いいな判ったな、遠藤
今日中に、絶対だからな
お返事はぁぁ
遠藤は返答しない
まあいいやまた、後で呼び出すからな
それまでに、女をどうにかするメドを立てとけよ
いい加減なことしゃがったら、こんなもんじゃ済まさねぇからな
判ったな、遠藤
じゃあな、ペッ
杉山の吐きかけた唾が遠藤の顔に落ちる
鯉住と杉山はゲラゲラと笑いながら、歩き去って行った
うつぶせに倒れたままの遠藤
ちっくしょう
そんな憎しみの声を上げるが動けないようだ
な、何でオレがこんな目にちくしょう
遠藤は自分は何も悪くないと思っている
苦境の原因は、全て他人にあると思っている
それが、遠藤ケンジという人間だ
あいつら、ふざけやがってふざけやがってふざけやがって
監視カメラの画面に誰かが入って来る
あらっ誰か、そこに倒れているみたいよ
生徒会長岩倉幸代
岩倉会長は二人の男子生徒を従えていた
二人とも生徒会の腕章をしている
確か生徒会の人間は、全員岩倉さんの手下だ
どうしたの、あなたケガをしているみたいだけど
岩倉さんが驚いた演技をして、遠藤に近付く
まあまあ、酷いケガね原田、牧野、その子を運んでそうね、ここなら体育館の中のスポーツ研修室が近いわねあそこなら、医薬品もあるし
いや普通、医務室へ連れて行くだろう
スポーツ研修室なんて部屋聞いたことも無いし
何か、裏があるのか
はい、会長
さあ早く、連れて行ってあげましょうねっ
岩倉さんは、そう言いながら隠しカメラの方を見て、ニヤッと笑った
カメラの位置を知っているんだ
ちやんとミナホ姉さんの指示通りに行動していることをカメラ越しにアピールしているのか
ほら、立てるか
二人の手下が遠藤を抱き起こす
二人の生徒会の学生に支えられて遠藤が体育館の入り口に向かう
その後ろを岩倉会長が、優雅に歩いて行った
はい映像は、ここまでよ
克子姉が映像の再生を停めた
えっちょっと待って
ど、どういうことなのミナホ姉さんは、岩倉会長にどんな指令を出したんだ
今はまだ、教えられないわ
そう言ってコーヒーを飲む
そんなまさか、本当に遠藤に雪乃をレイプさせたりしないよね
オレがそう質問すると
さあどうなるかしら全ては、遠藤くんと雪乃さん次第なんじゃないそうでしょ
あんなに殴られたからって、遠藤が不良先輩たちの言うことを聞くとは思えない
遠藤の性格じゃ逆に、雪乃に近付こうとしないだろう
絶対に、二人の先輩を賭で勝たせないようにするはずだ
なあに吉田くん、そんなに雪乃さんのことが心配なの
いやだって
あんな人もう、どうなったっていいよ
マナがそう呟いた
お兄ちゃん、ギュッとして
マナは雪乃の実妹として、雪乃に深いコンプレックスを抱いている
そのコンプレックスが、オレに対する依存症を加速している
お兄ちゃんには、マナがいるんだからもう、あの人のことは考えないで
あら吉田くん、そろそろ恵美を迎えに行かないといけない時間なんじゃない
ミナホ姉さんが、時計を見てそう言った
確かにもうすぐ朝練が終わる
はい迎えに行ってきます
あいつも依存症状態になっている
迎えに行ってやらないと心配だ
ほらほーらっ、マナちゃんはあたしとお留守番ねっ
寧さんがマナに声を掛けてくれる
マナは、オレの学生服にしがみついたままだ
マナちゃんもメグちゃんのこと、心配でしょ
寧さんが、マナに優しく微笑んでそう言った
だからヨッちゃんには、しばらくメグちゃんに付いていて貰おうよねっ
その寧さんの言葉に、マナは
判ったお兄ちゃん、メグお姉ちゃんのことお願いね
マナがオレの学生服から手を離す
ああ任せておいてくれ
オレは、マナの頭を撫でてなりながらそう答えた
寧様マナちゃんと、お台所の片付けをお願いできます
おっけー、克っつーん
続いて、マルゴさんがミッチィに
工藤さん上の校長室で、ちょっと身体を動かそうか今日は、どんなタイミングで戦闘状態になるか判らないから、アップをしておきたいんだ軽く、相手をしてくれないかな
了解ですわたくしも、そう思っておりました
寧さんとマナが奥の台所へ
マルゴさんとミッチィは上の校長室へ
ミナホ姉さんと克子姉はまた何か企んでいるな
ミッチィとマナに見せたくないことを、この部屋でする
それは十中八九、雪乃のことだろう
もうすぐ、始業時間だ
そしてミナホ姉さんは、雪乃を授業に参加させるつもりのはずだし
あなたが、そんなに色々なことを考え込まなくてもいいのよ
ミナホ姉さんが、オレの顔を見てそう言った
眼の前にある問題を、まず片付けなさいできることからやっていかないと、何も解決しないわよ
オレの眼の前にある問題
まずは恵美の心のケアでしょ
メグは他の部員たちと、上手くやれているだろうか
竹柴キャプテンが、ああ言ってくれたからそんなに心配はしていないけれど
でもメグは
あいつはしっかり者なんだけど、メンタルが本当に弱いからなあ
判りました行ってきます、オレ
カバンを持って行きなさいあなたは、そのまま授業に出るんでしょ
時間的にはそういうことになるか
そうだね判ったよ、ミナホ姉さん
おれは学生カバンを抱えて
再び女子陸上部に向かう
おっし朝練は、これで終了だ一年は、片付け他は、解散
竹柴キャプテンの声がグラウンドに響く
何とか間に合った
メグは他の一年生部員と用具の片付けをしている
あ、山峰ちゃん、彼氏が迎えに来たよ
一年生の一人が、オレに気付く
先に上がりなよ片付けはあたしたちでやっておくから
同じクラスの荻野さんが、気遣ってそんなことを言ってくれた
でもいいわよみんなに悪いし
メグはそう言って、用具の入ったバスケットを抱える
もう、素直じゃないなあ吉田くんをお待たせさせてると、あたしたちの方が気になるんだよ
そうだよ山峰さん
急いで、一年生部員たちの中へ入っていく
手伝うよメグ
オレはメグの持っていたバスケットを奪うように、持ち上げる
これ女子陸上部の部室に持っていけばいいんだな
荻野さんがオレに
いいよ、吉田くんがそんなことしなくたって
そうだよ、山峰さんを連れてっちゃっていいんだから
うん片付けは、あたしたちだけてもできるし
みんなも知っていると思うけれどメグはとっても、真面目な子なんだちょっと真面目過ぎるんじゃないかってくらいにねだからオレたちに、気を遣ってくれたのは有り難いけれど、メグにもみんなと一緒に片付けをさせてあげて欲しいんだよオレも手伝うから