Выбрать главу

オレの腕の中に二つ年上のお姉さんが居る

やっぱり吉田くんには敵わないね

モニターでの監視を続けながらマルゴさんが、そう言った

あたしがシャワー・ルームの中で寧を落ち着かせるのには、1時間近くかかったのに吉田くんは、1分も掛からないんだから

そんなことありませんよ寧さんは、マルゴさんのことが好きなんですだから、1時間掛けて、たっぷりマルゴさんに甘えたかったんですよ

おやおや吉田くんて、そういうことを言う子だったっけ

言いますよ本当にそう思っていることだからあの時、寧さんに必要だったのは寧さんの心を落ち着かせることができたのは、やっぱりマルゴさんですマルゴさんは、寧さんのお姉さんだから

お姉さんにはお姉さんの役割が弟には弟の役割がありますよねマルゴさんは、いつもオレたちのお姉さんをして下さっててオレ、とっても感謝していますだから、オレも、オレの役割を一生懸命果たしていきますオレたちみんな、もう家族なんですから

オレの言葉に、寧さんが感激してくれる

マルちゃんヨッちゃんが、あたしたちは家族だって家族って言ってくれたよ

あたしのことはまだ、近所に住んでいる他の家のお姉ちゃんぐらいに思っていて

吉田くんの言葉は嬉しいけれど今のあたしは、君に癒やされてはいけないんだよ今は戦闘状態の真っ最中だから、勘が鈍ると困るんだ

いや、あたしの方こそ申し訳ないんだけどジリジリした感覚を忘れたくないんだ心が落ちつくと大切なことを見落としてしまうこともあるしね

マルゴさんは本当に自分に厳しい人なんだ

いや、そうじゃない

克子姉やミナホ姉さんが、オレたちを気遣って場の雰囲気を和やかにしてくれているから、ついつい忘れてしまうけれど

オレたちの現状は、本当にどうしょもなく厳しいんだ

不安に押し潰されるわけにはいかないけれど

緊張感をなくすわけにもいかない

だからマルゴさんは極力、厳しい表情を保ってくれている

それが、黒い森という家族の中でマルゴさんが果たしている役割なんだ

あれそう言えば、他の人たちは

監視室の中にはマルゴさんと寧さんの二人しかいないけれど

ああ、克っつんはお台所メグちゃんとマナちゃんはシャワー・ルームだよ

寧さんが、そう答えてくれた

雪乃は

オレは心配になって尋ねる

雪乃さんは、監禁室だよ

マルゴさんがそう言ってキーを操作する

一つのモニターに狭い空間に閉じ込められている雪乃の画像が映る

雪乃は裸の上に白いブラウスを一枚羽織っただけの格好で、うなだれている

監禁室なんてあったんですか

うん、一応ね使うのは、これが初めてだけどあれ、畳二畳分のスペースしか無いんだ床から天井までも180センチしか無いし

本当に狭い部屋なんだ

あんまり使いたくは無かったんだよあの部屋に閉じ込められるのは、精神的にキツイからね

確かに閉所恐怖症とかになりそうだ

ていうか雪乃ぐったりしていてヤバそうだ

でも、仕方ないだろミナホが、雪乃さんと恵美さんたちを隔離した方が良いって言うんだから

そうか雪乃とメグ・マナが顔を合わせずに済むように

ミナホ姉さんは、先に雪乃を監禁室に閉じ込めたんだ

寧さんマナのこと、お願いできませんか

うんミナホ姉さんの言う通り

マナは、メグと離して寧さんに面倒を見てもらう方がいい

うん判っている先生からも、そう言われているから

さすがミナホ姉さんは、もう動いている

あたしもさその方がいいんだ誰かの相手をしている方が、気が紛れるし

寧さんは、オレに微笑んで言う

さシャワー・ルームの二人が帰ってくる前に、この映像は消すよ

そう言ってマルゴさんは、雪乃の監視モニターを消した

あたしとミナホで、ちゃんと監視しているからこっちの手元の小さいモニターでねだから吉田くんは、雪乃さんのことは心配しなくていいからね

今回書いた、昔嫌な思いをした場所に行ってみるというのを私はたまにやります

昔、女の子にふられた場所とか

屈辱的な思いをした場所とか行ってみて

意外と、何も感じない場合はそういう昔のできごとも、きれいに自分の中で過去になっていて、現在の自分には影響がなくなっていることを知ります

また嫌な感情が湧いてくる場合は全然、昔の傷が癒えていない自分に驚いたりもします

数年おきに、行ってみたりすると前は辛かったのに、今回はもう何も感じないとか自分の変化に気付いたりもします

結構、自分自身の思っていることとは別の結果が出て、面白かったりします

ああ、自分はあの人のことを本当に好きだったんだなと判る時もあれば

何だ、本当はそんなに好きじゃなかったんだと気付く時も

屈辱バージョンもそうですね

大きな失敗が、以外と心のダメージになっていなくて些細なことが、未だに傷として残っていることに気付く

うむそろそろまた、どこかへ行ってみようか

この半年は、この作品に掛かり切りで、ほとんど遠出をしていませんし

194.そんな親戚があるか

あれそう言えば

ミッチィは、どうした

オレが、キョロキョロしていると

誰を探しているの

と、寧さん

いや、あの

工藤さんなら、お父さんに朝ご飯を届けに行ったわ

キッチンから克子姉が、お盆を持って現れる

お盆の上には、おにぎりがいっぱい乗っていた

徹夜で警戒していただいているんですものせめて、朝ご飯くらいはね

克子姉が、お盆をテーブルに置く

昨夜から3件工藤さんのお父さんたちが、対処してくれているんだよ

3件てシザーリオ・ヴァイオラですか

寧さんの表情が、暗くなる

ヴァイオラの偵察っぽいのは1件だけだね後の2件は、白坂家に雇われた人間だと思う3件とも、工藤さんのお父さんと別働隊が倒して、どこかへ連れて行ったよ

別働隊

あたしが確認しているだけで、工藤さんのお父さんたち以外に、2グループが巡回してくれているよ焚き火とか派手にやって、敵の眼を惹き付けているのが工藤さんのお父さんたちのグループで後の2グループが、黙々と処理しているイメージかな

そうか工藤父には、オレたちのまだ知らない部下がいるって言ってたもんな

警護課は、結構、人数がいるんだ

だから最初に作ったおにぎりは、全部、工藤さんのお父さんたち用にしたのお味噌汁と一緒に、工藤さんに運んで貰ったのよ

あ、行ってくれればオレも手伝ったのに

あの小さい身体でそんな量を一人で運ぶのは大変だろう

大丈夫よ台車を使って貰っているしそれに

あの子ちょっと、焦れているみたいだから

焦れてる