Выбрать главу

子供用の警戒ブザーみたいなものだよスイッチを入れて、15秒後に物凄い大音量で警戒音が鳴る仕組みになっているから

時間差で、轟音が鳴るんだ

シザーリオ・ヴァイオラの連れてきた手下は、アメリカ式だからね

アメリカ式

何でも銃で解決するってことさ

敵が銃器で武装していることが前提なんだ

アメリカでも第一次大戦の頃はね、戦場に行っても一発も銃を撃たないまま帰国した人が多かったんだよ

マルゴさんが、そんなことを言う

やっぱり人を狙って引き金を引くっていうのは、なかなか覚悟の居ることだからね躊躇無く引き金を引ける人は、やっぱりそんなにはいなかったんだ

だから今のアメリカ軍では、動いているものを見たら反射的に銃を撃つ訓練をしている相手を人間と確認する前に、身体が勝手に引き金を引いてしまうようにトレーニングされているんだ

もちろんその結果の誤射は多いよ間違って、味方を撃ち殺してしまったなんていうケースが多々あるでも、それがアメリカ軍の方針だから

工藤さんも多分、お父さんに言われていると思うけれどシザーリオ・ヴァイオラの手下の前では、うかつに動かないでねあいつらは、反射的に銃を撃ってくるから真っ正面から、殺気を発するとそのまま撃たれかねないからね

ミッチィが答えた

吉田くんも絶対に、敵に向かって何かを投げ付けたりしてはダメだよその瞬間に撃たれるからね

隙を見せれば撃たれる

攻撃の意志を見せれば躊躇無く

このブザーは、敵の気を反らすために使うんだ自分から離れた場所に、敵に気付かれないように、こっそりと置くようにして

どんなに訓練された人間でも突発的な出来事に対しては、絶対に反応してしまうそれも、大きな音とか光にはねそこに隙ができるから

判りましたこれは、いただいていきます

オレは碁石風のブザーを、制服のポケットにしまった

じゃあ行って来ます

オレが、そう言うと素麺を食べながら、寧さんが

行ってらっしゃーいユキユキには、ちゃんと餌をあげておくから心配しないで

ユキユキ

もう、あの子はヨッちゃんのお気に入りのメス犬なんだって、思い込むことにしたからっ人間だって思わなければ、嫉妬とかもしなくて済むでしょっ

あっ、それいいですねっマナも、そう思うことにします

いやマナ

雪乃は、お前の実の姉だぞ

それでいいのか、お前

ユキユキのお世話は、マナも一緒にするから気を付けて行ってきてねっ

そうね人間じゃないって思ったら、別にいいかって思えるかもね

メグまでそんなことを言う

あっ、ちょっと待って

克子姉が、走って紙袋を持って来る

袋の中からは紺色の背広が入っていた

克子姉これ

あなたが今日、みすずさんの発表会に着ていく服よ

この忙しい中ずっとサイズ直しをしていてくれたんだ

ちょっと羽織ってみて

オレは背広の上着を羽織ってみる

うん丈は丁度良いわね袖だけ、少し詰めるわ

克子姉が、待ち針で印を付ける

続いてズボンもオレに当ててみて

裾は少し上げないとね後は問題ないみたいね

メグが克子姉に言った

ズボンの裾上げあたしにやらせてくれませんか

そううん、助かるわお願い

ニッコリと笑ってメグに背広のズボンを手渡す

あっ、マナもお手伝いしますっ

マナちゃん針仕事とかできるの

えっと家庭科で、雑巾を縫ったことはあります

克子姉の言葉に、マナは消沈する

マナ今回は、あたしがするのを見ていて今度の時は、マナにも手伝って貰うから

メグが優しく、マナに言う

うん、判ったメグお姉ちゃん

本当に、奇妙ですね

校舎の外へ出るとミッチィが、オレに言った

すでに、周囲には人気は無い

ほとんどの生徒たちは、すでに下校している

まあまだ何人かは残っているみたいだけれど、それもいずれ先生たちが巡回して追い出してくれるだろう

その先生も学校から帰って貰ってようやく、校内は無人になる

もうしばらくは時間が掛かる

奇妙って何が

オレはミッチィに尋ねた

黒い森という集団ですまったく血の繋がらない他人の集まりのはずなのに、どんどん家族の様に結束した集団になっていっています

うんオレたちは、基本的にみんな本当の家族を失った人間の集まりだからね自分の家族が欲しいって、ずっとみんな考えていたんだと思うよ

ミッチィは、オレをチラッと見て

吉田は何も判っていませんね

黒い森は吉田を中心にして、結集していますそれぞれの人間に家族に対する思いが元々あったのでしょうが吉田という存在がいなかったなら、こんなに短期間で集団がまとまることは無かったでしょう

そうかなオレが黒い森に入ったのは、最近だしマルゴさんや寧さんは、前から仲が良かったよ

しかし白坂家の娘であるマナさんまでが、あんなに自然に集団に溶け込んでいるというのは

マナさんでなく、マナだろマナは、ミッチィの妹になったんだから

ミッチィは頬を赤くする

いつの間にかわたくしも、家族化の波に捕らわれてしまっているようですね

オレたちは、無理強いはしないよミッチィには、オレたちと違って、お父さんもお母さんもちゃんと居るんだから

自分の家族が居る人は家族を一番にするべきだよ

ミッチィは、寂しそうに呟いた

ミッチィが、不意にオレに声を掛けた

吉田のことは、わたくしが絶対に守りますですから、吉田は何よりも無事に生き残ることだけを考えて下さい

吉田が居るからあの人たちは結束しています今の吉田は、簡単に死んではいけない人間になっています

オレは死んではいけない

今は死ねないな

みんなが幸せに暮らすことができるようになるまでは

死んでも、死にきれない

そうだねオレ、何がなんでも生きてないといけないんだね

校舎の裏庭を抜けて野球部のグラウンド裏に向かう

傾斜地の上の道に工藤探偵事務所のバンが停まっていた

そのバンの前で

工藤父は、一人でラジオ体操をしていた

おうどうした

オレとミッチィを見て工藤父が、ニヤッと微笑む

お父様お昼を持って参りました

ミッチィの言葉にオレは克子姉から預かってきた、紙袋を差し出す

ん飯は何だ

お素麺です

ああさっぱりとした冷たい物が欲しかったんだ

工藤父は、喜ぶ

紙袋の中のタッパーは、氷を入れて冷やしてある

数人分の素麺と、付け合わせの卵焼きとサラダをオレは運んできた

ミッチィは冷たい麦茶の入った水筒を

それと工藤さんに伝言を預かっています

オレが、そう言うと工藤父は

車の中へ入れ話は中で聞く