二回ぐらいかしらっ
七回ですっ
申し訳ありません、吉田様あたし、バイクは日本の免許を持ってないから
あたし、バイクの免許はカナダで取ったんですっそう言えば、日本の交通ルールって複雑ですものねっあたし、まだよく判らなくってっ
待て待てそ・ん・な・は・ず・は・な・い・だろーッッ
だいたい、あんた夕べ、車は普通に運転してたろぉぉぉッ
けれど克子さんは、ニコッと笑顔
オレは、今更ながら犯罪結社の恐ろしさを知った
大丈夫ですってこの道は、私有地ですから
私有地
はいっこの通用門からお屋敷まで、ずっと弓槻家の私有地ですっ免許無しでオートバイに乗っても、おとがめ無しですからっ
ゆ弓槻先生って、何者
そうだ吉田様、これっ
克子さんが、バイクの横のツーリングボックスから包みを取り出した
えっ今日は、土曜だからお弁当は
寧様と食べて下さいっ
奈島センパイ
はいっきっと、吉田様のところにいらっしゃいますからっ
よく判らないけれどとにかく、食べ物の入った紙包みを受け取った
ではっ行ってらっしゃいませっ
始業のチャイムが鳴る
弓槻先生の指示通り遅刻ギリギリの時間に教室に飛び込んだ
そこで眼にしたものは
ケンジ、それでねっ、妹があたしに怒るのよっお姉ちゃんのイジワルっておかしいでしょあははははっ
醜悪な景色だった
なんだよ、しょうがねぇなあ雪乃は
えへへっ
雪乃が、遠藤と談笑している
遠藤の身体に寄り添って
右手は、遠藤の手を上から握っている
あんまりにもハイテンションでベタベタしまくっている二人の異常な雰囲気に他のクラスメイトもドン引きしている様子だった
お早う、吉田くん
オレに声を掛けてくれたのはクラス委員の山峰さんだった
彼女も雪乃の異様な状態に困惑しているらしい
今朝はずっとあんな感じなの白坂さんと遠藤くん
遠藤が、オレに気付く
おいっ、吉田ぁっ
教室内が一気にザワついた
みんな、昨日のオレと遠藤のことを知っている
オレが遠藤に昼休みに屋上に呼び出されたまま午後の授業に出なかったこと
そして、帰りのホームルームに現れた時には、オレの顔の傷が増えていたこと
少なくても何らかの暴力的なトラブルがあったということは、みんな承知していた
な、何だよっ
オレも、遠藤をにらみ返すッ
ケンジ、ほっときなさいよっそんな人、相手にすることはないわよっ
雪乃が大きな声でそう言って、遠藤の身体にしがみつく
軽蔑の眼でオレを見て
でもよ、雪乃
いいじゃない、ケンジにはあたしが居るんだからさっ
そう言って、雪乃は遠藤の背中に抱きついた
教室中にえーっ、おいおいっ、何これという声が上がる
はい、早く席に着きなさい
このタイミングで
弓槻先生が、教室に入って来た
席を離れていた生徒たちが、慌てて自分の席に戻る
雪乃も
お早う、みなさん
弓槻先生は、相変わらずのマイペースだ
世間では、今日からゴールデンウィークねでも、あなたたちは高校生なんだから、もう半日授業を受けて貰うわところで、白坂さん
弓槻先生が、ニッと笑って雪乃を見た
あなた、生徒会長の岩倉さんのお手伝いをすることになったんだそうね
先生の言葉に雪乃は、挑戦的な眼で答える
そうみたいですねっ
教室の中がまたザワつく
えっ、何で白坂さんが
岩倉会長ってあの綺麗な人だろ、眼鏡美人の
生徒たちの声を無視して、先生は話を続けた
さっき、岩倉さんに頼まれたんだけどこれを貴方に渡すようにって
それは四角いネームプレート状のバッジだった
表面は液晶でできている
大きく表示されている文字は76
それは、残り六日間で雪乃がオレとセックスしなければならない回数
弓槻先生
やることが一々、えげつないっ
よく判らないんだけど、学校に居る時はずっとこのバッジを付けているようにって、岩倉さんが言っていたわはい
弓槻先生が、支配の液晶バッジを雪乃に差し出す
そんなのあたし、付けたくありませんっ
あら、困ったわねえあたしは、岩倉さんに頼まれたのよっ
あたし、そんなの付ける理由がありませんからっ
先生を睨む雪乃
女教師は、くふふふと笑った
そうじゃあ、ひとまずこれはあたしが預かっておくわっ
先生は、液晶のバッジを仕舞った
さてっ、あたし今日は少し忙しいのちょっと、早めだけどホームルームはこれで終わりにするわ
先生の眼が遠藤を見る
何か校内で重大な暴力事件があったらしくてね運動部の子が関わっているらしいのよその件で、校長先生に呼ばれているのっ
遠藤の顔がひきつる
雪乃は憎悪の眼で先生を睨んでいる
まああなたたちには関係の無い話だと思うけれどねまあ、帰りのホームルームの時までには詳細がわかっていると思うから、みなさんにも報告するわねっ
うふふふと楽しそうに微笑みながら先生は、教室から出て行った
何、あれ
暴力事件て、遠藤と吉田のじゃねぇの
吉田チクッたのかよ
やべぇんじゃねえの
野球部、出場辞退とか
一気に教室内がザワつく
遠藤と雪乃がオレを見ている
怒りと憎しみの眼で
ちょっと、みんな静かにしなさいよっ
見かねて山峰さんが、大きな声でみんなを鎮めた
教室の戸が、ガラガラと開く
入って来たのは一時間目の教師では、ないっ
吉田ちゃんいるぅぅ
やって来たのは奈島センパイだった
金髪にブルーコンタクトの美少女堕天使が何でここに
センパイ2年生でしょダブッてるけど
突然のセンパイの来訪に教室中がどよめくッ
金髪に青い眼というのも相当のインパクトだけどとにかく、奈島センパイは美人だそんじょそこらにはいないレベルの美少女だ
すっごい綺麗
かっ、可愛い
でも、不良
えっ、ゲーノージンか何かじゃねぇの
何でこんな美少女が、オレに会いに来たのかそれも一時間目の始まる直前に
あっ、いたいた授業なんて出ないでさ、サボっちゃおうよっ世の中はもうゴールデンウィークだよんっ
いや高校生はまだ、土曜の授業があるから
それから奈島センパイは、クラスの中をぐるっと見回す
白坂雪乃って子、どこっ
クラス中の視線が雪乃に集まる
センパイは、雪乃を見てニタァと笑った
なぁんだそんなに可愛くないじゃん
その言葉に雪乃はビクッとする
目の前の金髪のセンパイは雪乃にそんな言葉を言っても嫌味にならないほどの究極美少女だった