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遠藤は背筋を襲う恐怖感から、無理に大声を出して喚き散らすッ

あーあ、キレちゃった

結局、どこまでいってもチヤホヤされて育ったお坊ちゃんてことなんだな

ホント沸点が低い

クラスの他の連中も呆れている

遠藤ケンジの好感度急速に落下中

そんな、遠藤の後ろに小林と大宮がコソコソとやってくる

おい、遠藤お前、よしとけって

そうだ、お前、この方をあんまり怒らせない方がいいぞっ

遠藤が、二人に振り向く

あぁぁんっこの女が、何だってんだよッ

遠藤は、まだキレたまんま

遠藤、お前、知らないのか

最近、この近辺で不良狩りをやっている金髪二人組のこと

不良どころか、ヤクザさんまで手当たり次第にボコッてる

顔に傷のある外人女と、日本人の金髪二人組で

顔の綺麗な日本人の方が相手を油断させた隙に、ゴリマッチョな外人女が変な格闘技でボコボコにブチのめすっていう手口の

大宮今、マルゴさんをゴリマッチョって言ったな

お前、後で半殺しにされるぞ多分

骨の一本は覚悟しておけ

何だ、そりゃそんなやつら、本当にいるのかよっ

遠藤は、二人の話に半信半疑な様子だ

いるんだよ、それが本当に

だって、オレたちぃぃぃ

昨日、ブチのめされたものぉぉぉ

地元の先輩が、病院送りになった

ていうか、先輩の車にガソリン撒いて火を付けるんだぜっ

車が炎上、大爆発なんだよっ

夕べは、三人目もいたんだっ黒いマスクをしたプロレスラーみたいな男がっそうそう、2メートルもある大男でさっ

そいつが火炎瓶を二十本くらい、ドンジャカ投げてくるんだよっ

すんげぇ、ヤバイやつらなんだよっ

頭おかしいんだよっブッとんでるんだよッ

鬼なんだよッアンデッド・モンスター軍団なんだよっ

小林、大宮すまん、その大男はオレだ

恐怖の記憶が、お前たちの中でオレを大男にしてしまったのかもしれんがオレはそんなにデカくない

撒いたガソリンも、ビール瓶二本分だけだし

おーっ、君たち、夕べの子かぁっごめーん、痛かった怖かったびっくりしたぁっ

弓槻先生 っ

事前に小林たちの地元の不良グループを調べておいて、わざと襲撃させたんだな

本当にあの悪魔教師は、どこまでも徹底しているッッ

あのう、顔に傷のある金髪の外国人て、もしかしてマルゴさんて人ですか

一人のひょろっとした眼鏡の男子生徒が、奈島センパイに声を掛けた

誰だっけ天文部とかのやつだ

確か杉浦って名前だったと思う

えーっ、君、マルちゃんのこと知ってるのぉ

はいあの、僕、姉がこの学校の今年の卒業生で

あーっ、そうなんだっ

あのあれですよねアメリカからの留学生で、マーシャルアーツをなさってて

そうだよっ、そう

二年前に、音楽の男の先生が合唱部の女生徒を乱暴したって事件があった時に、その先生を半身不随にしちゃった人ですよね

再び、教室中がシーンと静けさに包まれる

え、そんな事件があったの

そうそうっあたし、その時の合唱部員

ま、マジですかっ

あの時のマルちゃんはねぇ、本当にスゴかったんだからっその先生ね、両手両脚複雑骨折に内臓破裂でね、今、車椅子の生活してるんだってさ顔も鼻が陥没で、顎が粉砕だったかなもう一生、フニャフニャとしか話せないらしいよっそれから、マルちゃんがその先生の股間を思いっきり蹴ったから、前が睾丸摘出で後ろが人工肛門だったかなとにかく二度とセクハラなんてできない身体にしておいたから、みんなも安心してよねっ

みんな、唖然としている雪乃も、山峰さんも

遠藤は汗だけでなく、鼻水まで垂らしている

すっかり涙目だ

そそこまでやるのかやったのか

ややったんだろうなあ

この人たちなら

あたしが剣道場を全焼させたのもね、やっぱりその事件の時それから、マルちゃんの頬の大っきな傷ねあれ、あたしが付けたんだよっその時に

奈島センパイは、にこやかに語るけれど

高校一年生たちは全員凍り付いたまま、動けない

みんな生まれて初めて、本当に恐ろしいものに出くわしてしまったという顔をして

えっと話を戻すけれど遠藤ちゃんだったっけ

奈島センパイは、遠藤に視線を戻す

遠藤はどうしようもなく、ブルってる

君野球をやっているんだよねっ

先輩の口がニヒッと微笑む

だったら、どうだって言うんだよっ

遠藤は強がってみせるがすでに全身、汗だくだ

あのね、複雑骨折するとねっ右足と左足の長さが、違っちゃったりすることもあるんだって遠藤ちゃん、見たところ足は長そうだから、片方だけ五センチくらい短くなっても別にいいよねっ

センパイは天使の笑顔で、遠藤に恐怖の予告をする

こっ、怖ぇぇ

こんな笑顔で、このセリフが言えるこの人はマジでヤバイッッ

遠藤はガタガタ震えている

格好悪いっ

雪乃が泣きそうな顔で、そんな遠藤を見つめている

君さ、さっきあたしはこの件には無関係だって言ってたけど、全然そうじゃないんだよねっあたしさ、吉田ちゃんのこと気に入っているのまあ、あたしが一方的になんだけど、とにかく気に入ってんのお気に入りなのっ

天使の笑顔が悪魔の笑みに変わるッ

だから、仕方ないよねぇ君は、あたしの可愛がっている吉田ちゃんにケガをさせたんだからっもう、諦めるしかないよねっ

センパイは大きく息を吸って、他の生徒たちに宣言するッ

言っとくけど、遠藤くんのお友達も同罪だからねっもし遠藤ちゃんの味方をして、先生とかに吉田ちゃんに不利な嘘の証言をするような子がいたら、あたしとマルちゃんが徹底的に懲らしめるからねっいいわねっ

みんなまだ、凍り付いたまま

センパイは再び、天使の笑顔に戻って、

もおっ、みんなそんな顔しないでよんっあたしは別に、吉田ちゃんが有利になるように嘘を吐けって言っているわけじゃないからさっもし、先生とかに聞かれたら、みんなが知っている本当のことだけを言ってねってお願いしてるのっ判ったセンパイのお願い聞いてくれるっ

何じゃ、この蕩けるような可愛らしさは

お返事はっ

遠藤と雪乃以外の全員が、奈島センパイに返事した

うんうん、よろしいっいい感じ、いい感じ

センパイは、ご満悦のようだ

さてと、遠藤ちゃんへの挨拶はこれで済んだからじゃ、吉田ちゃん、そろそろ行こうかっ

センパイが、笑ってオレを見る

えっど、どこにです

やだなあ授業サボって、あたしと屋上で過ごすって約束したじゃないっ

や、約束したかそんなこと

でもクラス全員の視線が

この超絶美少女なのに悪鬼過ぎる天使顔センパイをとにかく、早くどこかへ連れて行けと要望している