嘘なんだ
オレたちが見てきた、生徒会長としての岩倉さんの姿は全て
先生の言う通りにしたわ自分の心を殺して、みんなが望んでいる生徒会長に相応しい女の子を演じてみたそしたら、当選したの今では、仲良くしてくれる子がたくさんいるわこんな私を慕ってくれる後輩もいる生徒会長になったら、先生からの呼び出しはなくなったわ多分、私にもう飽きたんだと思う先生は、一時は私を絶望のドン底に突き落としたわでも、私に生きていくための希望も授けてくれた私に大学生の彼氏が居るってことは、話したわよね
私自分はもう一生恋愛できないって思ってたでも、あの人に出会って好きになってその時に、先生に言われた方法を試してみたの
それって
そうよ演じてみたの彼が望んでいるであろう恋人の姿を想像して、演じてみるそうしたら、自分の過去の体験に鍵を掛けることができたわ一生懸命演技して彼を愛している、愛しているの私
ほろほろと泣く、岩倉先輩
そんな先輩を、白坂さんがそっと抱き締める
岩倉先輩は、あたしとは違うんですね
白坂さんの言葉に、岩倉先輩が驚いて顔を上げる
さっき、言って下さったじゃないですかあたしはあなたと同じ体験をしてきたって
でも違う岩倉さんの方が、よっぽどあたしより酷い体験をしている辛いことを乗り越えてきているそれなのに、あたし
ずっと自分が世界で一番辛い思いをしているって思い込んでましたっあたし、何てバカなんだろ何て、嫌な女だったんだろっ
泣き出す、白坂さん
今度は、岩倉先輩が抱き締める
いいのよ気にしないで気にしないでね
オレはそんな二人の画像を見続けていた
さて、そろそろ行きましょうか
と、弓槻先生が立ち上がったコーヒーのカップを片付けている
えっど、どこにですっ
岩倉さんたちとの待ち合わせ場所よあの子たちより、先に着いていたいから
オレは、モニターの中の二人が気になっていた
仕込みは済んだわこれ以上は新しい情報は出ないわよ岩倉さんも、あたしが時間に厳しいことはよく知っているから、約束通りに白坂さんを連れて来てくれるでしょうし
そう言って、モニターの電源を切ってしまう
ほら、行くわよっ
こうなったら、仕方がない
オレたちは部屋を出る
一度、南門から校外へ出る
学校の外周の塀をぐるりと廻りこんで東門へ
人通りは全く無い
新校舎建築の時に工事車両の通行を妨げるって名目で、大通りから通じてる道を閉鎖させたの今では近隣に住んでいる人以外は、この道を通らないわっ
って、弓槻先生、そんなことまでやってるんですかっ
長い塀の先に、ようやく大きな鉄の門が見えてきた
門の前にも工事用のフェンスがくくりつけられている
フェンスを縛っている太い針金と鉄の鎖には、赤い錆が浮いていた
もう何年も閉鎖されたままなんだろう
先生は、オレンジ色と黒に塗り分けられたバリケードを乗り越えて、門の脇にある守衛室へ向かう
守衛室は、学校の壁に埋め込めらているような構造になっていた
この守衛室から中へ入れるわ
確かに、守衛室は校内と校外の両方にドアが着いていた
両方のドアを開ければ、校内へ抜けられる
先生は鍵を取り出し、守衛室のドアを開いた
吉田くんは、しばらくここに隠れていなさい
まだ、岩倉さんにあなたを会わせたくないのよ
何か、計画があるんだろうか
オレは、仕方なく守衛室の中に隠れる
守衛室の窓から、空が見える
四月の終わりもう、五時近い
晴れた空は、澄んだ青から、夕方のオレンジ色に変わろうとしている
先生、白坂さんを連れて参りました
外から声がする岩倉先輩の声だ
ご苦労様岩倉さんは帰っていいわ
うわわわ
いつもの半分の量で済みません
前回の推敲してから書き始めると押せ押せになって、進まないっ
じ、時間がぁぁ
とにかく、次話は雪乃ちゃんのセックス話です
ごめんなさいっ
明日は今日の分まで増量できるよう、がんばりますっ
21.セックス部長・白坂雪乃
守衛室の陰に隠れて、オレは弓槻先生たちの会話を聞いている
白坂さん私は、放課後はいつでも生徒会室にいるから何かあったら、いつでも頼ってどんな相談にも乗るわ
眼鏡の生徒会長岩倉先輩の声がする
岩倉先輩、ありがとうございましたっ
涙声の白坂さん
がんばってねどんな辛いことも、いつか終わるから私が保証するわねっ
白坂さんを励ます、先輩
弓槻先生白坂さんには、あまり酷いことはしないであげて下さい
岩倉先輩が、先生に嘆願する
さあ、どうしようかしら結局は本人次第なんじゃないかしらあなたの時だって、そうだったでしょう
オレの位置からは見えないが先生は、きっと笑っている
とにかく、岩倉さんはお帰りなさいそれとも、あなたも参加していくしばらくしていないでしょセックス
私は
岩倉先輩の声が震える
売春させられ続けた過去セックスへの恐怖が蘇っているのだろう
あ、あたし、がんばりますっがんばりますから先輩は、お家へ帰って下さい
白坂さんが、二人の間に入ったらしい
そっか今は大学生の彼がいる岩倉さんを、巻き込みたくないんだ
でも、いいのかな白坂さん
弓槻先生の前で、そんなことを言っちゃって
あら、やる気満々なのね白坂さん、どう、大分セックスには慣れてきたそろそろ、気持ち良くなってきたんじゃない
き、気持ちよくなんかないです
じゃあ、気持ちよくなるまで、何度でもセックスさせてあげるわっ
ほうら
そんな風に、あたしはならないならないわっ
無理矢理のセックスでも、ずっと続けていくうちに気持ちよくなってしまうのよ女の身体はそういう感じにできているんだから
そんなの嘘よっ
明治の初めにね遊郭って、判るかしら売春婦のたくさんいる場所ねそこの娼婦たちに聞き取り調査をした変わった学者さんがいたのよ色んなデーターが残っているのその中にあったわ自分が嫌いな客の相手をしなくちゃいけなかった娼婦の証言でどんなに嫌っていても、何回もしているうちに絶頂に達してしまうようになったっていうのが身体が慣れていってしまうのね
先生のククククッと言う、笑い声
嫌嫌だあたしっ
白坂さん、大丈夫よ大丈夫だからねっ
何とか白坂さんを落ち着かせようと、声を掛ける岩倉先輩