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彼女は携帯を取り出して、さっきから何やらゴソゴソやっている

夕べのうちに、遠藤から来たメールでも読んでいるのだろうか

オレも、自分の席に座っている

オレの席は廊下側の壁際、前から4つめ光の当たらない、暗い座席

教室の入り口からは、死角になっている

元々、クラスの中では影の薄いオレだ

他の生徒たちから、存在を忘れられることも多い

そんな影の席から、オレは朝の光を浴びた白坂さんの姿を眺めていた

いつものように

オレが白坂さんを見ているいつもの角度

いつもの、制服姿の白坂さん

でももう、違う

あそこにいるのはオレ専用の売春婦

少なくても今週いっぱいは、あの身体を自由に出来る

頭の中で、白坂さんの裸を思い出す

あの制服の下にあの、おっぱいがある

ピンクの乳首がある

可愛いお腹が

そして締まりの良い、処女を失ったばかりの蜜壷が

オレは、その全てを知っている

眼で、それを確認した

手で、それを触った

そしてペニスで彼女を犯した

オレは、知っているっ

遠藤が知らない白坂さんの肉体の全てを

こっちを見ないでニタニタして笑わないで気持ち悪いわっ

白坂さんが、オレにそう言った

オレそんな風に彼女を見ていました

うん、見ていたなあ相当、邪なイヤらしい眼で

だけど好きな女の子から、真っ正面に嫌悪の言葉を浴びせられるのは、やっぱりショックだ

ご、ごめんごめんなさい

謝ってしまった後で、気が付く

あっもっと、強気な態度で出れば良かったかも

オレ、さっき白坂さんを酷い言葉で脅迫したばかりなのに

白坂さんの方を見ると、彼女も驚いたのか、ぽかんとした顔をしている

だっ、ダメだもっと、ガツンと強いオトコでいなくちゃ

白坂さんは、オレ専用の売春婦なんだぞっ

だけど次に続ける言葉が出てこない

うわわわ何か、気まずい空気が教室の中を漂う

ええっと

こういう時弓槻先生なら、白坂さんに強ダメージを与えるような厳しいセリフをさらっと言うんだろうけど

と、困っていた所へ廊下からこちらへやって来る足音が聞こえてきた

女生徒が二人オレたちの教室の中に入ってくる

お早う、白坂さん早いのねっ

お早う、雪乃

二人目の少女

それは、山峰さんだった

うちのクラス委員の女の委員長(オレもそうだけど)で、スラッとした体型の陸上部員

そうだ、弓槻先生が言ってたっけ

山峰さんは、白坂さんの親戚だって

あっお早う、荻野さん山峰さんも

山峰さんは、白坂さんのことを名前で雪乃と呼ぶ

なのに白坂さんは、山峰さんと名字で

何か意味があるのだろうか

山峰さんは、そのまま自分の席に着く

荻野さんは白坂さんに親しげに話し掛けた

珍しくない白坂さんは、いつも七時四十分のバスでしょ

そうなんだけど今日は、ちょっと早く目が覚めちゃって

それで、こんな時間に教室に着いちゃったの

うん誰か来てるかなぁって思ったんだけど朝練の子とか

馬鹿ね部活の子は、もう少ししないと来ないわよ

すごいなあ白坂さんは

さっきまで絶望のドン底みたいな顔をして泣いていたのに

クラスメイトの前では、いつも通りの笑顔の可愛い美少女に戻っている

そういう荻野さんたちは朝練じゃなかったの

ああ、あたしたちはいつもより早く上がらせて貰ったのちょっと、体調がね

えっ荻野さん、具合でも悪いの

違うわよあの日よちょっとキツいの四日目だから、量は少ないんだけど恵美は違うんだけど、あたし一人じゃ恥ずかしいから一緒に連れて来ちゃった

あ、あの日ってせ、生理かっ

オレは、思わずイスをガタンと鳴らしてしまったっ

えっ吉田くん、そこに居たの

あわわわや、やっぱり、オレの存在に気付いていなかったのね

ええっとどどど、どうしよう

それ、どうしたのよっ、吉田くん

今まで自分の席に座ったま、黙り込んでいた山峰さんがオレの顔を見るなり、大きな声を上げた

な、何

何じゃないわよっどうしたの、その顔

オレは一昨日、遠藤に屋上で殴られて内出血したところが青痣になってるし、擦り傷はあるし、目の上は腫れているしとんでもない顔になっているんだった

痛いのが当たり前になっていて、感覚がすっかり麻痺してた

ていうか、夕べからずっとアドレナリンが出まくってたから、顔の傷も全然痛まなかったんだけど

やっぱりこれスゴイことになっているんだよなあ

い、い、い、いや、あのこれは

山峰さんの後ろで、白坂さんが必死な顔をしている

胸で両手を合わせて、オレに頭を下げる

判ってるよ

遠藤のことは言わない言うわけがない

ちょ、ちょっと、い、家で、か、階段から落ちたんだよッ

我ながら酷い言い訳だ

しかし、とっさに出たのはそんな言葉だけだった

ところが、山峰さんは

そんなのどうでもいいからっ

はいっ

吉田くん、鼻の周り血だらけよっ気付いてないのっ

は、鼻

あっさっき、弓槻先生に革靴で蹴られた思い切り

それで、鼻血がドバッって出たから、手でゴシゴシやってティッシュを詰めて

どうにか血が止まったと思ったから、そのまんまにしてたんだけど

そういえば、あれから一回も鏡で顔を見ていない

もしかしてオレ、今の今までずっと血まみれの顔だった

鼻の周りを血で真っ赤にしたまんま、白坂さんを脅してた

血まみれのまんま、教室まで来ちゃってたわけ

えっ何で、弓槻先生も白坂さんも教えてくれないの

オレもしかして、嫌われてる

そりゃ嫌われてるよな、多分

そんなどうでもいいことが、頭の中をぐるぐる駆け巡る

いいからっ、早く保健室に行きましょうっ

山峰さんが、オレの腕を取って引っ張る

さあ、早くっ

そのまま白坂さんともう一人の女の子が驚いた顔をしている中

オレは、山峰さんに保健室まで連行された

しかし朝のこの時間だ

保険の先生は、まだ来ていなかった

保健室は、鍵が掛かったままになっている

仕方ないなぁ吉田くん、すぐ戻って来るから、ここで待っていて

絶対にここから動かないでねっ

そして、山峰さんはバサバサとスカートを翻して、走っていく

その後ろ姿背が高くて、均整の取れた骨格

陸上部員の彼女のフォームは、とても綺麗だった

数分後、山峰さんは戻ってきた

ハァハァと荒い息で

部室から救急箱を持って来たわっ

山峰さん運動部の部室棟まで行ってくれたんだ

オレのために

彼女はパコンとプラスチックの救急箱を開けて、消毒液と綿を取り出す