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そんなのおかしいですっ

ミッチィは、首を振る

もし助けられない人が出たらどうするんですかっ

そんなことは考えない死んだって、全員助けてみせるっ

吉田は、メチャクチャです

メチャクチャじゃないっ

狭い雪乃の監禁室で怒鳴り合う、オレとミッチィ

何故ですそんなに平等に男が女を愛せるはずがありませんっ

ミッチィがオレにそう言った

愛せるよみんな家族だから

家族

オレは、ミッチィの眼を見てはっきりと告げる

黒い森はオレの家族なんだだからみんな、愛してる命懸けで守る絶対に幸せにするみんなみんな、オレの家族だ

家族だ

オレは、やっと自分の家族を見つけたんだ

オレの守るべき家族を

みすず様が家族

そうだよみすずは、オレの家族だだから、愛している絶対に、守る幸せにしてみせる

吉田は不遜です

ミッチィはそう呟いた

フソン

思い上がりも甚だしいという意味ですわたくしたち平民が、みすず様の様な血筋の方と家族になれるはずが無いじゃないですか

ミッチィは子供の頃から、みすずに仕えている

当然、香月という家のことは、よく知っているんだろう

香月の家のことは、よく判らないけれどみすずは、普通の女の子だよ全然、普通の人間だよだから家族になれる

どういう意味です

血が繋がっていなくても赤の他人でも信頼し合うことができれば、みんな家族になれるんだオレは、黒い森に来て、それを教わった

本当にそんな、馬鹿げたことを信じているのですか血の繋がりよりも、濃い関係の家族に他人がなれるなんて

ああ信じているよ

だってオレは

オレはむしろ、血の繋がりなんて何も信じていないもの

オレは両親に捨てられた子供だしメグもそうだマナだって親だから、血の繋がりがあるから、子供たちを守ってくれるなんてそんなことは無いオレたちは自分たちの力で、サバイバルしていかなければならないんだ

そのために寄り集まっている

それが今の黒い森だ

他の人だってそうだマルゴさんは、自分の家族とは一緒に居られなかった人だし寧さんは、家族全員を殺されてしまった克子姉と渚は、拉致されて娼婦にさせられて家族の元に返れなかったミナホ姉さんは、その両方父親に捨てられて、お母さんの元から拉致され妹さんは殺されたみんな血の繋がった本当の家族を失っているんだだから黒い森を自分の家族にしているんだ

みすず様は違いますみすず様は、ご家族も健在ですお祖父様の香月様だけでなく、お父様もお母様もご健在ですみすず様は、ご自身の家族に何のご不満も感じていらっしゃらないはずです

それは確かに、そうなのかもしれないけれど

オレには一つの確信がある

オレとみすずは魂が呼び合ったんだちゃんと繋がっている絆があるオレはそう感じている

自分の中で決意が固まっていく

だから今日の夜、香月さんに会った時にちゃんと言うよみすずをオレに下さいって

ミッチィが呆然としている

みすず様と結婚するつもりなのですか不可能です庶民が、香月家と縁を結ぶことなど

正式な結婚は、できないかもしれないでも、そんなことは関係無いんだオレは、みすずと一生一緒に居たいそれだけだよ

そんなのみすず様が可哀想ですっ

花嫁衣装を着ることができないなんて女として生まれてきたのにそんなこと

本当にこの武士みたいな格闘少女は

頭の中は、女の子なんだな

十五歳の普通の少女

ごく普通の

でも政略結婚よりはましだろ

ですが家同士の関係を強化するために婚姻するのが、名家に生まれた女の宿命です

ミッチィは、両手をギュッと握りしめてそう言った

そんな宿命知ったことかよ

あいつはもうオレの女だ他の誰にも渡さない

ミッチィが驚きの表情で、オレを見上げている

あのさそういう下らない会話は、あたしのいないところでしてくれる

床に寝転んだ雪乃が呆れた表情で、オレに言った

あんたが何を決心するのも、あんたの勝手だけどさあたしには関係の無いことだしはっきり言って頭のおかしい犯罪者の、滅茶苦茶なリクツを聞かされるのは迷惑よ

うん、そうだな

雪乃から見ればオレは、頭が変になっているとしか思えないだろう

それはオレにも判る

オレは、もうこの道を行くしかないんだ

黒い森の人間として、生きていくことしか

しかしあんたもさあ、毎回毎回、よくもこんな訳の判らない討論に付き合っているわよね

こんなのさうるさい、バカオレはオレのやりたい通りにやるんだ、黙ってろで、済むことなんじゃないの

オレはきちんと対話したいんだ対話した上で理解したい判りたいんだ

きょとんとした顔で、雪乃がオレに尋ねる

今だったらミッチィのことをだこの子がどんな子でどういう考えを持っているのか、知りたいんだ

あんたがどう思っているのかをこの子に思い知らせる方が先でしょ

もちろんオレの考えは、ミッチィに伝えるけれど別に、同調して欲しいわけじゃないし判って貰いたいわけでもないそんなことより対話することで、ミッチィの心の中を知りたいんだ

ああ相手の女の心の中を盗み見したいのねつくづく、ゲスな男よねあんた

雪乃が、フンと鼻を鳴らす

だって心が見えなければ、理解できないだろ

理解

ミッチィがつぶやく

オレはミッチィのことが、理解したい

わたくしを

雪乃が、ケラケラと笑い出す

そんなの、ただ普通に見ていれば判るじゃないこの子は、香月家のお嬢さんが大好きな、格闘バカの護衛女でしょそんなことも判らないのあんた

違うそうじゃない

そんな上辺のことだけで、人を判断しちゃいけないんだミッチィは

オレはミッチィを見る

ミッチィもオレを見ている

可愛らしい女の子だよ一生懸命、背伸びしている十五歳の女の子だ

雪乃がゲラゲラ笑い出す

何よそれっなあに、今度はその子を口説くつもりウケるわ、あんた

笑う雪乃にミッチィが

笑うな

電撃警棒を、雪乃の眼の前に突き付ける

ビシッと一瞬輝く、青白い火花

ひぃ

雪乃の顔が引きつる

それが、どんなことだとしても一生懸命な人間を笑ってはいけないわたくしは、お父様からそう指導されています

わたくしには吉田の考えは、よく判りませんはっきり言って、無謀で無茶なことを言っているだけとしか思えませんでも、吉田が一生懸命なことだけは判ります

ですから今のみすず様に対する不遜な発言は、わたくしの胸の中に仕舞い込んでおきますとにかく吉田は、これからもみすず様にお仕えして下さいみすず様が、吉田のことを気に入っているのは確かなのですから吉田が、みすず様を裏切らないというのならわたくしは、吉田の存在をとりあえず許すことにします他の女との情交も見逃すことに致します