どんなにがんばっても、七時半か八時ねあんまり遅くなるようだったら、あたしが車で送ってあげるわお母様にも適当に誤魔化してあげるから
いいですそんなことしないで下さいっ
あーら、あたし、外面はいいのよ大丈夫よお母様を心配させるようなことは言わないから
お願いです家族は、巻き込まないで下さいっ
先生の言葉に強く反発する、白坂さん
弓槻先生は、フンと鼻を鳴らした
あらそうじゃあ、精々がんばってちょうだいなるべく早い時間で五回済ませられるようにねっ
先生の嘲りの眼完全に白坂さんをからかっている
その冷たい眼が、克子さんの仕立てた部屋の内装をもう一度チェックする
白坂さんこの部屋は今日からあなたの部屋だから
あなたの仕事部屋よ売春婦には、自分専用の仕事部屋が必要でしょう
売春部屋
白坂さんの
確か、白坂さんはまだクラブに入っていなかったわよね
まさか
今日の日付で、新しいクラブの設立届けを出しておいたわ明日には、岩倉さんが生徒会の認可のハンコを押してくれるはずよ部長は白坂さん顧問はあたし部員は取りあえず、吉田くん
ゾッとする白坂さん
クラブの名前は、セックス・クラブ
ショックで全身の力が抜けてしまう白坂さん
十六歳の少女がへなへなとその場にへたり込む
そそんなの嫌ですっ
セックス部長を押しつけられた白坂さんが泣いて、抗議するっ
仕方ないでしょもう届けを出しちゃったんだから
ど、どういう部活だ
で、でも、クラブってことは、他の生徒も希望すれば入れるんじゃないのか
っていうかまさか、先生、白坂さんに校内で売春させるつもりじゃ
もう吉田くん、そんな顔しないのっ安心しなさいあくまでも、セックス・クラブで売春クラブじゃないから克子クラブの規則を読んであげて
先生の命令に克子さんがエプロンのポケットから、何やら紙を取り出す
それでは不肖あたくしめが、セックス・クラブ規則を読み上げさせていただきますっ
えっへんと、克子さんが咳払いをする
ひとつ、このクラブの活動内容は、不純異性交遊の実践と研究セックスを通じて、部員同士のコミュニケーションを円滑にしますっ
な、なんだ
ふたつ、このクラブの目的は、高校在学中の妊娠と出産決して避妊をせず、高校生である間に可能な限り妊娠・出産を体験しますっ
絶望に身体の震えが止まらなくなる、白坂さん
良かったわねえあなたはまだ一年生だから、三回も産めるわっ
先生の勝利の笑み
白坂さんは、身体を丸めてギュッと縮こまって耐えている
みっつ、このクラブの会員は、部員以外の人間とはセックスできませんまた、入部希望者は顧問の先生の許可が無い限り、入部できないものとしますっ以上っ
克子さんが高らかに読み上げた
そういうことで、あたしが許可しない限り新入部員は入らないからしばらくは、うちは少数精鋭でいくつもりよだから吉田くん、白坂さんとガンガンセックスしなさいねっ
ふぅ
とりあえずは、無差別な乱交とかは、させないつもりらしい
ちょっとだけ、安心する
ああ、そうだ克子、今、思いついたから、規則をもう一条書き足しておいて
はい、了解ですっ
克子さんはペンを取り出し、メモの準備をする
いいかしらよっつ、このクラブに一度入部した者は、決して退部することはできないどんな理由があろうと、退部は決して認めない
震えている白坂さん
はいメモ致しました
ニコニコ笑っている克子さん
嘲り笑いの弓槻先生
オレは今どんな顔をしているのだろう
二人とも、死んじゃったりしたらダメよもし、高校在学中に死んだ場合は、セックス・クラブの名前で学校葬をするからね
ホントにやるんだろえなあ、この人なら
ああ、あなたたちの卒業アルバムのクラブ活動のページにも、ちゃんと写真を載せてあげるわ部活中のあなたたちのセックスしている姿と、成果としての赤ちゃんをね
嫌嫌嫌ぁぁっっ
絶叫する、白坂さん
ついに、耐えきれなくなったらしい
ああここの建物は立ち入り禁止区域内だから、どれだけ叫んでもいいわよっ
そうだここは校内とは高い工事用の鉄塀で仕切られているし、校外の門からも少し離れている元々、東門前の道は人通りが少ないし
そうだ、あたし吉田くんに部員カードを作ってきてあげたんだ
そう言って先生は、一枚のカードを取り出す
それは、お店のスタンプ・カードみたいなものだった
表にはオレの名前と、会員番号001が印刷されている
中を開くと十四個のゆきのと書かれたスタンプが押されていた
カードの取り扱いも、部長である白坂さんの役目だからセックスした回数だけ、吉田くんのカードにスタンプを押してあげるのよいいわねっ
カードは百個までスタンプが押せるようになっていた
こっちを見なさい、白坂さんせっかく、スタンプ・カードの説明をしてあげているんじゃない
白坂さんは両手で顔を覆っている
徹底的に、弓槻先生を拒絶しようとしているらしい
なあに、白坂さんセックス・クラブの部長は、そんなに嫌
挑戦的な弓槻先生の言葉に、白坂さんは静かに呟いた
嫌です嫌に決まってます
弓槻先生の口が歪む悪魔の笑み
そうそんなに嫌なら仕方がないわじゃあ、こうしましょうもし、一週間でこのカードのスタンプがいっぱいになったらその時は、白坂さん、あなたを解放してあげるセックス・クラブとかも全部無し今までのあなたのセックスの映像もみんな破棄してあげるもちろん、遠藤くんのことも助けてあげるわっ
えっっと、先生の顔を見上げる、白坂さん
今朝、吉田くんと約束した期限も一週間だったでしょ今日は四月二十七日だから五月四日の午前〇時までってことにしましょうかっ
一週間
五月四日のまでの一週間で、カードのスタンプ欄を全て埋める
カードのスタンプ欄は百個でも、昨日の今日で、すでに十四個分は押してあるわこのペースなら残り一週間で八十六回のセックスなんて、簡単でしょ
そうは言いますけれど先生
夕べは、オレ何か変な薬を盛られてましたし
びっくりするくらい射精できたけれど身体に負担があるような感じだったし
単純計算でも、残り七日で毎日十回以上でしょう
む、無理ですよぉっ
ややるけど
どうする自由になるチャンスを捨てる諦める
小馬鹿にしたような口調で、白坂さんを煽る先生
そうやってみるのね、白坂さん
夕暮れのオレンジの光線が、窓からオレたちを照らしている
その光に照らされた先生の顔は、血の色に染まっているみたいだった