でもやつらが学校の関係者を生徒でも先生でも、無差別に誘拐して人質にするとかしたら
そういう可能性は無いだろうか
どうして、人質になるんだい
マルゴさんは、ククッと笑う
あたしたちは犯罪組織だよ敵もそのことは判っている無差別に誘拐したって、黒い森と無関係な人間は人質にならないよ
そうかオレたちは、正義の味方じゃない
無関係な生徒や教師が敵に捕まっても助けるギリは無い
敵はそう思っている
敵が判っていることはどういう裏があるのか判らないが、学校内にあたしたちが潜伏しているっていうことだけだよ黒い森と学校の関係だって、正確には判らないはずだよ敵が知っているのは岩倉さんが流してしまったファイルの内容だけつまり、寧と吉田くんがこの学校の在学生だってことでも寧も吉田くんも、校内に特別に親しい友人は居ないだろお互いの家を行き来するような
確かにオレがクラスメイトと親しくなったのは、ここ数日だし
寧さんは、校内の不可侵の存在だったから誰とも親しくないはずだ
そりゃ敵は、おそらく下校してきた寧や吉田くんのクラスメイトに声を掛けるくいのことはしていると思うよでもその子たちからは、ほとんど情報は得られないだろうし吉田くんと恵美ちゃんの関係くらいは、話題に上がるだろうけれど当の恵美ちゃんはここに居るからねそこからさらに、恵美ちゃんのお友達や山峰さんたちをターゲットにすることは無いと思うよあたしたちに効果があるとはとても思えないだろうから
山峰のお父さんとお母さんは、無事でしょうか
心配そうにメグが尋ねた
そっちには、白坂家の配下の人間が詰めているはずだからね白坂家には、恵美ちゃんは黒い森に誘拐されていることになっているんだから
だからあたしたちが山峰さんに接触するだろうと考えて、白坂家は山峰さんの周囲を厳重に監視しているはずだそこにのこのこと、ヴァイオラの手下が行ったら
どうなる
無意味な戦闘をする程どちらも馬鹿ではないよ現場の人間は、下らないことで人員を消耗させることを嫌うからねよっぽどのことがない限り山峰さんが戦闘に巻き込まれることはないよただの睨み合いで終わりだよ
恵美が、大きく息を吐いて安堵する
ということだから吉田くんは、工藤さんのお父さんにあたしたちは、午後2時15分に、隠しガレージから車3台で出発するということを伝えてきて目的地は国立劇場目的地までのルート選択は、工藤さんのお父さんにお任せするよ要人護衛に関しては、あの人たちの方が慣れているからね
マルゴさんがオレに言った
えっとオレたちは、午後2時15分に教職員用の駐車場の隠しガレージから、車3台で出発目的地は国立劇場ルートは工藤さんにお任せする
そういうこと頼んだよ
こういうことは、携帯電話で伝えると聞き間違いの可能性があるし、盗聴の危険もある電子メールだとなおさらだよ偽メールかもしれないしね何より、ちゃんと代表者が直接会いに行って話すってことが大切なんだ信頼関係を築いておかないと命取りになるからね
それならオレが行くべきだ
特に、今、工藤父の居る場所が敵の注目を浴びているのなら
他の人を危険な場所に行かせるべきではないだろうし
それと忘れないで欲しいんだけど工藤さんのお父さんは、あたしたちの味方ではないからね
判ってます工藤さんは、香月閣下の命令で、今はオレたちに協力してくれているだけでいつ敵になるか判らない人なんですよね
オレの答えに、マルゴさんは満足そうに微笑む
そういうことだからこちらの情報を何でも喋ってはダメだよ何を話して、何を話さないかの選択は、君に任せるそれから吉田くんのことだから大丈夫だと思うけれど、絶対に工藤さんのお父さんに嘘は言わないで混乱させるだけだし、信頼を失うだけだからね
オレが、マルゴさんにそう答えると
あのわたくしも、父と同じ立場ですが
ミッチィが、不思議そうな顔をしてオレたちを見る
わたくしもみすず様の命を受けて、ここに居るだけでいつ、皆様の敵に廻るか判らない人間です
そんなわたくしの前で今のようなお話をなさるのは、どういうことなのでしょうか
マルゴさんはフフッと微笑んだ
工藤さんは香月セキュリティ・サービスに籍があるんだっけ
はい一応、今回が初仕事ということになっています
仕事の内容は
みすず様の指示に従うように言われています
OKじゃあ、工藤さんは香月セキュリティ・サービスに忠誠を誓っているんだね
ミッチィは困り顔をする
そうじゃないよね工藤さんは、あくまでもみすずさんに忠誠を誓っているんだよね
そのみすずさんは吉田くんの女だよで、吉田くんは黒い森のメンバーだ
じゃあ、工藤さんは誰の味方になる香月セキュリティ・サービスや工藤さんのお父さんたちが黒い森と敵対したら
いやみすずさんが、お祖父さんである香月さんと敵対したらどうする
あたしはみすず様の味方です永遠の忠誠を誓っています
そうそれなら、黒い森と香月さんが対立したらみすずさんは、どっちに味方すると思う
ミッチィが、オレを見る
不本意なから、吉田の居る方だと思います
マルゴさんが、ミッチィに優しく微笑んだ
工藤さんも、そろそろ自分の立ち位置を明確にしないとねそうでないと、廻りの人たちに迷惑を掛けることになるから
ミッチィはウッと息を呑んだ
わたくしに黒い森のメンバーになれとおっしゃるのですか
そんなこと、誰も言っていないよ現に、みすずさんは黒い森のメンバーじゃない吉田くんの女でだから、あたしたちに味方をしてくれているだけだよあの子が恵美ちゃんやマナちゃんに優しくしてくれるのも、吉田くんの女の一人として年下の子の面倒を見てくれているだけだしミナホやあたしや克子さんや寧に、敬意を払ってくれているのも吉田くんが黒い森のメンバーだからだよね
当たり前ですみすず様が黒い森の様な犯罪組織のメンバーになるなんてあってはならないことです
ミッチィは強くそう言った
メンバーでは無いけれどみすずさんは、あたしたちの味方だよ身内って言うべきかもしれないあたしたちは、そういう関係だ
正確にはみすずの飼い主であった渚の存在もあるんだけれど
ミッチィは、みすずと渚のことはよく知らないようだ
マルゴさんは、あくまでもミッチィの見える範囲での情報からロジックを構成している
良い機会だから、お父さんに会いに行く間に、自分の立ち位置を決めてきてもし、香月セキュリティ・サービスの人間のままで居たいのなら、そのままお父さんの方に残ってくれて構わないからあたしたちも、これから先は身内で無い人と一緒に行動するわけにはいかないし