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最後の契約もしっかり守ってくださいね

最後の契約?

きょとんとするリルと共に、Olも首を傾げる。

次は膣内だけでイけるように仕込んでくださると約束したじゃないですか

にこやかに答えるノームに、リルのこめかみが引きつる。

Ol? 次って何かしら?女には困ってないって大見得切ったのはどこの誰だったっけー?

ただの取引の一種だ

はあ。別にいいけどね。全くもう、このエロ爺

何百年も平気で生きる悪魔に爺と言われる筋合いはないな

残念でした、私は少なくともOlよりは下だからね

喧々諤々と言い合う二人を見て、ふとノームは違和感を感じた。彼女のギフト真実の瞳は既にOlの実年齢が83であることも、リルが悪魔であることも見抜いている。しかし、そこに何か一瞬、違和感を感じたのだ。

思わず目をゴシゴシと擦ると、Olに不審げに見られたのでノームはもう一つの気になっていたことを問う。

そういえば、その荷物ですが、どこかへ旅にいかれるんですか?

言われるままに用意した旅装をさして、ノームは尋ねた。

Olは頷き、杖を構えなおした。背負い袋を背に、杖を構えたその姿は冒険者の若い魔術師にしか見えない。

ちょっと、魔王を倒しに行ってくる

Olはニヤリと笑みを見せ、そう言った。

第13話魔王の迷宮を攻略しましょう-1

腕のいいシーフを紹介してもらいたい

酒場で酒を飲んでいたキースに、Olはそう切り出した。

よし来た! それなら俺だ、俺を連れてきな

嬉しそうにそう答え、キースは立ち上がろうとした。

いや、悪いが出来れば女がいい

Olがそう答えると、キースは椅子に腰を下ろしなおし、彼を不審げに見た。

女が? そりゃまた、何でだ

キースは言外に、妙なことをするんじゃないだろうな、と剣呑な雰囲気を匂わせ低い声で問う。

実はな

Olは声を潜め、背後のリルを示した。

あの女は人間じゃない。俺の召喚した淫魔だ。こうして俺が傍で制御している分にはいいが、目を離したり俺が気絶したら周囲の男を襲うかも知れん。快楽と引き換えにカラカラのミイラになってもいいなら、ついてきてもいいが

リルは帽子を軽く持ち上げ、ちらりとキースに角を見せる。

い、いや、遠慮しとく

キースは顔を引きつらせ、そう答えた。

しかしそうなるとそうだな

冒険者に女の比率はそう高くない。全くいないわけではないが、比率は1:9と言ったところだろうか。

あー、アイツがいたか。おい、Faro!

酒場の中を見回していたキースの目が、一箇所で止まる。その先には、小さな少女が口一杯に黒パンを頬張っていた。

ふぁひー?

もぐもぐとパンを咀嚼しながら、少女は行儀悪く返事を返す。ちょっと来いと手招きするキースに、彼女はテーブルの上のチーズを2,3欠け手に取りながら近寄ってきた。

コイツはFaro。ちっこいなりだが、腕は保障するぜ

近くで見ると、その少女はかなり小さかった。小柄なユニスやShalと比べてもなお小さい。マリーと同じか、少し高い程度だろうか。

ふわふわした金に近い茶色の髪を短く切り、大きな口でチーズを齧るその様子は子供の様に見えるが、注意深くOlを観察する緑の瞳は子供にはない慎重さと知性を感じさせる物があった。

クドゥクか。珍しいな

Olが言うと、Faroは驚いたように目を開いて、チーズをごくんと咀嚼した。

知ってるんだ。こっちの連中はみんな、半分野郎(ハーフリング)なんて失礼な呼び方しやがるけどね

クドゥク、通称ハーフリングと呼ばれる彼らは、西方に住む小人族だ。草原の妖精などと言われる事もあるが、アールヴやドヴェルグと違ってあまりその出自はハッキリしていない。小柄なぶん力は弱いが、それを補って余りあるほど身軽で器用な手先を持ち、目や耳も良い。

保守的で平和を好む彼らは滅多に故郷の村を出ず、他の種族と付き合うというような事も少ない。殆ど知られず、人間の子供と間違われることも多い。そんな中で推薦されるくらいだから、腕は確かなのだろうとOlは踏んだ。

こっちのテオが腕の良い女シーフを探してるんだとよ

ふぅーん

Faroはじろじろと無遠慮にOlを眺め回した。

そだな、ご飯奢ってくれるんならいいよ。一応聞くけど、この三人で潜るってわけじゃないんでしょ?

ああ。他に三人ほど仲間がいる。戦力的には十分なはずだ

オッケー!

Faroはカウンター前の椅子に飛び乗ると、奥に向かって叫んだ。

マスター、料理テキトーに10人前持ってきて!

ふー、おなか一杯

ぽんぽん、と膨れた腹を叩きながら、上機嫌でFaroは言った。

えーとテオさんだっけ。あんたお金持ちだねー。まさか止められる事無くおなか一杯食べられるとは思わなかったよ

ちょこちょこと歩く彼女を連れて、Olは迷宮の入り口へと向かっていた。入り口はノームの店の更に奥、街の端に位置している。

迷宮の入り口の手前に、その三人は立っていた。大、中、小とバラバラの身長が並んだその人影は、全員フードを目深にかぶって顔を隠しており、怪しいことこの上ない。

警戒に歩みを止めるFaroに、Olは問題ない、仲間だと声をかけた。

待たせたな

Olが三人に声をかけると、一番背の高いものが答えた。その声色から、Faroは答えた者が女だと気付く。それどころか、誰であるかにすら思い当たった。

ねえ、この人って

話は迷宮に入ってからだ。ここでは人の目がある

う、うん

促すOlにこくりと頷き、六人の冒険者は迷宮への階段を下りていった。

酷い臭いだな

腐臭と死臭、血の臭い。それに瘴気がブレンドされた凄まじい悪臭に、Olは顔をしかめた。

臭いなんて気にしてたら、冒険者なんてやってられないよ。ねえ、そんなことより、あんた達ってさ

Olが目配せをすると、三人はフードを下ろす。その下に現れた顔は、Faroの予想したとおりの物だった。

やっぱり! あんたたち、アラン遊撃隊の三人じゃないか!壊滅したって聞いてたけど、生きてたんだね!じゃあテオ、あんたがアラン? いや、違うか、女と見紛うばかりの美少年って話だもんね。それに、残りの一人のあんたは?

Faroはリルを見つめ尋ねる。

コイツは俺の使役する使い魔だ。この三人は死んだことになっているからな。あまり騒ぎ立てられたくなかったから、ああしてフードを被ってもらった

はーじゃあ、リーダーのアランを助けに行くってわけ?テオは、その為に雇われた魔術師って所?

まあ、そんなところだ

Olの適当な説明に、なるほどね、とFaroは頷いた。

でもアラン遊撃隊って、ここにいたのは結構前だよね。このダンジョンは日々拡張されてて、今は数ヶ月前よりもっと危険になってる。第二階層までは案内できるから、注意してあたしについてきて