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はあ現実に負けると、パニックかよ

メグの嘘はあっさりと受け入れられる

大丈夫なの

しばらく放っておけば直るわいつものことだから、気にしないで

メグは、そう言い放った

あたしの家は白坂の家に奴隷みたいに扱われていたからあたしは、昔から雪乃の面倒を見る係にさせられていたの

前半分が本当で後半は、嘘だ

しかし、半分でも真実の実感がこもっているからクラスのみんなは、メグの言葉を信じてしまう

そうよね入学式からずっと、山峰ちゃんは白坂さんのこと気遣っていたもんね

その女生徒の発言がメグの言葉を補強する

しょうがないよな白坂の家は、大金持ちで山峰の家はド貧乏なんだから

もう貧乏という設定は、覆せないものになってしまってるらしい

まあ、いいけど

本当に保健室に行くほどのことじゃないから、みんな安心していつものことだからそうよね、雪乃

メグは雪乃の背中を擦ってやる

いや背中の制服の下の電撃ユニットに触れている

下手なことをすればさっき以上の電撃が、雪乃の身体を襲うことになる

そう雪乃に示すために

メグも黒い森の一員だ

そ、そうよもう、平気よ

雪乃がメグの手を振り払うようにして、身体を起こす

しかしその眼は、怯えている

その身体は震えていた

何だよパニックになるぐらい、ヤバヤバなんじゃねぇか

ホントは、自分でも判っているんでしょあんたのパパは、リアル犯罪者なのよ

自分の思い通りにならないと、キレちゃうってどれだけお子様なんだよ

どうしょうもねぇな

不良生徒たちがバカにしたような口調で、雪乃をなじった

ホントあんたには、がっかりだよ白坂さん

雪乃は唇を噛みしめて、堪えている

おい、何を騒いでいるんだもう、授業だぞ

ガラガラと教室のドアを開けて一時間目の数学の中年教師が入って来た

同時にチャイムが鳴る

さっさと席に着け

すっかりエキサイトしていた教室内の温度がサーッと冷めていく

はい教科書開け34ページ右上の問題からだ

そして授業が、いつも通りに始まった

どうにか、一時間目の授業が終わった

雪乃はぐったりとしていた

授業の間中、雪乃はずっと不良生徒たちから嫌がらせをされていた

消しゴムのクズを投げ付けられたり

後ろから、ガンガン椅子を蹴られたり

小学生か、お前ら

オレはちょっと心配になるが

休み時間になった途端メグがオレの席にやって来る

そしてオレの手をギュッと握りしめる

決して、雪乃には近寄らせないという表情でオレを見ている

おっ、いたいたあいつだよ

あれが、白坂創介の娘かよ

また他のクラスや上の学年の生徒たちが、雪乃を見にやって来る

動物園のパンダの様に物珍しそうに、眺めている

廊下にたくさん人が居て、迷惑なのよねぇ

不良女子が、雪乃に嫌味を言う

白坂さん廊下のみなさんに、ご挨拶するべきなんじゃないの

つーかさ、インタヴューとかしてやれよ

そうそう、質疑応答の時間だよな

お父さんがロリコンで変質者だって判って今、どんな気持ち

えー、白坂は前から知ってたんだろ

つーか、白坂もヤられてんじゃないの親父にさ

パパやめてぇぇぇあたしたち、親娘なのよぉぉ

いいじゃないか、いいじゃないか、いいじゃないか

ギャハハハと、下品に笑う不良たち

普通の生徒たちは、不快な顔でそんな様子を見ているが

誰も文句は言わない

みんな、雪乃を憎々しく思っている

屈辱の10分間を耐え抜き次の授業へ

2時間目は化学だった

化学の教師は、定年間近の少し耳の遠い老教師だったから

さっきよりもさらに明からさまに雪乃へのイジメが続く

そして、授業開始から15分が経過

突然教室のドアが開く

ミナホ姉さんがやって来た

どうしました、弓槻先生

化学の老教師に、ミナホ姉さんは

校長先生が白坂雪乃さんにお話があるそうなの

不良たちがキターッという顔をする

おいおい、白坂、退学になるんじゃね

まあ学校の汚点だしな

バイバーイ、雪乃さーん

どういうご用件かは判らないけれどとにかく、お呼びだから付いてきて

それからメグを見る

それと山峰さんにも来て貰うわ

だって、山峰さんは白坂さんの親戚なんでしょ

そんなミナホ姉さんの言葉にメグの友人たちが怒る

先生山峰さんは、白坂さんの家とは関係ありませんっ

そうです、親戚って言っても恵美ちゃんの家は、白坂さんの家とは全然親しくは無いんですからっ

不良男子も、調子に乗る

そうだ、そうだ山峰ちゃんの家は、貧乏なんだぞ

貧乏ナメんなよ

ミナホ姉さんはいつもの冷たい眼のまま、平然と言った

あたしは校長先生に言われて呼びに来ただけだからそういうことは、山峰さんが校長先生に直接言ってちょうだい

その言葉に、メグの友達たちは

そんなの酷いです

恵美は何も悪くないんですからっ

行くことないよ、山峰さん

メグには抗議してくれる友人が居る

雪乃にはそんな人は一人も居ない

大丈夫よあたし、校長先生にちゃんと説明するから

メグは、友人たちに微笑んで席を立つ

先生、オレもメグに付いていきますいいですね

オレも立ち上がる

オレはメグの山峰恵美の婚約者ですオレもメグと一緒に、校長先生に説明します

ミナホ姉さんは、ニッと微笑み

そうねそれなら、あなたにも来て貰おうかしら

これでいいんだよねミナホ姉さん

さあ、行きましょう雪乃

メグが雪乃の席に向かう

雪乃は立ち上がろうとしない

ここで教室から連れ去られることに不安と恐怖を感じているらしい

早く立ちなさい校長先生がお待ちになっているわ

ミナホ姉さんは、冷たい笑顔で雪乃にプレッシャーを掛ける

雪乃ここに残っていても、ネチネチ、みんなにイジメられるだけよ

メグがそっと雪乃に囁いた

すっと雪乃の背中に手を当てる

あたしたちと一緒、行こう

電撃ユニットを上からトンと指で叩いた

わ判ったわ

雪乃も席から立ち上がる

ミナホ姉さんがクラスのやつらに尋ねる

そう言えば遠藤くん、戻って来た

みんなクビを横に振る

どこへ行っちゃったのかしらね遠藤くんも校長先生に呼ばれているんだけれど

ニヤッと微笑むミナホ姉さん

多分遠藤の行方は、ミナホ姉さんしか知らないと思う

こんなに、あたしを苦しめてこれだけすれば、もう満足でしょ

廊下を歩きながら雪乃が、ミナホ姉さんに言った

いいえ満足には、ほど遠いわね