリシアを抱きしめ、庇うことだけだった。
許して許してください
目で睨まれただけで動くことも喋ることも出来なくなるという体験は、オリヴィアの心にしっかりと恐怖を植えつけていた。彼女は震えながらも、しっかりとパトリシアを抱きしめ許しを乞うた。
いいだろう。娘達二人は態度によっては見逃してやっても良い。ただし、それ相応の誠意を見せてもらおうか
我ながら、陳腐な台詞だとため息をつきつつ、Olがそういうと親子はびくりと身体を震わせた。その言葉の意味を理解したのだ。三人の中でプリシラだけが意図をつかめず、涙を浮かべながらもきょとんとしていた。
わかりました、Ol様では、私の寝室へ
その必要はない
Olはオリヴィアの腕をぐいと掴み、部屋の奥のベッドへと彼女の身体を引っ張り、押し倒した。
お前達はそこで見ていろ。動くことも喋ることも禁ずる
Olは後ろの娘達を振り返り、言葉に呪力を込めてそう命じた。王宮の中大切に育てられ、魔術など使うどころかかけられることさえなかった二人の姫君は、自らの母に視線を投げたままその一言で石の様に動けなくなった。
いやいやぁ!
さて、それは本心か?
娘の前で犯されると言う恐怖に顔を引きつらせ、暴れるオリヴィアの身体を押さえ込んでOlは彼女のスカートを捲り上げた。
お前、これは
下着に隠された秘所に指を這わせ、Olは思わず素で呆れた声をあげた。先ほどの愛撫で多少なりと湿り気を帯びていればそれをあげつらって責めようと思っていた。しかし、そんなOlの予想を裏切り、そこは既にしとどに濡れそぼり、ぐっしょりと下着に染みを作っていたのだ。
幾らなんでもこれは濡れすぎだろうまあいい。これだけ濡れておれば愛撫もいらんな
いやいやをするように首を振るオリヴィアの身体を押さえつけながら、Olは下着を剥ぎ取ると自分の一物を取り出し、一気に突き入れた。
ああぁっ
オリヴィアは高く声をあげた。その声色に多分に快楽が混じっている事を感じ取り、Olは呆れを更に強くする。最初は恐怖と畏怖を与え、徐々に快楽を感じさせて恭順させる。Shalに使ったのと同じ方法だが、いきなり快楽を感じられるのは流石に想定外だった。
オリヴィア一人ならそれでも構わないが、他にも二人堕とさねばならないのだからこれは少し都合が悪い。抽送を繰り返しながら、Olは急いで思考をめぐらせた。
どうだ、久しぶりの男の味は。お前の身体は随分喜んでいるようだが?
いやぁ、だめぇ
弱弱しく拒否しながらも、その表情は既に快楽に融け、膣口はOlのペニスを逃すまいとするようにきゅうきゅうと締め上げていた。呆れた淫乱さだが、Olはそれを利用することにした。
俺の物になるのなら何度でもこれをくれてやる。お前は美しい。このような美しい女を抱かぬなど愚か者のすることだ
一瞬、弾みで毎日と言い掛けてOlは言い換えた。本当に毎日求めて来かねないと思ったからだ。
う、うぅ駄目、駄目ですそんな私は、夫を裏切る事など
身を悶えさせ、オリヴィアはそう答えた。ここまで感じながらまだそんな事を言う辺りは大した物だが、その夫の敵に愛人になれといわれ迷う辺りはもう大分参っている証拠だ。
異な事を言う。先に裏切ったのはカルスではないのか?
Olはぐりぐりとオリヴィアの中を蹂躙しながら言った。打てば響く鐘の様に、オリヴィアは高い声をあげ、ぐにぐにと膣内を蠢かせてピットリとOlの物に吸い付いた。或いはリルのそれに匹敵するほどの淫猥な身体に、Olは思わず達しそうになるのを堪えた。
下手をするとこれはある意味、今までで一番厄介な女かも知れん。Olは背筋を這う快楽をやり過ごしながら、気を入れなおした。
これほどの素晴らしい身体を持つお前に女の喜びを与えもせず、他の女にかまけていたカルスの方が先に、お前を裏切ったのではないのか?
で、でもそれは、王としての責務で
Olが用意した逃げ道にまんまと逃げ込むオリヴィアに、
俺ならば、何人女を産もうが全く気にせぬがな
Olはこの上なく優しい口調で丁寧に止めを刺した。
この身が死を知らぬものである事はその手で確認しただろう。世継ぎを作る必要などない。お前はその美しい身を我に捧げ、女であろうが男であろうが好きなだけ孕むがいい。お前の二人の娘達にも、俺が女の喜びを教えてやろう。そして子を孕ませ、この国の姫として王子としてカルスの血を遺してやろう。さすれば、お前は夫を裏切ることにはならぬ。むしろ王家の血を絶やさず次代に繋いだものとして称えられる事になるだろう
悪魔の言葉は、今まであらゆる意味で女として認められなかったオリヴィアの心の隙間にするりと入り込み、奮わせた。
Olは言の葉に飛び切りの毒を織り交ぜ、囁く。