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先生も運転席から下りてきた

吉田くんそれじゃあ、まだ頭が高いわよッ

先生はオレの所にツカツカと歩いてきて、黒い革のパンプスでオレの頭をグッと踏んだッ

オレの頭が、ゴリゴリと砂利の中にめり込むッ

お、お願いしますッお願いしますッせ、先生、お願いしますッ

先生は、つま先でオレの顔をドンと蹴ったッ

目から火花が飛び出すッ

一昨日、殴られた顔にまだ激痛が走るッ

鼻から血がブワッと出るッ

おおお、お願いしますッお願いしますッ先生、お願いしますッ

それでも、オレはすぐに土下座の体勢に戻る

砂利に頭を埋めて、必死に先生に嘆願するッ

吉田くん、そんなに白坂さんが欲しいの

白坂さんを手に入れるなら、何でもする

あたしが人を殺せって言ったら、殺す

はいっどんなことでも、しますッ

あたしが死ねって言ったら、あなた死ぬ

し、死にますッッッ

それはオレの正直な思いだった

オレは、白坂さんが欲しい

他の男に取られたくない

オレだけのものにしたい

どんなことをしてでも

ふふふふふふ

不意に、先生が笑い出した

いいわ本当に面白い子気に入ったわじゃあ、とりあえず一週間、白坂さんは吉田くんの自由にさせてあげるわ

い、一週間

オレは、砂利から顔を上げて先生を見上げた

鼻血がたらーっと垂れて落ちる

先生は、堕天使の様な笑顔を浮かべている

まずは一週間あなたの行いが良ければ、その次の週も延長してあげるでも、もしあなたが少しでも、あたしの意に反する様な行動をした時には判るわね

白坂さんは売春させられてしまう

さ、逆らいませんぜ、絶対に逆らいませんな、何でも、せ、先生の言う通りに行動しますっだだだだ、だからだからぁぁッ

オレはもう一度、石の中に額をこすりつけた

ホント、面白い子そういうことだから白坂さんあなたは一週間、吉田くん専用の売春婦をやってあげてね吉田くんとセックスしたら、ちゃんとあたしに報告するのよセックスの内容に合わせて、あなたの労働賃金を支払ってあげますからね

オレが開けたままになっている、車のドア

その向こうに、へたりこんでいる白坂さんの姿が見えた

白坂さんが、オレを見下ろしている

醜い物を汚らわしい物を見るような瞳で

駐車場での別れ際弓槻先生は、白坂さんに幾つかのことを命令した

判っていると思うけれどあなたがもう処女ではないということは、誰にも言ってはダメよ今日は一日、今まで通りに学校生活を送りなさい

今まで通りですか

当たり前でしょあなたの様子が変だと、クラスの子や遠藤くんが不審に思うでしょ昨日までと同じ日常を演じなさい

それから一つ、賭けをしましょうか

先生の口が歪む

また何か、悪巧みを思いついたらしい

賭け、ですか

そうよ今日、遠藤くんは吉田くんと暴力事件の日以来に会うのよね

オレは、昨日は教室に行っていない遠藤とは、顔を合わせなかった

もし、今日、遠藤くんが吉田くんに暴力を振るわなかったなら今日はもう、吉田くんとセックスしなくていいわ

でももし、遠藤くんが吉田くんに暴力を振るった場合は遠藤くんが吉田くんを叩いた数だけ、あなたは吉田くんに犯されなさい

白坂さんの眼に、また涙が溜まる

白坂さん、判ったの

いい返事ねそうそう、授業が終わったら、あなたと吉田くんは教室に残っていなさいいいわね

はい、判りました

ああそうだ、吉田くんあなたの口座は調べている時間が無かったから、直接持ってきたわはい、これ

先生はそう言って、オレに茶封筒を差し出した

本来なら、あなたにはお金を払ってもらいたいところだけどあなたの言動は、あたしをとっても楽しませてくれているからこれまでのセックス代、三万四千円入っているわ

え、ええっと

白坂さんが見ている

オレを侮蔑の眼で

う、受け取れません

いいから、持ってなさい白坂さんとのことで使えばいいわホテル代とかね

先生はふふふと笑って、オレのポケットに封筒をねじ入れた

そうそう、もう一つ忘れていたわこれ、二人に克子から

そう言って先生は、車の助手席から二つの包みを取り出した

な、何です

お弁当よ二人とも、お昼の用意をしていないでしょあの子が気を利かせて用意してくれたのよ

お弁当

な、何て気の利く人なんだ

克子さんて、いい人なんだか悪い人なんだか、全然判らない

オレは、震える手で包みを受け取る

じゃあ、また後でホームルームで会いましょう

そう言って弓槻先生は立ち去ち去ろうとする

ふと、立ち止まって白坂さんに近寄る

先生の接近に怯える白坂さんの匂いを、くんくんと嗅ぐような仕草をして

白坂さん、あなた臭いわよ男の精液の匂いが、ぷんぷんするわ

屈辱に耐える、白坂さん

弓槻先生は、はははと笑いながら去って行った

教職員用の駐車場には、オレと白坂さんだけが取り残される

くっこんな物ッ

白坂さんは、弁当の包みをジッと見てそれを振り上げて、地面に叩き付けようとしたッ

ダメだよ白坂さんッ

オレの声に、白坂さんの手が止まる

きっと弓槻先生、チェックしてるよオレたちが、ちゃんと克子さんのお弁当を食べるかどうか

校内に張り巡らされている監視カメラのことは、言わなかった

それでも白坂さんは、弓槻先生ならきっと確認するだろうということは判ってくれたらしい

白坂さんの眼がオレを見る

厳しい眼怒りの眼

吉田くん、あなたは何なのよッ

お、オレは

あんな先生の手先になって恥ずかしいとは思わないのッあたしに、あんな酷いことをしてっ

白坂さんの全ての怒りがオレに向けられる

嘘つきキチガイ卑怯者ヘンタイ

オレの胸を突き飛ばすッ

オレは、お尻から地面に倒れた

あんたなんか、あんたなんか大ッ嫌いよッ

白坂さんは、小走りで校舎へ向かう

追っかける、オレ

白坂さんは局部に鈍痛がするのだろう

ガニマタで、よたよたとしか歩けない

だから、すぐに追いついた

白坂さんのその後ろをオレは歩く

朝の七時過ぎの、校舎の裏

誰もいない通りかかる生徒はいない

付いてこないでッ

だ、だってお、同じクラスじゃないかッ

あたしに話し掛けないでよっ

白坂さんの憎しみの眼

激しい憎悪の視線ががオレを貫く

な、なんでそんな眼でオレを見るんだよッッ

オレは、笑っている白坂さんが好きだった

オレは、白坂雪乃の笑顔が好きだった

なのに、なんでこんなことに

オレの心が破裂するッ