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どうしようあたし、ヨシくんがいないと生きていけない子になっちゃってる

メグがオレの手をギュッと握りしめる

大丈夫だからオレが守るからメグに変なことを言うやつは、みんなオレがブン殴ってやるから

しかしメグは

ダメだよヨシくん、そういうことじゃないのよ

メグは悲しげな眼で、オレを見た

そんなじゃあたし、ダメになっちゃうよ

あたしはヨシくんに守られたいんじゃないのそういうつもりで、ヨシくんのこと好きになったんじゃない

どういうこと

あたしヨシくんの隣に立つ女の子になりたいって思ったのお屋敷でヨシくんの今までの話を聞いた時あたし、ヨシくんの側に居てあげたいって思ったわそれなのに

メグは、また下を向く

いつの間にか、あたしはヨシくんに甘え御名穂さんたちに甘え山峰のお父さんやお母さんや、部活のみんな竹柴キャプテンに甘えさせて貰っている今、自分で自分の弱さにゾッとしているの何て、情けない女の子なんだろうって

メグの手が震えている

本当に自分で自分が嫌になるわ部活の時間に、頭の中が冷静になってハッとしたの昨日からずっとあたしはヨシくんに甘えっぱなしだったって

今、メグの頭の中では昨日からのこと

特に、早朝のオレとのセックスのことが思い出されているんだろう

確かにメグは変だった

オレとのセックスに溺れようとしていた

それもこれも自分が本当は白坂創介の娘であるという現実から逃避するため

もっと強くなりたい、あたし

メグがそう呟く

こんな時、何て言ってあげればいいんだろう

この子に

オレの大切な女に

オレ、思うんだけど

そんな言葉が口から勝手に零れた

強くなるって身体の場合だと大変じゃないか一生懸命時間を掛けて鍛え上げないといけないんだから

オレ何を言っているんだ

だけど心の場合は心を強くするためには

どうすればいいの

勇気だけでいいんだよ

オレは、自分の胸をドンと叩いた

勇気さえあったら、大抵のことは乗り越えられるはずだから心は、勇気一つだけで強くなれる

メグも自分の胸をトンと叩く

そうだね勇気だね

メグの表情が落ち着いていく

それとさオレ昔からずっと思っていたんだどんなに辛いこともいつか終わるって

オレも色んなことあったけれど、どうにかなったしどんな辛いことも、悲しいことも絶対に終わる時が来る全て過ぎ去るんだ必ず夜は来るんだから

メグがクスッと笑う

ヨシくんそれを言うなら、必ず朝が来るでしょ

オレ、朝は嫌いだったんだまた、辛い一日が始まるからオレはずっと夜を待っていた夜になって暗い部屋で、あのソファに横になればオレは一人になれるからあの頃は、毎日毎日、ずっと一人きりになれる夜を待っていたから

寮生活だった、中学から戻って来て

両親はいつの間にか離婚していて

親父が失踪した

優しかったバァちゃんは、とうの昔に亡くなっている

ずっと一人きりのあの家

夜の暗闇だけがオレの逃げ場だった

眠ってしまえば何もかも忘れられる

ほんの一週間前には、毎日、夜が来るまでガマンして生きていたんだから

ほんのちょっと前のことなのに

オレもすっかり忘れてた

ダメだな、オレも

オレもみんなに甘えてるよみんながオレの側に居てくれることが、いつの間にか当たり前のことになってすっかり甘えてたメグだけじゃないよオレも自分が情けないよ

うんあの暗闇の孤独を忘れちゃいけない

そこから掬い上げてくれた、ミナホ姉さんへの感謝も忘れちゃいけない

側に居てくれる黒い森のみんなにも

ヨシくんは、全然甘えていないよだって、ヨシくんいつも一生懸命だもの一生懸命、あたしたちのために頑張ってくれているもの

メグがギュッとオレの腕を掴む

身体を寄せて

みんなが、オレに期待してくれるのなら精一杯やらないとみんなの役に立ちたいんだオレ

オレずっと、いない子だったから

いない子

うん両親にとってのオレは、産んで後悔した子だったから

オレが産まれちゃったから両親は、離婚できなかったんだろうし

世間体のために

だからオレバァちゃんが死んじゃった後は、ずっと両親の視界に入らないように、気を遣って生きてきたろ

息を殺して

だから嬉しいんだミナホ姉さんに、指示を出されたりメグやマナのために何かをすることが克子姉の気持ちがよく判るんだよ最近

克子姉さんの

うん克子姉が、オレたちのために美味しい食事を作ってくれるのはそうやって、人と関わることが、嬉しいからなんだと思うんだ自分の作ったパンを食べて、美味しいって顔をしてくれる人を見るのが、とっても幸せなんだと思う

他人との関係自分が他人に影響を与える

その影響が相手にとって、プラスなことになれば

こんなに嬉しいことは無い

オレだってそうだよメグやみすずやマナが時々、寧さんもだよな暗い顔をしていたり、怖がっていたりする時にオレと接してそれで、少しでも心が落ちついてくれたら、とっても嬉しい

克子姉さんと渚姉さんは

あの二人は大人だからオレのことが本当に必要になった時だけ、向こうから来てくれるから

だからそう心配はしていない

本当にどうしようもなく寂しくなった時は、ちゃんとSOSの信号を出してくれるものそれが判っているから

そうね克子姉さんたちは、大人だよね

メグがまた、下を向く

ヨシくん、ごめんね

あたし、とっても子供だったと思う

そしてまたオレを見る

あたし全然、ヨシくんのこと考えてあげれてなかったずっと自分のことばっかりになっていてごめんなさい

な、何言っているんだよ

オレにはメグが何を謝っているのか、全然判らない

あたし、良い奥さんになるって約束したのに

オレはメグの手を握る

ゆっくりなればいいさ毎日、少しずつ成長していこうオレも、そうするから

自分以外の人のことなんて、少しずつしか判らないし気付いていかれないんだよいいや、自分自身のことだって本気で判ろうとしなければ、全然理解できないじゃないか

そういう実感がオレにはある

あの暗い夜の中で毎晩、オレは一人だったのに

自分一人しか、そこにはいなかったのに

自分自身の頃の状態を、少しも理解してはいなかった

オレはもっとメグのことが知りたいみすずや、マナや、寧さんや克子姉、渚のことがマルゴさんやミナホ姉さんそれから、ミッチィのことだって

オレはまだ、みんなのことを全然理解していないって思うんだ

いいや、そうなんだってだって、毎日、新しい発見があるもの一人一人の今までは見えなかった心の中が見えてくるああ、オレは判っていなかったって、何度も反省しているもの