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ほら、持っていくぞメグ

みんなで用具を抱えて、部室まで戻る

それを二往復して

ありがとう、吉田くん後は、あたしたちで中にしまうから

女子部の部屋は、男子禁制だから入れてあげられないのよっ

うんオレにできるのは、ここまでか

じゃあ外で待ってるよ

うんすぐに山峰さんは返してあげるから、今だけ貸しておいてねっ

一年女子の部員たちが、笑う

ていうかさいっそのこと、吉田くん入部しない

女子陸上部初の男子マネージャーってことで

正直荷物運び用の男の子が必要なんだよねぇ

そんな声に部室の中から、竹柴キャプテンが顔を出す

馬鹿なこと言っているんじゃないよっ準備と片付けだって、トレーニングの一環だっていつも言っているだろそれに、整理整頓は、武道を志す者の基本だよ

さすが陸上は武道だの竹柴キャプテン

す、すみませんっ

まあ、いいけどね用具は、部室の入り口の前に重ねておけばいいよどうせ、放課後の練習でまた使うんだとっとと、シャワー浴びて授業に行きな

居眠りとかするんじゃないようちは文武両道がモットーなんだからねっ

ほらっ、さっさと行きなっ小娘どもっ

失礼しますっ

一年女子たちは、着替えを持ってシャワールームへ向かう

すぐ済ませてくるから

メグもみんなと一緒に、小走りで行く

とりあえず、女子陸上部の人たちとは、上手くいっているらしい

しっかしお前は本当にマメなやつだな

竹柴キャプテンがオレに言った

マメオレがですか

ああ普通の男は、ここまでしないぞ朝練の終わりに迎えに来いと言ったのはあたしだけど片付けの用具運びまでやってくれるとは思わなかった

それはメグに、他の部員の子たちと仲良くして欲しかったしそれに

オレは遠ざかるメグの背中を見る

他の部員の子に気を遣って貰うような状態が続くんじゃメグが、心苦しいだろうと思うんですあいつ、メンタルが強くないですし

気遣って貰えるのは有り難いけれど

それで、他の部員に負担を掛けるのではメグの心の重荷になる

それに部員たちだって、全員がメグの味方なはずはない

今だってメグやオレと、一言も口をきかなかった一年生部員が居る

現実は、そんなものだ

だったらメグが特別扱いされるのと、後々に問題になる可能性が残ってしまう

だからオレは片付けを手伝った

メグにも、最後までみんなと一緒に作業させた

少しでも、問題の種になりそうなことは取り除かないといけない

メグのために

お前さ、本当に面倒見が良いよねああいうのメンドクサイとか思わないわけ

竹柴先輩が、ニヤッと笑ってオレに言った

え何がです

普通の男はさ彼氏だ彼女だって、関係になったってひたすら、女の胸と尻を眺めているだけじゃない自分の欲求だけで、女に甘えてくるだけでさ女の気持ちとか、全然考えてないやつとかの方が多いだろ

すいませんオレ、他の男のこととかは、よく判らないんで

お前女と付き合うのは、山峰が初めてなわけ

セックスの初体験は、雪乃だけど

彼氏彼女っていうのは、メグが初めてだよなあ

みすずとは、最初はペットと飼い主っていう関係だったし

はい付き合うとかは、メグが初めてです

それにしちゃあ落ち着きすぎだよ、あんた

ああ腹が据わりすぎだよ一年生っぽくないね

済みません

バーカ、褒めてるんだよ

竹柴先輩は、そう言って微笑む

オレメグの家族になりたいんです

今の竹柴先輩の言葉で思い出したんですけれど家族って、メンドクサイんですよねメンドクサイのが当たり前なんですよね

オレの脳裏に

懐かしい記憶が、蘇る

オレおバァちゃんに育てられたんです子供の頃もう亡くなって、ずいぶん経つんですけれど

バァちゃんの小さな、曲がった背中を思い出す

うちの両親は忙しいっていうか、オレには全く興味の無い人たちだったんでそれで、うちの母親は家事を全くしない女なんで家のことは全部、バァちゃんがやってました毎日、大変そうでそれなのに、バァちゃん、いつもオレの心配ばかりしているんですよ

バァちゃんは、いつも

ちゃんとハンカチ持ったかとか外では車に気を付けろとか誕生日には、小さなケーキを買って、二人だけで必ずお祝いしてくれたし本当に優しくしてくれたんです

あんなにオレの母親に虐げられていたのに

いつも、オレに気遣って優しく面倒を見てくれた

あの頃オレに優しくしてくれたのは、ホント、バァちゃんだけでそれで、オレ小学校一年生の頃かな一時、バァちゃんに聞いてみたことがあるんですよ

バァちゃんは、どうしてオレに優しくしてくれるのオレの面倒を見るのなんて、メンドクサくないのオレって、バァちゃんの迷惑になってないって

オレ自分がバァちゃんの重荷になっているんじゃないかって思ったんですオレみたいな存在がいなければバァちゃんは、もっと幸せになれるんじゃないかってだから、オレ、バァちゃんに言ったんですそんなにオレのことばっかり心配してくれなくてもオレは平気だよオレは一人でも、そこそこ何とかやってけると思うからバァちゃんは、もっとバァちゃん自身のことを大事にしてくれていいんだからねって

オレは本当に、ガキだった

そしたらおバァさんは、どう答えたんだ

バァちゃんは子供がメンドクサイのは当たり前のことなんだよだから、あんたは気にしないでいっぱい、バァちゃんに迷惑を掛けなあんたに迷惑を掛けられてあんたの面倒を見るのが、バァちゃんの仕事なんだから、気にするんじゃないよって

はいそれから、ちょっと経ってバァちゃんは亡くなったんですでも、その言葉はしっかり覚えていますだからオレ

家族の心配をして、家族の面倒を見るのは当たり前じゃないですかメンドクサイのだって、当たり前なんですでも、苦しんでいたり困っていたりしたら、助けてあげないと家族なんですから

山峰はもうあんたの家族なんだね

オレは竹柴先輩に、はっきりと答えた

そうかこれからも大切にしてやってくれ

いえ、オレの方こそメグをよろしくお願いします

オレは、竹柴先輩に深く頭を下げた

うん部活のことは、あたしに任せておきなしかし

竹柴先輩は、クククッと笑う

そういやお前の面倒見の良さは、どことなくお祖母ちゃんぽいな

あんたの腹が据わっている理由もよく判ったよ

先輩は、にこやかにそう言ってくれた

ヨシくーんっ

急いでシャワーを浴びて、制服に着替えたメグが走って来る